ガバメントクラウドビジネス拡大に向けてアライアンス契約を締結。実務体験型トレーニングでAWS技術者を育成

シーデーシー情報システム株式会社

代表取締役社長 音田昌利 様
クラウドソリューション部 部長 福富喜彦 様
クラウドソリューション部 土屋友佑 様、臼井皐 様、荒木陽介 様、名池一武 様、宮田琴音 様
シーデーシー情報システム株式会社
公開日:2023年6月07日
BEFORE
  • 2025年を見据えた「ガバメントクラウド」への対応が必要
  • 自治体が保有するITインフラ環境上にシステム構築するプロジェクト中心
  • オンプレミスの受託開発が主体のため、社内にAWS技術者が不在
AFTER
  • クラスメソッドとのアライアンス締結により、クラウドビジネス構想を実現へ
  • 「AWSセレクトティアサービスパートナー」「AWS公共部門パートナー」の認定取得
  • トレーニング受講メンバーがAWSへのリフト・クラウドサービス運用案件を担当

千葉市に本社を置き、自治体や公共団体向けのシステム開発を中心に手がけるシーデーシー情報システム。政府がガバメントクラウドへの移行を加速させる中、同社はAWSを活用したクラウドビジネスの強化を決定し、クラスメソッドとアライアンス契約を締結しました。

その一環として、クラスメソッドグループが提供する教育プログラムを活用し、クラウドソリューション部のメンバー5名に対してAWSによるインフラ構築の要件定義・設計・構築・プリセールスを実務形式で学ぶトレーニングを実施しました。3カ月間のトレーニングでさまざまな技術を習得したメンバーは、AWSへのリフト案件や自社クラウドサービスの運用に参加しています。

アライアンス戦略と実務体験型トレーニングについて、代表取締役社長の音田さん、クラウドソリューション部長の福富さん、トレーニングを受講した5名のメンバーに伺いました。

ガバメントクラウドは新たなビジネスチャンスであり成長の機会

シーデーシー情報システムは、地域社会の情報化に貢献する企業を目指して1968年に設立されました。現在は「現場第一」をモットーに、お客様とのコミュニケーションを基本行動とする、未来社会の実現を目指しています。事業としては、自治体向け受託開発をはじめ、自社PKGの土木設計積算システム販売や水道料金関連システムの開発・システム提供・公共料金徴収業務サービスを主力とするほか、自社ソリューションとしてクラウド型の粗大ごみ持込/収集予約システムの開発・サービス提供・運用を手がけています。近年は、国や自治体における給付金支給業務の業務委託やコールセンターサービスを手がけるなど、新しい事業領域にも積極的に進出しています。

自治体向けシステムの受託開発を主力とする同社では、自治体が保有するITインフラ環境上にシステムを構築するプロジェクトが中心となっています。ほとんどがオンプレミス環境での開発で、同社においてもレガシーシステムに強い技術者を200名近く確保しています。しかし、近年では政府やデジタル庁が「ガバメントクラウド」(政府クラウド)の活用を推進しており、地方自治体の情報システムについても2025年度末までの開始が予定されています。こうした動向を受けて、同社もクラウドビジネスの拡大に舵切る戦略を打ち出しました。

「ガバメントクラウドは新たなビジネスチャンスであり、成長の機会でもあります。そこで、ガバメントクラウドの先行事業で採用実績があり、将来の成長にも期待できるAWSを中心としてクラウド事業を拡大することにしました。そのためにも、自社内でAWS技術者を育成することが急務です」(音田さん)

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AWSビジネスの拡大に向けてクラスメソッドとアライアンス契約を締結

ガバメントクラウドに向けてAWSビジネスに踏み出す中、千葉県内の自治体向けに粗大ごみ持込/収集予約システムをクラウドサービス(SaaS)で提供する開発案件が発生しました。

そこで同社はAWSジャパンからの紹介を受けてクラスメソッドとコンタクトを取り、技術支援を要請しました。当案件では本格的な技術支援を受けるまでに至らなかったものの、2022年7月にクラスメソッドと技術協力に関するアライアンス契約を締結。その第1弾としてクラスメソッドが提供する「AWSトレーニングサービス」と、実務体験型トレーニングの受講を決めました。

「クラスメソッドのAWSに関する技術力の高さに感銘を受けたのが、アライアンス契約を締結した理由です。その後、ガバメントクラウドやAWS事業の拡大に向けて対話を重ねる中で、AWS認定を取得するためにAWSトレーニングサービスの受講を決めました。本格的なプロジェクトへの参画には実務レベルの知識が必要であり、体験型トレーニングも受講しました」(福富さん)

シーデーシー情報システム株式会社

クラウドビジネスのコアメンバーとなる若手社員が実務体験型トレーニングを受講

クラスメソッドの「AWSトレーニングサービス」は、座学でAWSの基礎を習得するものです。同社では2022年9月に初級編の「AWS Cloud Practitioner Essentials(1日)」と、中級編の「Architecting on AWS(3日)」を複数の技術者が受講しました。

その後、クラウドビジネスのコアメンバーとなる若手社員5名を選抜し、実務体験型トレーニングを2022年10月から2023年1月までの3カ月間で受講しました。この実務体験型トレーニングは、クラスメソッドグループの人材教育サービス会社であるプロパゲート社が提供するプログラム「DevelopersIO BASECAMP」(通称:デベキャン)をシーデーシー情報システム向けにアレンジしました。

デベキャンでは、受講者は出題された課題に対して、実務に沿ったインフラ環境の構築やシステム設計の提案作成に取り組み、プレゼンに対するフィードバックを通して業務のコツをつかんでいきます。トレーニングはオンラインで実施し、参加した5名は受講期間中は通常の業務から離れてフルタイムで課題に取り組みました。

期間中は、週に1回の全体定例会でメンバーの進捗状況や各自の学びを共有します。また、クラスメソッドやプロパゲート社のエンジニアがメンター(指導者・助言者)としてつきます。受講者はチャットを通じてメンターへ質問したり、アドバイスを受けられる環境が得られます。

トレーニングは、3つのフェーズに分けて実施しています。フェーズ1では、構成図やパラメータシートをベースにAmazon EC2、Amazon RDS、Amazon CloudWatchなどを使ったAWS環境を構築し、サービスを理解します。フェーズ2では、要件を整理してパラメータを設計し、顧客役に提案して合意を得ながら進めることで、AWSの活用に関する理解を深めていきます。そしてフェーズ3では、プリセールスとして顧客役の要件を整理して構成を提案したり、予算を提示したりしながら、ヒアリングやアーキテクティングのポイントを学びました。

受け身の姿勢から積極的提案型へのマインドチェンジが実現

トレーニングを受講した5名のメンバーは、ほとんどがAWS初心者で、ITインフラに関する知識や経験もばらばらでしたが、各自がそれぞれの学びを得られました。5名の感想や実務研修で得た気付きは以下のとおりです。

「インフラエンジニアとして9年のキャリアがあり、技術面での苦労はありませんでしたが、AWSビジネスの最前線で活躍しているメンターから日々刺激を受けながら学べて、充実した3カ月でした。また、顧客役との対話を重ねながらアーキテクチャが徐々に洗練されていく過程を学べました。研修終了後、自社のデータセンターで運用しているシステムをAWSにリフトする案件を任されていますが、学んだ知識を活かして社内でも積極的に提案しています」(土屋さん)

「アプリケーションエンジニアとして9年の実績はありましたが、AWSは触ったことがなく最初は不安がありました。今回の経験によって要件定義、設計、構築に関する不安がなくなりました。メンターとのやり取りを通して、お客様からの要望を待つだけでなく、積極的に提案することで、ビジネスのスピードが加速されるのが感じられました。現在はAWSの事業展開の企画やAWS技術者の育成プログラムの作成の業務を担当していますが、その中で研修の経験を活かしていきたいと思います」(荒木さん)

シーデーシー情報システム株式会社

「研修時は新卒入社2年目で、座学の研修を受けてから参加しました。エンジニアとしての経験が浅い分、自分の知識内で考えるのに限界もありました。メンターからは、さまざまな可能性を模索したり、周囲の意見を受け入れて異なる視点を持つ方法を教えてもらいました。研修での学びは、現在担当している自治体向けクラウドサービスで活かしています」(宮田さん)

「アプリケーションエンジニアとして5年の経験があるものの、インフラ構築は初めてでした。研修ではヒアリングのポイントを学び、顧客への質問の仕方によって提案のイメージが変わることを実体験を通じて理解できました。メンターから、私の質問に対して考え方の方向性を示してくれて、非常に力になりました。現在、AWSのリフト案件にて研修での学びを活かしてプロジェクトに当たっています」(名池さん)

「アプリケーションエンジニアで、AWSの知識がない中での参加でしたが、構築からプリセールスまでひととおり学べたのが印象に残っています。メンターからは不明点に対してどこから調べるのかといった、調べ方のコツを教えてもらいました。現在、AWS上で提供している自治体向けクラウドサービスの運用保守業務の中で、研修で学んだ知識を活かしています」(臼井さん)

シーデーシー情報システム株式会社

受講者の感想からわかるように、実務的な知識を得たメンバーはマインドチェンジが進み、AWSへのリフト案件や、自治体向けクラウドサービスの運用案件などで活躍しています。

「受託開発を主体とする当社のビジネス上、最初のうちは社員の中にも受け身の姿勢が残っていましたが、受講後は自信を持って積極的に提案するようになってきました。クラスメソッドの文化に触れたことで、アウトプットされたものに対しても自発的にリアクションしたり議論したりすることも増え、マインドは確実に変化しています」(福富さん)

AWS技術者の教育に関しては、今後も新たなメンバーに対して座学の研修や実務型研修を実施し、チーム体制を強化していく予定です。さらに全社的な技術レベルの底上げに向けて、新入社員研修にも初心者向けのAWSトレーニングを採り入れていく考えです。

新たなクラウドビジネスにチャレンジするための土台が完成

研修を終えた2023年2月には、シーデーシー情報システムはAWS移行を望む顧客にコンサルティングやマネージドサービスを提供する企業に与えられる「AWSセレクトティアサービスパートナー」と、政府機関や自治体などの公共市場向けのビジネス拡大を進める企業に与えられる「AWS公共部門パートナー(PSP)」に認定され、本格的なAWSビジネスを展開する準備が整いました。

「アライアンスの締結と研修プログラムの受講により、新たなクラウドビジネスにチャレンジするための土台ができ、社外に発信していく準備が整いました。社内に対してもテクノロジーカンパニーの中でエキスパートになる方針を示せたことで、エンジニアリング力の強化につながっています」(音田さん)

今後もクラウドビジネスの新たな組織を突破口に、クラスメソッドとのアライアンスを強化しながら、自治体や公共向けを中心として幅広い領域でクラウドビジネスを拡大していく方針です。クラスメソッドの販売チャネルを活用して、千葉県内や関東圏内だけでなく全国へクラウドビジネスを展開することも構想中で、クラスメソッドにはさまざまな方面から期待を寄せています。

「現在は公共領域でのクラウドビジネスが中心ですが、民間企業向けにもシステムのクラウド移行案件などへ積極的に関わっていく予定です。また、お客様のライフパートナーになるべく、構築だけでなく運用や保守を含めた一貫性のあるクラウドサービスを提供していきます。トレーニングプログラムのようなプラスアルファのサービスも一緒に展開していければと考えています。クラスメソッドは、クラウドに関するお客様のニーズや事業者としてのシーズを持っていますので、さまざまなノウハウ提供と相互協力を期待しています」(音田さん)

クラスメソッドは、今後もデジタル社会の実現・発展への貢献を目指すシーデーシー情報システムのクラウドビジネスに技術支援を通して貢献してまいります。

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