LINE上のデジタルポイントカードでレジ体験を改善
One IDで「お客様のための価値」向上へ

東急株式会社

デジタルプラットフォーム マーケティンググループ 主査
井上 隆二様
東急株式会社
公開日:2023年1月10日
BEFORE
  • 店舗レジでお客様が複数枚のポイントカードを提示する手間を削減したい
  • お客様が物理カードの持ち歩きや管理する手間を減らしたい
  • ポイントカード入会をスマホ上で完結させてカードを身近なものにしたい
AFTER
  • 東急ポイントと楽天ポイントを1つのバーコードで同時スキャン
  • デジタルポイントカードとしてスマホ上でのカード利用を可能に
  • 運用&開発コストを抑えた構成でスピーディに新機能をリリース

東横線、田園都市線を始めとした鉄道事業を基盤として、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業を主な事業分野とする東急グループ。サービスや情報を最適な形でお届けするため、2020年にOne to Oneマーケティングの一環としてLINE LIFFアプリを構築しました。

そして2022年5月、デジタルで完結するポイントカード、そして1つのバーコードスキャンで複数社のポイントを同時に貯めることができる機能を搭載し「TOKYU POINT CARD on LINE」をリリース。LINEアプリ開発をスタート期からサポートしているクラスメソッド(参考:LINE活用One to Oneマーケティング」)が、今回もパートナーとして採用されています。

本プロジェクト担当者であるデジタルプラットフォーム マーケティンググループの井上隆二様に、今回のLINEアプリ開発の経緯からリリース後の導入効果、今後の展望まで、詳しいお話を伺いました。

LINEで2種類のポイント付与を一度に

もっとも身近な顧客コミュニケーション手段であるLINEを活用し、お客様との新しい関係構築を始めた東急。のちに、同社はLINEを単なるコミュニケーション手段に留めず、利便性など様々な価値をお客様に提供するプラットフォームとして利活用を進めてきました。現在、東急ストアのLINE公式アカウントとTOKYU POINT会員番号を連携させ、お客様が必要とする情報をお届けできる仕組みを備え、東急百貨店各店や東急沿線の商業施設であるetomo(エトモ)、二子玉川ライズ・ショッピングセンター、たまプラーザ テラスなど、LINEを活用する施設が広がりつつあります。

このLINEの活用推進と同時期に東急グループの様々な施設で導入が進んできたのが、楽天ポイントです。特に東急ストアでは、一度の買い物でTOKYU POINTと楽天ポイントを両方貯めることができるようになり、よりお得にお買い物できるようになりました。一方で、2つのポイントを貯める為には、レジでポイントカードが2枚必要になり、スキャンも2回必要になります。

東急株式会社
「レジスタッフもお客様も手間が増え、レジの通過時間が長くなってしまうことでストレスをおかけしてしまう状況になってしまいました。これを解決しようと、検討が始まりました」(井上さん)

そこでたどり着いた案が“デジタルポイントカード”でした。LINEへのTOKYU POINT連携を行う会員が増える中、さらに楽天ポイントも連携させればひとつのLINEユーザーIDに2つの会員情報を紐づけたことになります。それをデジタルポイントカード上で1つのバーコードから両ポイントの会員番号を呼び出せば、お客様・レジスタッフ双方にとって便利になります。

One ID化したデジタルポイントカードをLINE上で実現できれば、プラットフォームそのもののアップデート対応などの手間が削減でき、開発コストが抑えられます。これらの総合的な判断の結果、今回の機能実装に際してもLINEアプリが採択されました。

スピーディな解決を求めクラスメソッドLINEアプリ開発に

「『1つのバーコードで2つのポイントを』というのは単純に聞こえるかもしれませんが、楽天側と連携させる為には『何をどう連携させるのか』色々と議論する必要がありました。これについては1年以上前から各社と相談を進めていき、並行してクラスメソッドさんにも相談を開始しました」(井上さん)

パートナーとして選ばれた背景のひとつには、検討過程で出た「会員登録がすぐできればいいのに」という課題への提案があります。当時、TOKYU POINT登録には加盟店や駅などで実物のカードを入手し、かつ登録手続完了まで数営業日待つ必要がありました。クラスメソッドはそれらの手続きをデジタルで完結させ、迅速化を図る仕組みを提案しました。

「デジタルポイントカードの開発実績をお持ちで、スピーディーな会員登録の仕組みをクラスメソッドからご提案いただき、最終的に登録後即座にポイントバーコード表示ができるデジタル発行機能の実装にいたりました。我々の希望する機能を実現してくれる会社だろうと思えましたね」(井上さん)

建設的なアジャイル開発と運用コストを抑えた構成で実現

本プロジェクトは、クラスメソッドのベトナム開発パートナーとともに、アジャイルなオフショア開発を行いました。これにより機能実装のフェーズでは、短い期間で実際に動作する機能を継続的に開発し、東急様からのフィードバックを常に取り入れながらより良いプロダクトの開発に取り組むことができました。

「クラスメソッドさんからはいつも根拠と共にご提案をいただき、それに対して我々からも希望を伝えて、毎回建設的な議論をしながら開発を進められたと思います。またAWSの技術的知識はもちろんですが、リリース後の運用というところを見据え、ともすれば桁の違うAWS料金がかかりそうだったところ、コストを抑えたシステム構成をご提案いただき、とても助かっています。これはクラスメソッドさんならではないかと思います」(井上さん)

AWSは“使っただけ”運用でコストが発生しますが、これまでの開発経験を踏まえ、どのような構成であればコストを抑えられるのか、具体的な提案もさせていただいています。このほか、SMS認証に関してはAPIの有用性や性能面からTwilio Verifyの導入をご提案させていただきました。

『お客様のための価値』に資するテクノロジー活用

東急株式会社 「TOKYU POINT CARD on LINE」がリリースされ、開始から約4ヶ月でTOKYU POINT会員の10%が東急ストアで利用するようになるなどその存在が徐々に浸透しています。こうした状況を見て、井上さんは想定していた課題に対する解決の手応えを感じられているようです。

「これまでTOKYU CARDやTOKYU POINT CARDをLINEに連携し、お気に入り店舗を登録して頂くと、お客様に合わせたキャンペーン情報やポイント情報など、お得な情報の配信が来るようになっていました。ただ、それ以上のことは無かったとも言えます。それが今回のデジタルポイントカードという“お客様に対しての機能”を実装することによって、レジ体験が改善し、LINE公式アカウントの“友だち数”の増加にも繋がっています。お客様にとっての“価値”を、機能を通して提供・追加できるようになったなと実感しています」(井上さん)

今後、東急ストア以外の商業施設でも使えるようにしていきたいと考えている、と井上さん。まだ導入していない店舗からの注目も高いといいます。

「様々な施設でこのような連携を行っていこうとすると、東急側の事情、ビジネス側の都合、データ構造が現状こうなのでこういう連携しか難しい等、様々な事情が多くあります。それらをなんとか乗り越えて、今回はリリースができました。これを機に改めて『お客様のための価値とはなんだろう』ということをフラットに考えていきたい。その際に、技術的な面からの解決策を、これからもクラスメソッドさんにご提案頂きたいと思っています」(井上さん)

今後も、同グループのマーケティング担当として「お客様にとってより便利で快適な生活をお届けし、結果的に事業と社会に貢献する」という井上さんの思いを叶える“次の一手”を下支えできるようクラスメソッドは技術力によって支援を行ってまいります。

この事例はLINE総合支援サービスをご利用いただいています

クラスメソッドはLINEアプリ開発やLINE Pay、LINEを活用したサービス開発を技術支援します。国内最大級のコミュニケーションプラットフォーム「LINE」のビジネス活用をお考えのお客様はクラスメソッドまでご相談ください。

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