生成AI活用ワークショップで基礎知識を習得し
チャットアプリ「AI-Starter」の活用を推進

三井住友トラストクラブ

経営統括本部 業務企画部 部長・企画チーム長 石井裕幸 様
経営統括本部 業務企画部 企画チーム 主任 前角高宏 様、荒木淳 様
三井住友トラストクラブ
公開日:2025年5月14日
BEFORE
  • 全社における生成AIの活用レベル向上が必須
  • 生成AIの基礎を学び積極的に使いこなせる体制の不足
  • 文書ファイルの効率的な検索を実現するRAGの導入が必要
AFTER
  • 延べ400名がワークショップを受講し生成AIの基礎知識を習得
  • 事後のアンケートで受講者の92.6%が「研修に満足」と回答
  • 生成AIの利用率が40%に達し日常的な業務での活用が浸透

クレジットカードの「ダイナースクラブカード」や「TRUST CLUBカード」の発行を手がける三井住友トラストクラブ。生成AIの全社活用に向けて、クラスメソッドの生成AIチャットパッケージ「AI-Starter」を導入した同社は、クラスメソッドの支援を受けながら全社員を対象とした生成AI活用ワークショップを実施しました。ワークショップを企画した業務企画部 企画チームの石井さん、荒木さん、前角さんに企画の背景・目的、研修コンテンツの制作プロセスと、実施後の成果についてお話をうかがいました。

生成AIの全社導入においてクラスメソッドの「AI-Starter」を採用

三井住友トラストクラブは、日本最初のクレジットカードとして60年以上の伝統を有するダイナースクラブカードの日本における唯一の発行会社です。三井住友信託銀行の100%子会社として、カード事業から会員事業、加盟店事業までさまざまな事業を展開しています。

三井住友トラストクラブ 同社では、業務効率化の観点から生成AIにいち早く着目。2023年の上期から検討を重ねる中で、社内情報を検索して生成AIが回答を出力するRAG(検索拡張生成)としての活用を検討しました。

「弊社が取り扱う事業は幅広く、業務遂行上必要な規程類の文書ファイルが大量に存在します。ファイルは社内ポータルサイトに格納されていますが、通常のファイル検索では目的の文書が見つけにくいという課題がありました。そこで文書検索の効率化を目的に、RAGを導入することにしました」(石井さん)

RAGの導入に向けて、まずは「お試し」としてSaaS型の生成AIツールを活用、業務企画部内で検証を開始。その後、全社展開に向けて本格的な生成AI環境の構築を検討する中でクラスメソッドの「AI-Starter」の情報をキャッチして導入を決めました。

三井住友トラストクラブ
三井住友トラストクラブ AI-Starterはクラスメソッドが開発し、提供する生成AIチャットパッケージです。再利用可能なプロンプトテンプレート機能を有し、ユーザーは一からプロンプトを作成する手間なく利用することができます。RAGの機能も標準で搭載し、さまざまな文書の検索に対応しています。UIもフレンドリーでWebブラウザーから気軽に利用ができるのが特長です。

「生成AIの全社導入においてセキュリティを最重要視する中で、自社専用の環境が構築できることが決め手となりました。また、パッケージとして簡単に導入できること、コストが安価であることも評価のポイントでした。くわえて自社のクラウド基盤にもともとAWSを採用しており、AWSに関して高度な技術力を持つクラスメソッドなら安心して任せられると判断しました」(前角さん)

生成AIの使い方を基礎から学べるワークショップを企画

2024年12月にAI-Starterの導入を終え、全社員が自由に生成AIを活用できるようになった後、次のステップとして企画チームが考えた施策がワークショップによる全社への浸透です。社員がひととおり生成AIに触れたタイミングでAI-Starterのより実践的な活用方法を学ぶワークショップを実施することとし、企画やコンテンツの作成、講義の支援をクラスメソッドに要請しました。

三井住友トラストクラブ 「AI-Starterの導入から1カ月が経つと、使いこなしている社員もいれば、使い方がわからず戸惑っている社員も出てきます。そこで使いこなせていないユーザーをターゲットに、基礎から学べるワークショップを実施することにしました。できる限り当社の実態に即したワークショップにしたかったことから、AI-Starterの開発元であるクラスメソッドに相談し、先行で実施されていた新潟県上越市の実績も参考にしたうえで支援を依頼しました」(荒木さん)

今回のワークショップでは、チャットベースによる社内Q&Aの方法を学ぶ「汎用版」と、Excelマクロの自動作成の方法を学ぶ「Excel版」の2種類を用意。それぞれ1回90分のカリキュラムとしました。Excel版を用意したのは、実際に業務で使用する社員が多く、事前の社員アンケートでもExcelの業務を改善したいというリクエストが多く寄せられたからです。

受講者が手を動かしながら楽しく学べるようコンテンツをカスタマイズ

ワークショップのコンテンツは、企画チームとクラスメソッドの担当者が何度も打ち合わせを重ねながら作成。生成AIに関する一般的な知識の習得に加えて、「ダイナースクラブカードの新規入会キャンペーンの企画案を作ってみる」といったように、受講者が親しみながら学べる工夫をしています。

「生成AIに触れてもらうことが今回のミッションであることから、汎用版とExcel版ともに90分間のワークショップの半分以上をハンズオン形式とし、実際に手を動かしながら習得することを重視しました。ハンズオン形式のワークショップの企画は初めて経験でしたが、クラスメソッドの営業担当者や技術担当者とどうすればうまくいくかを開催の直前まで議論し、納得のいく内容に仕上げることができました」(荒木さん)

「コンテンツは、クラスメソッドの担当者と何度も議論を重ねながらカスタマイズしました。今回の受講者は新入社員からベテラン社員まで年齢層が幅広く、ITに詳しくない社員も含まれます。そこで、専門用語は極力わかりやすい表現に変えて欲しい、“ログイン・サインインってどうやるの?”という人にもわかるように説明を加えて欲しい、ここは要らない、ここは具体的に……といったリクエストを投げかけました。クラスメソッドには逐一要望を聞いていただき、小回りの効いた対応に感謝しています」(前角さん)

実施後のアンケートではポジティブな回答が多数

ワークショップは2025年2月に3日間、汎用版とExcel版で合計6回、対面とオンラインのハイブリッドで実施しました。講師はクラスメソッドの生成AIプロフェッショナルが担当し、AI-Starterの概要説明、プロンプトの基礎解説、実際にプロンプトを入力して文書の作成や要約、マクロ作成などの業務を実施するまでをひととおりカバーしたハンズオンを行いました。

ワークショップは対面・オンラインあわせて延べ400名が受講。汎用版とExcel版の重複を除いたユニーク参加者数は250名に達しました。参加者の反応も良好で、事後アンケートでは92.6%が「研修に満足」、91.5%が「AI-Starterの操作方法を習得できた」と回答しています。さらに、98.4%からは「今後、職場内で生成AIを活用したい」といった回答が得られました。

「ワークショップへの参加をイントラネットで呼びかけた際は反響も大きく、用意した参加枠があっという間に埋まってしまいました。中でも対面での受講を選んだ社員が多かったのが印象的でした。実施後のアンケート結果を見ると『生成AIに対する怖さがなくなった』『プロンプトを改善することで回答精度が高まることがわかった』『自分の仕事で使ってみたい』といったポジティブな声が寄せられ、企画者としても手応えを感じています」(荒木さん)

「企画グループとしてこれまで数多くの社内向けワークショップを実施してきましたが、今回は受講者から『これまでの社内研修の中で最も有益だった』という声も挙がるほどで、苦労が報われた気持ちになりました。実施後のAI-Starterの利用率も40%に達し、一定の層では日常的な業務での活用が確実に進んでいます」(前角さん)

「経営層を含めて社内における生成AIへの関心は高く、ワークショップの実施前から大きな期待を寄せられていました。実際、ワークショップには経営層も参加し、部長レベルのマネジメント層も業務での生成AI活用を体感しています。経営層としても比較的安価に最新の技術を導入することができ、かつ業務効率化につながったということで手応えを感じており、これを第一歩として地道に積み上げていこうと方針を固めています」(石井さん)

研修を経て、AI-Starterの製品自体に関しても改めて使い勝手のよさやカスタマイズ性の高さ、運用管理の容易さを実感しています。

「個人の業務では文書作成、翻訳などでAI-Starterを活用していますが、客観的な視点で指摘事項を挙げてくれることも多く、思考の幅を拡げるのに役立っています。またAI-Starter自体が継続的にアップデートされ、クラスメソッドも改善要望に対して迅速に対応いただけるので、管理者の立場からも将来の発展性が期待できる製品だと感じています」(荒木さん)

「個人的にはシステムのレスポンスの速さが気に入っています。ボタンを押したり、画面を切り替えたりした際も速やかに表示が切り替わるのでストレスがありません。UIがシンプルで直感的に操作ができるためユーザーからの問い合わせも少なく、管理部門として運用の負担が生じないのが良いところです」(前角さん)

三井住友トラストクラブ

ワークショップを継続的に実施し生成AIの活用レベル拡大へ

生成AIのワークショップは今後も継続的に実施していく予定で、次のステップとして中上級者向けのワークショップや、データ活用など特定部門の業務に特化したワークショップ、生成AIの活用率・定着率を高めるためのワークショップなどを企画しながら、生成AIの活用を押し上げていく方針です。

「全社員のレベルを引き上げていくことが企画チームのミッションですので、さまざまな角度から考えた効果的なワークショップを企画して、今後も社内浸透を促進していきます。クラスメソッドには引き続き弊社の課題を共有したうえで、的確かつ有益なアドバイスがいただけることを期待しています」(荒木さん)

「生成AIの登場は、携帯電話やインターネットの普及に匹敵するほどインパクトのある出来事で、いち早く対応しなければ取り残されてしまいます。全社員が使いこなせるツールに進化させていけるよう、クラスメソッドとはWin-Winの関係を続けていきたいと思います」(前角さん)

クレジットカードを通してキャッシュレス社会を支える三井住友トラストクラブ。クラスメソッドは生成AI活用の支援を通して、同社のビジネスに貢献してまいります。

この事例は生成AIコンサルティングをご利用いただいています

クラスメソッドではChatGPTやAmazon Bedrockなどの各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで様々な形で支援を行っています。社内検証からアプリのチューニングまで、生成AI活用はお気軽にお問合せください。

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