Accenture(NYSE: ACN)は2026年1月6日、英国を拠点とするAIネイティブ企業Facultyの買収に合意したことを発表しました。Facultyは高度な応用AI技術と、独自の意思決定インテリジェンス(Decision Intelligence)プロダクトを有する企業です。今回の買収により、Accentureはクライアントのコアビジネスプロセスを安全かつセキュアなAIソリューションで再構築する能力を大幅に拡大する見込みです。
Facultyとは — 2014年創業のAIネイティブ企業
2014年に設立されたFacultyは、英国をはじめとする主要市場において、官民双方のクライアントにAIソリューションを展開してきた実績を持っています。同社が提供するサービスは、AI戦略の策定、AIセーフティ(AI安全性)、そして高性能AIシステムの設計・構築・実装に至るまで多岐にわたり、クライアント組織によるAIの安全かつスケーラブルな導入を支援しています。
AIセーフティへの長年のコミットメント
Facultyは、AIセーフティに対する長年のコミットメントを特長としています。同社はクライアントと協力し、バイアス、プライバシー、説明困難な結果といったリスクに対処しながら、設計段階から安全かつ倫理的なAIシステムの構築を推進しています。開発、検証、予測、モニタリングに至る開発ライフサイクルの全段階にAIセーフティが組み込まれる設計思想を採用しています。
また、FacultyはOpenAIやAnthropicなど世界有数のAIラボと連携し、AIモデルの安全性確保に取り組んでいるほか、英国AIセキュリティ研究所(UK AI Security Institute)などの機関と協力して汎用モデルのベースライン安全性評価を実施しています。
400名超のAI専門人材がAccentureに合流
取引完了後、Facultyの400名を超えるAIネイティブの専門人材(データサイエンティスト、AIエンジニアなど)がAccentureのチームに統合され、クライアント向けのAI能力をさらに拡大する計画です。
注目すべき人事として、Faculty CEOのMarc Warner氏は、CEO職を継続しつつAccentureの最高技術責任者(CTO)に就任し、同社のグローバル経営委員会(Global Management Committee)に参加します。Warner氏はFaculty創業前、ハーバード大学で量子物理学の研究員を務め、インペリアル・カレッジ・ロンドンのコート(理事会)や、英国政府のAI Council(独立専門家委員会)のメンバーとしても活動していました。
経営トップのコメント
Accentureの会長兼CEOであるJulie Sweet氏は、「Facultyとともに、信頼性の高い先進的なAIをクライアントのビジネスの中核に据える戦略をさらに加速させます。Facultyのチームを歓迎するとともに、CTOとしてのMarc氏が当社のテクノロジービジョンと戦略の策定に貢献してくれることを楽しみにしています」と述べています。
Faculty CEOのMarc Warner氏は、「私たちのビジョンは、安全なAIが人類に広く恩恵をもたらす世界の実現です。過去10年間、クライアントを支援しながらこのビジョンを一歩ずつ前進させてきました。AIが急速に進化する中、クライアントの野心はビジネスの再構築そのものへと高まっています。Accentureとの連携により、AIトランスフォーメーションを最初から最後まで支援する体制が整ったことを大変嬉しく思います」と語っています。
Faculty Frontier™ — 意思決定インテリジェンスプロダクト
買収統合の一環として、Facultyのエンタープライズ向け意思決定インテリジェンスプロダクト「Faculty Frontier™」が、Accentureのプロダクト群に加わります。Faculty Frontier™は、データ、AIモデル、ビジネスプロセスを統合的な意思決定システムに接続し、組織がより迅速かつ的確な意思決定を行うことを支援するツールです。
すでにAccentureとFacultyは協業を進めており、Novartisなどの大手ライフサイエンス企業に対し、Faculty Frontier™を活用した臨床試験の計画・実行における経済性の変革を支援しています。
ミッションクリティカルな現場でのAI活用実績
Facultyはミッションクリティカルな環境でのAI適用能力でも知られています。COVID-19パンデミック時には、英国国民保健サービス(NHS)の「早期警告システム」を構築しました。このシステムはNHSのゴールドコマンド(緊急指揮体制)が日常的に使用し、全国の患者需要を正確に予測するとともに、最も必要な場所に集中治療資源を最適配分する役割を果たしました。
人材育成プログラムのグローバル展開も視野に
AccentureはFacultyの「フェローシッププログラム」も活用する方針です。このプログラムは、STEM分野の博士号・修士号取得者やポスドク研究者が、アカデミアから産業界へスムーズに移行できるよう支援する高度な早期キャリア研修プログラムです。英国での成功を踏まえ、Accentureはこのプログラムを自社の人材やクライアントに対してグローバルに展開する計画を立てています。
今後の見通し
AccentureとFacultyは2023年12月から協業関係にあり、AccentureはFaculty Frontier™の優先実装パートナーとして認定されていました。今回の買収完了は、各種規制当局の承認を含む慣例的な完了条件が前提となります。取引条件の詳細は非公表です。
Accentureの最高戦略・サービス責任者であるManish Sharma氏は、「Accentureはテクノロジーとヒューマンインジェニュイティの最善を融合し、AI投資のリターンを最大化します。Facultyとともに、データ・プロセス・人材を連携させ、クライアント固有のソリューション、パートナーソリューション、Faculty Frontier™の多様な組み合わせを通じて、より迅速に価値を創出する人材パワーハウスを構築します」と述べています。








