豊かな自然に包まれるフランス南部のプロヴァンスに生まれ、今年45周年を迎えるライフスタイルコスメティックブランド「L’OCCITANE(ロクシタン)」は、厳選された植物由来の化粧品を通じて、自然と伝統を敬い、その素晴らしさを共有したいというフィロソフィのもと、プロヴァンスのライフスタイルを提案するコスメティックブランドとして、1998年に日本に上陸。その後、全国主要都市の路面店や百貨店、ステーションビル、ショッピングモールなどに、120店舗以上を展開すると共にEC事業も積極的に展開しています。
私たちの毎日が大きく変わった2020年、新たな「ニューノーマル」な生活様式は、ロクシタン店舗での接客やオペレーションにも再考を促すものとなりました。レジの待ち行列の密を回避するためフットサインを配置するなどの物理的な対策はもちろん、共に検討、導入されたのが、スマホから事前に製品予約注文し、来店して受け取ることのできる「モバイルオーダー」です。
ロクシタンはクラスメソッドがリリースした、モバイルオーダー用のLINEミニアプリをノーコードで作成・運用可能なクラウドサービス「CX ORDER」を利用し、2020年12月に「ロクシタン モバイルオーダー」をリリース。年末までに10店舗の導入を実現しました。モバイルオーダー導入に至った課題や経緯、今後の展望について、マーケティング本部の小松さん、営業本部の冨山さん、西岡さんに、詳しくお話をうかがいました。
「迷っている暇は無い」コロナ禍で即導入を決めたモバイルオーダー機能
2020年の初夏、1度目の緊急事態宣言が明ける頃、ロクシタンはモバイルオーダー導入の検討を開始しました。モバイルオーダーは、コロナ禍で店舗の密を避けるため様々な取り組みをする中で出てきた案の一つでした。
「コロナ禍であっても、全国のロクシタンショップでは引き続き質の高い接客をお客様に提供したい。一方で、お客様同士の密をいかに避け、いかに店舗内の滞在時間を最小化するのか。このようなことを検討していました」(小松さん)
ロクシタン店舗に足を運んでいただけるお客様のうち一定数は、来店前から購入品を決めてお越しいただける指名買いのお客様です。これらのオーダーを事前に予約していただければ、来店時も時間をかけずスムーズに商品をお渡しすることができます。小松さんは、「やるかどうか悩むというよりは『やるしかない』という状況でした」と当時を振り返ります。
注目したのは2020年2月頃から先行事例が発表されだしていた「LINEミニアプリ」でした。
「タイミングよく7月に『LINEミニアプリ』の企業エントリーが始まり、この仕組みを使ってモバイルオーダーを実現したいと考えました。LINEさんにご相談したところ、クラスメソッドさんをご紹介いただき、ご連絡をさせていただきました」(小松さん)
スムーズなツール導入により、より重要な店舗オペレーション構築にフォーカスできた
「CX ORDER」はクラスメソッドが2020年7月にリリースした、モバイルオーダー用のLINEミニアプリをノーコードで作成・運用可能なクラウドサービスです。導入するにあたって新たにプログラムを書いたり、IT環境の見直しをしたりする必要はなく、管理画面から簡単な設定をするだけで使い始めることができます。
小松さんは、クラスメソッドが実際の店舗である「DevelopersIO CAFE」を運用しながら機能の実証実験をしていたこともあり、提案資料を見てすぐに、自社の業態に応用できるイメージをつけられたのも、導入の決め手になったと言います。
その一方で、グランドオープン前のLINEミニアプリという新しいチャネルに初めはとまどいも感じたようです。
「『LINEミニアプリ』をどう有効活用すべきか、という議論からスタートし、利用開始にあたってのLINEへの申請のやりとりなどは全てクラスメソッドさんに対応してもらいました。ただ、環境準備が整ってさえしまえば、設定や商品をどうするか、オペレーションをどう構築するかということにフォーカスできたので、とても助かりました」(小松さん)
お客様の指名買いニーズに可能な限りお応えするため、現在の「ロクシタン モバイルオーダー」には、店舗に潤沢に在庫がある定番商品などを中心に商品をラインナップしています。
社内調整やアプリケーション審査を経て、ホリデーシーズンに向けた繁忙期の最中、2020年12月16日にモバイルオーダーの開始をリリースしました。初期の導入店舗は、旗艦店である渋谷と、お客様が立ち寄りしやすいターミナル駅を選定。アクセスの利便性を考えて全国9店舗に絞り、年末までに順次導入しました。
最も忙しい12月という時期に、新しいオペレーションについて導入説明などを受けなければならなかった店舗スタッフ。この難しいコミュニケーションは、店舗で実際にビューティーアドバイザーとして顧客と向き合ってきた経験のある冨山さんが担い、丁寧に説明を尽くすことで理解を得ていったと語ってくれました。
「当時、売上も落ちていない中で、『なぜ、今?』という店舗側の気持ちは大きかったと思います。まずはエリアマネージャーやストアマネージャーにモバイルオーダーの必要性を理解してもらうために、説明会を開くなどしました。また初期導入店舗とも密にコミュニケーションを取ることで、理解を得られたと思います」(冨山さん)
やってみて初めてわかった、来店顧客の意外な思考と行動
モバイルオーダーという仕組みを導入することで、素早くお買い物をしたいお客様にはスピード感をもって応対し、時間をかけて選ばれるお客様には、より充実した接客を提供することができるようになりました。これを受けて、店舗側でも受け入れ態勢へと意識が変わってきたそうです。
導入した直後の土日は、店舗に立ってみたという小松さん。モバイルオーダーを導入してみて初めて見えてきたお客様の思考や行動データは、非常に興味深い景色だったと言います。
「店舗によってお客様の嗜好が違うことも見えてきました。例えば、『密を避けたい』という意向が強いのはどの地域の傾向なのか、また、年齢・性別によるモバイルオーダーを試してみることへの障壁の高さ低さなど、驚かせることも多くありました。今後、導入店舗を順次拡大をしていくにあたり、この辺りの数値と市況を見据えながら都度判断を行っていきたいと思います。」(西岡さん)
「定番商品を中心にラインナップしていることもあり、シャンプーのような定期的に購入される商品やハンドクリームギフトなどへのニーズが高いです。また、このコロナ禍では弊社の消毒ジェルは人気商品で、モバイルオーダーで最もオーダーが入ってくるもののひとつです。密を避けたい、素早くピックアップしたい、というニーズを持っているお客様は、モバイルオーダーご利用のニーズもあるのだろうと考えています」(冨山さん)
ロクシタンは「ロクシタン モバイルオーダー」について、店舗数の拡大も見据えながら今後も改良を重ねていきたいと語ってくれました。
「クラスメソッドさんのサポートは、非常にスピード感があり、社内でもそのスムーズさについて話題にのぼるほどでした。大変助かりました。弊社として、これからもオムニチャネルはどんどん進めていきたいところですので、今後もクラスメソッドさんにソリューションをご提供いただきながら、二人三脚でビジネスを発展させていけたら幸いです」(小松さん)
「日々『CX ORDER』を使っている中で、クラスメソッドさんにお願いしたいリクエストは沢山あります。ぜひ今後の新機能のリリースに、弊社が実地の体験からご協力させていただけると嬉しいなと思っています。『LINEミニアプリ』についてもまだまだ分からないことが多々ありますので、今後もお力をお借りしたいと思っています」(冨山さん)
2021年に入って、クラスメソッドが提供する「CX ORDER」はクーポン機能をリリースし、さらに受け取り時間指定などの新機能を次々と追加提供していく予定です。日々変化し、多様化する顧客ニーズに、タイムリーかつスピーディーに対応していくことを目指すロクシタンのビジネスに、クラスメソッドはこれからも技術力を強みとした支援を行っていきます。