敏感肌を美肌へ導く特許技術を採用した化粧品
DECENCIA(ディセンシア)は、ポーラ・オルビスグループの敏感肌専門のスキンケアブランドとして、2007年に誕生しました。その原点には、ポーラR&M研究所が発明した特許技術「ヴァイタサイクルヴェール®」があります。
“敏感肌”とは、角層が乱れ、肌が本来持つバリア機能が低下し、紫外線などの外部刺激を受けやすく、また、肌内部の水分蒸散も進みやすい肌状態を指します。「ヴァイタサイクルヴェール®」は、肌にバリア膜を形成し、外部刺激をブロックしながら保湿成分を浸透させることで、乱れた角層を整え、肌本来のバリア機能を高めることができます。
最初の商品であるベーシックケアの「つつむ」シリーズのほか、エイジングケアの「アヤナス」シリーズ、ホワイトニングケアの「サエル」シリーズにもヴァイタサイクルヴェール®が採用されており、「敏感肌ケア」に「より美しくなれる付加価値」を加えた化粧品として多数の方に支持されています。
ディセンシアは“敏感肌女性も安心して使えて、効果を実感できる”商品の研究・開発を続けており、2019年10月には敏感肌用化粧品として“日本初”となるシワを改善する薬用オイル状美容液「アヤナス リンクルO/L コンセントレート」を発売します。
長く愛用してもらうための顧客理解
ディセンシアの商品は、ECを中心に販売しており、また、多くのお客様には定期購入を利用してもらい、長く愛用して効果を実感してもらうことに重点を置いています。そのため同社マーケティング部にとって、ECサイトを中心とした顧客の行動(カスタマージャーニー)の分析が欠かせません。どのように商品と出会ったのか、商品をどのように利用しているのか、見える化することが重要です。
しかし、ディセンシア マーケティング部 マーケティングテクノロジー開発グループ リーダーの吉村隆一郎様によると、従来は顧客活動の情報が一元化されておらず、Web広告、ECサイト、CRM、コールセンターといったマーケティングや顧客サポートの各データはサイロ化していました。
「データを分析したいときには、各システムからデータを収集し、Excelなどを用いて加工して、グラフなどに可視化するという作業が必要でした。一部のレポートを作成するだけでも長時間かかっていましたし、データベースへアクセスできるスタッフも限られていました。各システムのデータを一か所に集約し、データの収集や加工を自動化して属人性を排し、より高度な分析を実現できるようにする必要があると考えていました」(吉村様)
データ分析基盤の構築にあたって、当初の吉村様は、ECサイトとRDBによる構成でよいのではないかと考えていました。ところがクラスメソッドに相談したところ、「Amazon Redshiftをベースとすれば安価で高速な基盤をすばやく構築できる」というアドバイスを受け、「カスタマーストーリーアナリティクス(CSアナリティクス)」を採用することにしました。
全社的な統合分析基盤を短期間で実現
吉村様は、データ分析基盤の構築について、少なくとも半年はかかるだろうと見積もっていました。同グループの仮屋沙織様は、「私は『それでも短い、1年は必要だ』と考えていました。ところが構築自体は2カ月ほどで済んでしまいました。基礎設計を検討してから、たった4カ月で実運用に至ったのです。このスピードはクラスメソッドのノウハウとCSアナリティクスの汎用性によるもので、非常に驚きでした」と述べています。
ディセンシアでは、CSアナリティクスを活用して構築した新しいデータ分析基盤を全社的な統合環境として公開しました。経営層やマネジメント層、現場のスタッフも、自由にデータ分析を実施できる統合基盤です。
マーケティングテクノロジー開発グループでは、従来から手作業で行っていたWeb広告のログ収集を自動でRedshiftに集約する仕組みを設けました。Webブラウザから簡単な設定をするだけで、データ抽出からAmazon S3へのアップロードまでをスケジュール実行する「CSアナリティクスData Uploader」を活用し、CSアナリティクスのDWHであるAmazon Redshiftへのデータ投入までを自動化しています。その効果について、同グループの邵正泓様からはこんな評価をいただきました。
「従来の方法では、Web広告の月次レポートを作るために、データを収集して加工、グラフ化するのに丸2日はかかっていました。それが今では、同じグラフがいつでもダッシュボードに表示されていますので、作業時間はゼロです。また、アトリビューション分析のような従来はできなかった高度な分析も可能となりました」
また、新しいデータ分析基盤はマネジメント層にも好評です。例えばマーケティング部では施策の進捗チェックに活用しています。従来は、スタッフにヒアリングしたりレポートをチェックしたりしてまとめていたものが、今ではダッシュボードにすべて表示されるため、「部長は毎朝ダッシュボードを確認し、次の打ち手を考える起点にしています」(吉村様)とのこと。より精緻なデータドリブンマーケティングに寄与しています。
なおディセンシアでは、ダッシュボードを生成する技術としてOSSの「Re:dash」を利用しています。
「もともと別のBIツールを利用していましたが、より管理しやすいRe:dashを利用する仕様へ変更しました。クラスメソッドは、こうした想定外の要求にも柔軟に対応し、Re:dashサーバーの構築まで手がけてくれたため、大変助かりました」(吉村様)
カスタマイズされたサポートが魅力
ディセンシアのデータ分析基盤の構築にあたり、クラスメソッドでは利用方法をレクチャーしたほか、豊富な経験やノウハウを生かした独自のマニュアルも提供しました。「わかりやすくまとまっていて使いやすい」と好評価です。
クラスメソッドのサポートおよびサービスについて、邵様は「常に先手を取った情報提供で、細かに使い方やメリットをわかりやすく教えてくれました。迅速かつ高品質で、私たち向けにカスタマイズされたサポートが印象的でした。また、AWSのロードマップまで見据えた提案は、“現在の最適な設計”を安心して受け入れることができました」と述べています。
ディセンシアの製品やサービスは、顧客満足度が最も重要な指標の1つで、個々の顧客にパーソナライズされた情報やコミュニケーションが強く求められています。
「これまでの分析は、あくまで社内のデータを対象としたものです。今後は、新しい分析基盤をベースに外部データとの連携を強化し、さらにAIや機械学習のような先端技術を採り入れて、より高度なデータ分析を実現したいと考えています。CSアナリティクスは、Redshiftをより使いやすくしてくれるソリューションです。これと同様に、AWSの新しい技術を、よりいっそう使いやすい“クラスメソッドソリューション”として提供してほしいと考えています」(吉村様)