はじめてAWSの見積もりをするときのコツ。よくある落とし穴も!

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利用した分だけ支払う従量課金制で、将来的な拡張を見据えたリソースなどにコストをかける必要がないAWS ですが、事前にどれくらいのコストがかかるのか見当がつかないと悩むケースも少なくありません。AWSから公式に見積もり用のツールが提供されているものの、AWSのスキル・知識がなければ、なにをどう入力すればよいのか分からない、ということも。最初の一歩として概算見積もりを作成するために必要なポイントと、注意したい落とし穴について解説します。

AWS見積もり作成時の基本項目

AWSでは豊富なサービスが提供されていますが、一般的なシステムでAWSの見積もりを作成する場合、仮想サーバを提供するサービスの「Amazon EC2」、Amazon EC2のディスク領域として利用するブロックストレージ「Amazon EBS」、オブジェクトストレージ「Amazon S3」の3つについて検討するとよいでしょう。それぞれ概算見積もりを作成するためのポイントをまとめました。

Amazon EC2

まずは「汎用」タイプのインスタンスで見積もりを

EC2は利用するリージョンやOS、インスタンスタイプなどにより時間単価が決まっています 。インスタンスタイプがスペックに相当しますが、汎用・コンピューティング最適化・メモリ最適化・高速コンピューティング・ストレージ最適化と5つの分類で幅広いバリエーションが用意されており、インスタンスタイプ選定が最初のハードルとなります。一般的に、概算見積もりをおこなうときは「汎用」タイプのmシリーズ・tシリーズを選ぶことが多く、該当シリーズのなかから、自社環境で必要なCPU・メモリなどのサイズにあわせて選びましょう。

カテゴリインスタンスタイプ
汎用T3/T3a/M6a/M5/M5a など
コンピューティング最適化C7g/C6g/C6a/C5 など
ストレージ最適化I4i/I3 など
メモリ最適化R6a/R5/X2gd/X1 など
高速コンピューティングP4/G5/F1 など

押さえておきたいEC2インスタンスタイプの“表記ルール”

Amazon EC2のインスタンスタイプは「m5.large」といった形に表記されます。これは、最初のアルファベットが種類(ファミリー)、次の数字が世代、ピリオドの後ろがサイズというルールです。「m5a.large」のように世代を表す数字の後ろにアルファベットが入る場合もありますが、これらはデータ分析など特殊な用途に向けたものであり、まずはこのアルファベットがついていないタイプを選ぶことをおすすめします。

Amazon EBS

種類(HDD/SSD)&ボリュームで料金が決まる

Amazon EBSはEC2インスタンスのディスク領域となるブロックストレージで、基本的にAmazon EC2とセットで利用します。Amazon EBSの費用は、ディスクの種類とボリュームで決まります。ディスクの種類は大きくHDDベースとSSDベースに分かれており、汎用的なケースではSSDを選ぶとよいでしょう。HDDの方が低コストで利用できるため、「とにかくコストを抑えたい」という場合には両者の費用を検討するのも有効です。

カテゴリインスタンスタイプ
SSD(汎用)gp3 など
SSD(プロビジョンドIOPS)io2 など
HDD(スループット最適化)st1
Cold HDDsc1

Amazon S3

まずは「S3標準」で見積もりを

Amazon S3は高信頼性・高可用性で、大容量データの保存などに適しており、データへのアクセス頻度などに応じて9種類のストレージが提供されています。このうちAmazon S3 Glacierと呼ばれるストレージは、コストを抑えられる分、データ取り出しに時間がかかるタイプで、アーカイブデータの保存などを目的としています。 どのデータにどれくらいの頻度でアクセスがあるのかは、なかなか判断できるものではありませんから、概算見積もり時には、「S3標準」というベーシックなタイプを選べば問題ありません。

種類解説
S3 標準アクセス頻度が高いデータに適した、Amazon S3の基本となる標準的なストレージ
S3 Inteligent-Tieringデータのアクセス頻度によって、自動で階層化を実施
S3 標準-低頻度アクセス
S31ゾーン-IA
アクセス頻度が低いデータ向けに、コストを抑えて利用できるストレージ
S3 Glacier Instant Retrival即時アクセスが必要なアーカイブデータ向けのストレージ
S3 Glacier Flexible Retrival即時アクセスが必要でアクセス頻度が低い、長期保存データ用ストレージ
S3 Outpostsオンプレミスで利用するAmazon S3のストレージ

見積もり時に厳密な算出が難しい「データ転送料」

Amazon S3の見積もり時に悩ましいのが、データ転送料です。AWSではデータのアップロードは無料ですが、ダウンロードにはコストがかかります。月々どの程度のダウンロードが発生するか、見積もり段階で正確に算出するのは難しく、あくまで想定の範囲で「全体の容量100GBに対して、月に10GB程度ダウンロード」などと暫定的に決めて、見積もりを進めましょう。

その他のポイント

AWSサービスでは基本的に世代が新しいものの方が、コストパフォーマンスが高くなります。見積もり時には、希望する種類のなかで最新のものを選ぶことが大切です。 また、上記のほか、オンプレミスのデータセンタやオフィスと、AWS環境をセキュアなネットワークで接続したい場合には、別途考慮する必要があります。VPNで接続する、専用線接続サービス「AWS Direct Connect」を利用するなどいくつか選択肢があり、追加で費用が発生するため、あわせて検討することをおすすめします。

AWS 見積もり時の落とし穴

リージョン設定は要確認

AWSの公式見積もりツールでは、デフォルトで「米国東部(オハイオ)」のリージョンが設定されています。リージョンによって各サービスの利用料金も異なるため、最初に利用するリージョンを「アジアパシフィック(東京)」などへ変更することを忘れずに。この設定は保存されず、利用するたびに設定しなければならないため、注意が必要です。

要求スペックはオンプレミスの考え方ではNG

AWSで必要なスペックを検討する際、オンプレミスのサーバと同じスペックで……と考えがちですが、そこに落とし穴があります。
オンプレミスでは、将来的な拡張性を考え、実際の利用状況に対してかなり余裕を持ったハードウェアを用意しますが、柔軟に拡張できるAWSでは最小のスペックからスタートするアプローチが基本です。オンプレミスと同じ考え方で見積もりを試算すると、「結局コストがあまり変わらない」という結論になりがち。ですが、これでは「将来的に利用するけれども、今は使わない」リソースのコストまで含まれており、コスト削減できる余地が残っています。既存のオンプレミスサーバのCPU/メモリ利用率なども確認し、本当に必要な最小限のスペックを見極めましょう。

ストレージについても同様で、ファイルサーバなどでも現状の利用容量に対してオンプレミスでリプレースする際は5年後の容量を想定してサイジングするのが一般的ですが、AWSではそこまで余裕を見る必要はありません。まずは現状の容量に対し10~20%ほどの余裕を見ると試算しやすく、その後「増加量に応じて、都度容量を追加する」という意識も持ちやすくなります。

あわせて考えておきたい「支払い方法」

AWSの見積もりを作成するタイミングで、料金の支払い方法も検討しておくことをおすすめします。AWSはクレジットカード払いが基本であり、その月の利用量にあわせて金額が確定したら、自動でクレジットカードから引き落とされます。請求書払いも用意されていますが、ドル建てのみの対応で、月額2,000ドル以上利用する場合といった制限があるほか、海外送金手数料と為替取引手数料もかかります。
このほか、AWSパートナーが提供する請求代行を利用し、日本円請求書払いとする方法もあります。 いざ使いはじめてから、自社のフローで対応できない、クレジットカードの上限を超えてしまった、などのトラブルにならないよう、あらかじめ検討しておきたいポイントです。

AWSに精通したクラスメソッドが、見積もりからサポート

ここまで、AWS見積もりのポイントを紹介してきましたが、「どうスペックを設定すればよいのかわからない」「最適な構成・コストになっているか分からない」など、難しさを感じることも多いのではないでしょうか?
クラスメソッドではAWSの請求代行サービスを提供しており、日本円での請求書発行などに対応、要件にあわせた見積もり作成からサポートします。お客様の既存環境についてヒアリングし、OS刷新などのサーバ見直しや、AWSにあわせた最適化などを含めて提案。またAWSでは、利用した分だけ支払う従量課金(オンデマンドインスタンス)のほか、条件に合えば大きな割引を受けられる仕組み(リザーブドインスタンスなど)も用意されており、これらを組み合わせた最適なプランの検討・提案もおこないます。AWSのコストメリットを最大化するためにも、まずは下記資料をご覧ください。

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