AWS無料枠の基本を解説。利用時に気を付けたい5つの注意点も!

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基本的なサーバやストレージから、機械学習などの最新技術まで数多くのサービスを提供するAWS。活用時にはオンプレミスとは使い勝手が異なる点があり、自社システムがきちんと稼働するか、用途にマッチするかなどの検証が必要です。AWSでは検証や学習などのために、様々なサービスで「無料枠」が用意されており、コストをかけずに試せますが、利用には注意が必要なポイントも。無料枠の種類とあわせて、利用時の注意点を解説します。

AWSの無料枠は3種類

AWSの無料枠には3種類あり、それぞれ利用できるサービスや期間などが異なります。何かしらの無料枠が用意されているサービスは100以上にのぼり、個人の学習目的から、企業で新たな仕組み・システムを構築する際の検証まで、様々な用途に活用できます。

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12ヵ月間無料

まずは、AWSアカウント作成(最初のログイン)から12ヵ月間無料で利用できるものです。これは、はじめてAWSを利用する際に、操作や環境に慣れるために活用するケースが多く、仮想サーバサービス「Amazon EC2」やオブジェクトストレージサービス「Amazon S3」、データベースサービス「Amazon RDS」といったAWSの代表的なサービスがラインナップされています。

無料トライアル

無料トライアルでは、「12ヵ月間無料」とは異なり、該当するサービスをアクティベートしてから、決められた期間、無料で利用することができます。比較的新しく登場したサービスについて無料トライアルが用意されることが多く、最先端の技術の検証などに適しています。例えば、機械学習プラットフォームである「Amazon SageMaker」やデータウェアハウス「Amazon RedShift」は2ヵ月間、BIサービス「Amazon QuickSight」は30日間の無料トライアルを利用できます。

常に無料

上記のほか、期間の制限がなく、常に無料で利用できるサービスもあります。これらは利用回数や容量などに制限があり、制限を超えれば課金対象になります。サーバレスサービス「AWS Lambda」、メッセージングサービス「Amazon SNS」、NoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」など、クラウドならではの活用を実現する特長的なサービスが揃っており、オンプレミスからAWSへと“リフト”したあと、よりクラウドネイティブな使い方へと“シフト”するための第一歩としても有効です。

無料枠を利用するとき注意したい5つのポイント

コストをかけずに検証などを実施できる無料枠は魅力が大きいものの、「知らないうちに課金されていた」というケースも多く、利用には注意が必要です。特に注意が必要なポイントをまとめました。

1. 無料枠ではインスタンスサイズにも制限が!対象外のサイズを使っていないか要チェック

Amazon EC2、Amazon RDSなどではスペックなどにあわせて様々なインスタンスタイプ・サイズが用意されていますが、無料枠では対象となるものが指定されており、それ以外には適用されません。利用したいものが無料枠の対象となるのか、事前にしっかり確認しましょう。

2. 無料期間を過ぎれば自動で課金。うっかり期間を過ぎないようにしっかり管理を

「12ヵ月無料」「無料トライアル」では規定の期間を過ぎたあとも利用していた場合、自動で課金対象となります。「インスタンスを止め忘れて、トライアル期間を過ぎていた」というトラブルも多いため、いつから利用を開始したのか、いつまで無料で利用できるのかを管理して、意図せずに課金されてしまう事態を防ぎましょう。 例えば、仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」は無料トライアルが用意されているものの、1ヵ月間で40時間までの制限があり、1日8時間利用すると5日間で使い切ってしまう計算に。あくまで在宅勤務などで本格導入する前の検証用として無料枠を活用するのがよいでしょう。

3. マルチAZ構成では2倍の速さで時間を消費するため、利用時間に気を付けて

AWSは、1つのリージョンが複数のアベイラビリティゾーン(AZ)で構成されています。AZはそれぞれ物理的に離れた場所に配置されたデータセンタ群であり、複数のAZを利用するマルチAZ構成により高可用性を実現できます。無料枠でもマルチAZ構成をとることは可能ですが、利用時間に注意が必要です。無料枠は「特定のインスタンスが無料になる」のではなく、「条件に合致したインスタンスがあれば、すべて無料枠の対象として、時間を消費する」という考えのため、マルチAZで構成するとEC2やRDSのインスタンスも2つ用意することになり、2倍の速さで無料枠の時間を消費してしまいます。

4. 利用するリージョンにも注意を

AWSの無料枠はリージョンごとに割りあてられるのではなく、全リージョンでの合算となります。つまり、米国オハイオのリージョンでAmazon EC2の無料枠を使い切ったら、東京リージョンでは利用できないことに。「リージョンを変えればもう1度無料で使える」ということはありません。 無料枠で検証などをおこなったあと、そのまま本番化することも視野に入れ、無料枠を利用するときからどのリージョンで構成するかを意識しておくことをお勧めします。

5. AWS Organizationsを利用している場合、対象アカウントは1つのみ

「AWS Organizations」では複数AWSアカウントの一元管理が可能になります。部署や事業ごとにAWSアカウントを分けて管理する場合にも、全社的なポリシーの適用などが可能になり、シンプルな管理・統制を実現できることがメリットです。ですが、AWS Organizationsでアカウントを統合管理する場合、支払いはすべて“親”となる1つのアカウントに集約されるため、無料枠もこのアカウントしか対象になりません。アカウントごとにそれぞれ無料枠を確保することはできなくなりますので、注意しましょう。

ちなみに、AWS Organizationsでの統合管理をしなければ、AWSアカウントそれぞれに無料枠が付与されます。検証目的などで複数アカウントをまたいだ環境の検証なども無料枠を利用して実施できますので、アカウントの作成・管理方法も事前に検討が必要です。

より効果的に学習するために、トレーニングを活用するのも有効

利用にあたって注意が必要ではあるものの、ポイントさえ押さえれば、コストを抑えてAWSの様々なサービスを利用できる無料枠のメリットは大きく、利用しない手はありません。システムの検証だけではなく、AWSを実際に操作しながら学習するためにも有効ですが、さらに専門的に学ぶ場合にはトレーニングの活用もお勧めです。

クラスメソッドでは、AWSトレーニングパートナーとしてAWS公式トレーニングを提供しており、レベルにあわせてAWSの基礎から設計までを学べるコースやセキュリティ、開発に特化したコースを幅広く用意。認定資格を多数保有し、深い知識を持つメンバーが講師を担当し、実務に活かせる実践的な内容を学べます。AWSのメリットを最大限享受するためにも、トレーニングで体系立てて学ぶメリットは大きいと言えるでしょう。

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