エレベーター・エスカレーターの安全と安心を支える技術
デジタルツイン実現のためのクラウド利用を支援

フジテック株式会社

専務執行役員 デジタルイノベーション本部 本部長 友岡 賢二様
デジタルイノベーション本部 テクノロジー研究部長 小庵寺 良剛様
フジテック株式会社
公開日:2023年4月12日

エレベーター ・エスカレーターの専業メーカーとして、研究開発や製造はもちろん設置や保守、リニューアルなどライフサイクル全体を支援するフジテック。国内における公共・商業施設などでのトップシェアに加え、グループ全体で23の国と地域にサービスを提供し、幅広く都市の発展を支えています。

今年2023年2月に創業75周年を迎える同社が大切にしているのは「安全と安心」です。専業一貫体制で培った技術と経験に加え、建屋に合わせた素材の選定から設置・調整まできめ細かなサービスを提供し、保守においても全国100以上のメンテナンス拠点を構えるなど万全な体制を整えています。

IT部門による製品・サービス品質向上

フジテックの「安全と安心」は製品・サービスだけでなく、それらに繋がるITシステムによっても支えられています。特に近年ではIoTで昇降機の変化や人の有無などを瞬時にわかるようにしたり、災害時のオペレーションにおけるAI活用など、同社が追求するものとデジタル技術は不可分です。情報システム部門におけるR&D業務を担う小庵寺良剛さんは、フジテックの取り組みについてこう語ります。

「一番注力するのはやはりエレベーターの安全確保ですね。例えば地震でエレベーターが止まったら現場に向かって確認・再開させる必要がありますが、早期復旧にはどの経路が最短かAIで考え、またエレベーターのログと過去のデータを紐付けることでベテランの技術者でなくても推測できるような機械学習をさせることも進めています」

ほかにもスマートグラスを使って現場に行かずともパトロールを可能にしたり、エンジニア同士の連携を図るなど、サービス品質の向上には技術が欠かせません。「ツールやサービスを駆使して全体のレベルを上げ、お客様の安全に繋げたい」という思いを様々な形で実現させています。

お客様に安全を提供するデジタルツイン

同社CIOの友岡賢二さんは、自社製品へ導入するデジタル技術についてお客様に「意識させない」サービス提供を目指していると話します。

「エレベーターは電気ガス水道や電車と同じ生活動線、ライフラインです。動いて当たり前のものをいかにご不便をおかけしないで維持するかが大事で、そこにデジタルなものを意識させずきちんとサービスが提供される状態を担保したいと思っています」(友岡さん)

そんな友岡さんはご自身の仕事について「デジタルツイン」を挙げます。

「私がやっているのはデジタルツインの実現です。それは私たちの製品と保守などのサービス、そしてお客様の3つをプラットフォーム上で緩やかにつなぐことで、デジタル上での再結合によって現実世界がうまく回るようアシストすることを目指しています」(友岡さん)

フジテック株式会社
その一例として、2022年10月に同社は製品の稼働状況などをPCやスマホで確認できるビル管理者向けサービス「エレモリ」をリリースしました。

「主に電話がベースだったコミュニケーションが、ポータル経由で監視情報の共有、エレベーターの設定がお客様側でリモート設定できる環境を整えました。今までお客様とエンジニアのやり取りを挟んで今まで機器とは繋がってなかったところをデジタル上でアクセスできるようになっています。緊急度によって自動応答か人が対応するかなどコミュニケーションのデザインは今後も必要で、よりお客様が心地よく使えるサービスにしていけたらと思っています」(友岡さん)

多彩な場面で活用するAWSプラットフォーム

多様なサービス提供を大規模・広範囲行っていく上で、デジタルインフラやサービスにはクラウドという選択肢に向かいます。現在グループ全体で約4割がクラウド化し、今後もデジタルイノベーションを推し進める現状について友岡さんは「デジタルツインを実現するという意味ではクラウドなしではできません」と話します。

「イノベーションが起こり、できなかったことが今すぐできる。AWSやGoogle Cloudなどサービスの違いを組み合わせて使ったり、自分たちでやるかSaaSを活用するかなどユーザー企業としてレイヤーも上げながら進めています」(友岡さん)

なおAWS活用例としては、海外の昇降機をデジタルツイン化するためにソラコムのSiMを各国のエレベーターに装着してデータを収集し、海外リージョンにあるデータベースにデータを集積して日本からグローバルに管理する体制を展開。「IoTの中心となるのはAWSのプラットフォームですね」とのことです。

小庵寺さんも「かなりいろんなところで使っています」とAWS利用の現状について、

「エレベーターに関するお客様向けサービスではAPIでいろんな情報を内部向け・社外向けそれぞれのシステムにあるデータを提供する仕組みにしていますが、認証部分やその結果を保持したトークンなどもAWS上に集約して構築し、開発工数を抑えることができています」(小庵寺さん)

とそのメリットを話してくださいました。

よき相談相手としてのクラスメソッド

フジテックは早くから“クラウドファースト”をIT戦略として取り込み、システムのクラウド化を推進してきました。AWSにおいては2010年代中盤からクラスメソッドメンバーズのAWS請求代行を通じて多数のインスタンスを契約・稼働させています。

「最初はAWSを請求書払いができればよい、という状況でしたが、ある程度使い続けていくにはサポートが必要だと思いました。当時『これからエレベーターのIoTを』と目指すなかで、事例やAWSからの紹介内容からクラスメソッドの支援が近しいと感じました」(小庵寺さん)

そして2017年にはR&Dの一環として、クラスメソッドがテンプレート化したIoT基盤をフジテックにご活用いただき、スピーディーなシステム構築の検証を支援しました。

フジテック株式会社
「こちらが『こういうことをやりたい』と言えばホワイトボードにざっと書いてすぐ『できます』と答えをくれる。クラスメソッドにはいろんな方がいらっしゃって面白いなと感じました」(小庵寺さん)

近年においては、AWS利用料金の最適化に関する手法のご案内や、DevelopersIOでの検証結果の共有など“相談相手”としてもお声がけいただいています。

「クラスメソッドはクラウドについて相談する窓口のひとつです。相談するとブログ(DevelopersIO)のURLが送られてきますし(笑)。今後はユーザー企業同士がコミュニティ的にエンゲージするような機会もいただけたらうれしいですね。ローコード、ノーコードの新しい流れなど、ユーザーがどんな関心があるか知るのは重要ですし。本気でコミュニティ立て上げるんやったら全然コミュニティリーダーとしても動きますよ(笑)」(友岡さん)

フジテックが描くデジタルツインの実現。その道のりにAWS支援分野をはじめ技術の潮流に合わせて最適な支援ができるよう、クラスメソッドは今後も様々な形でフジテックの「安全・安心」に寄与できるよう支援に努めてまいります。

この事例はIoTインフラ開発支援サービスをご利用いただいています

クラスメソッドはIoTデバイスを扱うためのフルマネージドサービスAWS IoTを活用した技術支援を行っています。大規模サービスに適したサーバーレス環境の構築から社内検証のためのPoCまでエンジニアが幅広くサポートします。

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