エンジニア採用が難しいと感じたら、採用担当者がやるべき4つのこと
エンジニアの人材不足は長く叫ばれており、「エンジニア採用が難しい・いい人が採用できない」と悩む企業も多く見られます。ビジネスにおけるITの重要度がますます高まるなか、求める人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、エンジニアの採用難の現状から、背景や原因から紐解くとともに、見直すべきポイントから人材確保の新たな選択肢までを解説します。
目次
「エンジニアの採用が難しい」の背景にある事情
以前から採用が難しいと言われていたエンジニアですが、実際に、東京ハローワークの職業別有効求人・求職状況でも、IT技術関連の求人倍率は3.1倍(※)と高い傾向にあります。また、IT関連の求人の多い一般的な転職サイト・エージェントでは、さらに高くなると想定されます。
その背景には、企業においてITの重要度が、ますます高まっていることがあります。これまでは、ビジネスをサポートするためのITでしたが、いまやITありきのビジネスも増え、事業の中核を担うようになりました。また、クラウドやAIなどの新しい技術の活用も大きなテーマとなる一方で、思ったほどスキルシフトが進んでおらず、こういった技術を扱えるエンジニアが特に不足していると考えられます。
なかでも、クラウドはオンプレミスと比較して「アプリケーション」と「インフラ」の境界が曖昧になることから、これまでインフラエンジニアが担っていた領域も含めてアプリケーション開発エンジニアが対応するケースも少なくありません。エンジニアに求められる知識・スキルの範囲が増えるとともに、人材に対する要件が高まり、さらに採用のハードルが高まっているのです。
※東京ハローワーク「職業別有効求人・求職状況(一般常用)≪令和6年度 取扱状況≫」令和6年10月分より(PDFが開きます)
エンジニアの採用難を招く4つの原因
エンジニア採用が難航する原因は、企業と求職者の間にある“ギャップ”にあります。特に影響の大きい4つについて解説します。
スキルのギャップ
背景でも述べたとおり、企業が期待するスキルと求職者が持つスキルにギャップがあるのが現状です。企業としては、アプリケーション開発からクラウドまで、すべてに精通した人材がいるのが理想かもしれません。しかし、最初からそのスキルを持つ人材となると、相当ハードルが高いと言わざるをえません。
働き方のギャップ
出社回帰の傾向があるなかで、リモートワークを含めた柔軟な働き方へのニーズも強くあります。「フル出社は避けたい」「週何日かであれば出社できる」など、求職者のニーズと企業の方針を、どこまですり合わせられるかが鍵となります。
給与のギャップ
Web系企業やテック系スタートアップなど、ITを専業とする企業では、エンジニアの給与レンジが高くなる傾向が見られます。一方、他業界の企業では、全社で給与体系が定まっているケースもあり、エンジニアの給与も他職種と同様の水準で決まるため、IT専業の企業と比較して給与が低くなり、選ばれにくいという問題もあります。
文化のギャップ
4つのなかでも特に影響が大きいのが、「文化・社風」のギャップです。働き方や雰囲気、カルチャーに合うかどうかは、思った以上に重要なポイントであり、「採用したけれども、カルチャーが合わず、すぐに退職してしまった」などのケースも少なくありません。
エンジニア採用を成功するためにやるべき4つのこと
求めるエンジニアを採用するには、上記のギャップをどこまで解消できるかが鍵を握ります。あわせて、下記のような取り組みも検討すべきです。
自社の魅力・価値を発信する
まずやっておきたいのが、自社の存在を知ってもらうための情報発信です。IT系企業であれば、エンジニアが活躍できることが明確にわかりますが、飲食業や製造業などメイン事業がほかにある企業では、どれだけITが重要な役割を担っていても、知られていないケースも少なくありません。「自社でどうITを活用し、エンジニアが活躍しているか」といった情報発信が重要です。
オウンドメディアや動画での情報発信、Webメディアへの寄稿、イベントの開催や登壇、技術イベントのスポンサーなど、方法は様々です。自社で取り組んでいる課題や技術情報を発信するなかで、「エンジニアが楽しそうに働いている」「こんな技術に取り組める」など社風や魅力まで伝われば、文化のギャップ解消にもつながります。
ターゲット層を明確化する
スキル要件の明確化は当然ですが、入社後の教育も見据えて「どこまでのベースがあればよいのか」なども事前に決めておきたいところです。新しい技術へのチャレンジを目指している求職者も多いため、入社後に研修や資格取得などでスキルギャップを埋めるのも1つの方法です。
一方、志向や文化のアンマッチは解消が難しく、大きな問題に発展しやすいことから、「なにを大事に考える人がよいのか」などスキル以外の要件を明確にしておくことをお勧めします。採用プロセスに現場社員に関わってもらい、会話やコミュニケーションから「一緒に働きたいか」を見極めてもらうことも効果的です。
アプローチ方法を変える
エンジニア採用では、エージェントや求人サイトなどの活用が一般的ですが、自社サイトでの募集や社員からの紹介(リファラル採用)などのアプローチにも注目が集まっています。
クラスメソッドにおいても、エージェント経由での応募と比較して、自社サイトからの直接応募・社員からの紹介の方が採用に至る割合が圧倒的に高くなっています。
クラスメソッドが運営するオウンドメディアからの応募も多く、情報発信が企業理解につながり、高い採用率に貢献しています。
採用プロセスを最適化する
選考プロセスも検討の余地があります。特に、中途採用では日程調整に手間がかかるため、選考が長引くこともあり、企業と求職者の双方の負担が大きくなりがちです。
例えば、会社説明会の動画配信は参加のハードルを下げ、採用応募につながります。また、最近では、一次面接などに「録画面接」を採用するケースも増えています。録画面接とは、求職者が、事前に提示された質問への回答や自己PRを話す様子を録画して提出し、この動画をもとに選考する方法です。求職者は自分のタイミングで撮影・提出でき、企業としても選考プロセスを効率化できると期待されています。
フリーランス人材の活用という選択肢も
「必要な人材を確保する」という観点では、フリーランスエンジニアの活用も方法の1つです。「すでに開発が始まっている」など、採用に時間をかけられず、すぐにスキルのある人材を確保したいケースでは、短期間で人材をアサインできるフリーランスエンジニアも有効な選択肢と言えるでしょう。フリーランスエンジニアは得意領域を持つ人材も多く、クラウドやAI・機械学習などの新たな領域にチャレンジする際に、該当する技術に詳しい人をピンポイントでアサインできる点もメリットです。
ITフリーランス専門エージェント「プロパゲート」
プロパゲートはクラスメソッドグループの人材教育サービス会社として、フリーランスエンジニアの紹介をおこなっています。営業とエンジニアによるチーム体制をとり、技術面についても詳しくヒアリングした上で紹介することにより、案件への高いマッチング精度を実現します。
また、プロパゲートに直接登録したエンジニアのみを紹介。技術サイト「DevelopersIO」経由での登録も多いことから、クラウド・AWSに詳しく、技術感度の高いエンジニアが多いことが強みです。さらに、クラスメソッドのエンジニアとフリーランスエンジニアの交流会を定期的に開催することで、情報交換や課題解決法の相談、新しい技術のキャッチアップなどの機会を作り、フリーランスエンジニアの継続的なスキルアップにつなげています。
<事例>フリーランスエンジニアの活用で内製化に向けた体制確立を実現
医療・介護・ヘルスケア・シニアライフの領域において、40以上のサービスを展開する株式会社エス・エム・エスでは、事業を支えるシステムを2017年から順次、AWSへと移行、2021年には全面移行が完了しました。あわせてエンジニア採用を進め、開発の内製化を目指していたものの、日々変わるシステムに対応しきれないことが課題となっていました。「外部にスポットで開発を依頼するのではなく、内製化チームのメンバーとして関わってほしい」という考えから、プロパゲートにフリーランスエンジニアの紹介を依頼しました。最初は、WordPressの運用・安定稼働に対応できるエンジニアを紹介していただき、その後2023年末までに4名がジョインし、チームメンバーとして活躍しています。
チームとして考えたときに、業務理解・知識は正社員や既存メンバーで補えるため、フリーランスエンジニアに求めるのはあくまでも技術知識です。プロパゲートでは、必要な技術を持つエンジニアがスピーディに紹介され、求めていた人材の確保を実現できました。
柔軟な採用戦略で、適材適所での人材活用が理想
企業のIT戦略などを考えると、長期的には正社員エンジニアの採用活動は欠かせないでしょう。しかし、直近の課題への取り組みやすでにスタートしている開発案件などでは、フリーランスエンジニアの活用も有効です。短期的な開発や課題解決は、フリーランスエンジニアの協力を得て進めながら、並行して取り組みに関する情報発信などをおこない、採用につなげていくのは1つの理想的な流れと言えます。採用戦略も柔軟に考え、正社員とフリーランスエンジニアが、適材適所で活躍できる環境を実現できるとよいのではないでしょうか。
公開日 2025年01月20日