CDNのスピード導入で、
10倍に跳ね上がったアクセス数を難なく処理

株式会社中国新聞社

営業本部メディア開発室
高島義之様、野坂健三郎様
株式会社中国新聞社
公開日:2020年9月3日
BEFORE
  • ニュースサイトへのアクセスが昨年の10倍に膨張
  • 記事のアクセス集中によってサイトが重くなることも
  • コロナ禍によってシステム改善が急務に
AFTER
  • 複数CDNベンダーの中からAWSのCloudFrontを導入決定
  • RFP送付の1週間後にプレゼン、その翌週にクラスメソッドを選定
  • 当初の想定より早いタイミングで導入を完了

明治25年に創刊した中国新聞社は、広島県を中心とした中国地方各県に拠点を置く新聞社です。発行部数56万部を数える日刊紙「中国新聞」を始め、ベテラン編集デスクが朝刊とはひと味違う視点と感性で記事を選んだもうひとつの朝刊「中国新聞SELECT」、その他タブロイド紙など発行しています。

インターネット上での展開では、2019年5月、自社ニュースサイトを「中国新聞デジタル」と命名し刷新。それまでも、朝刊を定期購読している会員を対象にクローズドなサイトでニュースを提供していましたが、「中国新聞デジタル」では読者以外でも一部コンテンツを閲覧できるように方針を転換しました。
さらに同年秋に大手ポータルサイトに記事提供を始めた影響で、「中国新聞デジタル」のアクセス数は徐々に増加。話題のニュースが掲載された場合には、アクセス数が突然急増する、いわゆるスパイク型の流入増加があり、サイトが重くなるという事態に直面していたそうです。

この課題を解決するため、中国新聞社は2020年5月からAWSのCDNツールであるAmazon CloudFrontを採用しました。開発のプロセス、スピード感、そして導入後に実感した手応えまで、営業本部メディア開発室の高島義之様と野坂健三郎様のお二人に、詳しくお話をうかがいました。

突然のコロナ禍が招いた、“待った無し”の開発スケジュール

2019年秋から大手ポータルサイトへニュース提供を開始したことにより、「中国新聞デジタル」のアクセス数は徐々に伸び始めていました。それに加え、河井前法相夫妻買収事件に関する報道なども注目され、アクセス数が急増し、サイトのレスポンスが遅くなる事態がたびたび発生し始めました。中国新聞社は、アクセス集中時のレスポンス改善として、11月頃からサイト負荷軽減の施策検討を開始、2020年1月の段階では「夏頃までにはCDNを導入しよう」と考えていました。

株式会社中国新聞社
しかしこの計画は変更を余儀なくされます。2020年春の「コロナ禍」という異例の事態で迎えた「中国新聞デジタル」のサイトは、さらにアクセスが増えました。大手メディアでは、地方の新型コロナウイルス感染に関する報道が薄いこともあり、さまざまなメディアで、「新規感染者見つかる」と伝えると、詳しく知りたいと、サイトに爆発的に流入する事態になりました。

「ちょうど1年前と比べると10倍程に跳ね上がったアクセス数を目の前に、これは改善待ったなしだ、という状況になりました。早めに処置をしないと、せっかくサイトを見にきていただいた読者の方々にご迷惑をおかけする事になると思い、検討を加速したのが3月初旬です。ローンチのターゲットをゴールデンウィーク頃に設定したスケジュールで、何社かに提案依頼書をお送りしました」(高島さん)

当初は運用のことも視野に入れ、構築は同社のグループ会社で行い、そこにアドバイザーとして入ってくれる企業を探す予定でした。しかしローンチを急ぐと決定した時点で、経験のあるエンジニアに任せる方が良いという判断になりました。

「AWSだけではなく、他のCDNベンダーにもいくつかお声がけして比較検討しました。時間もなかったので、提案依頼書をお渡しした1週間後にはプレゼンしていただき、その1週間後にはベンダーを決定するというスピードで進めました。クラスメソッドさまは、元々付き合いのあったAmazonの営業からご紹介いただきました。決め手となったのは比較検討時の質問に対して、エンジニアの方から非常に的確なレスポンスがあったこと。さらにコスト面でも、我々から見て適正だと感じたため、ご一緒させていただくことにしました」(高島さん)

「一刻も早い本番導入を」期待に応えるスピード開発

導入までのスピードを最優先させるため、「中国新聞デジタル」のサイト、サーバーに対してはできるだけ手を入れず、変更はCDN側で吸収して進めたいという希望がありました。また、テスト環境での入念なチェックをしてからではなく、なるべく早く本番に導入し、その後調整を重ねたいという希望もありました。

「検証用サイトで基本的なところをチェックして、すぐ本番に反映しました。本当なら検証で細かい設定まで固めるのが普通かもしれませんが、少々トラブルがあっても早期にCDN導入した方が読者の皆様のメリットに繋がる状況でしたので、一刻もアクセス集中時のレスポンス改善を図りたかった。ローンチはゴールデンウィーク明けを想定していたのですが、受け入れテストの準備を済ませた状態で、クラスメソッドさまから引き渡しを受け、当日からテストを始めるなどの態勢を取ったことで、さらに早く4月末には導入できました。」(野坂さん)

「中国新聞デジタル」のサイトはPHPで書かれており、URLが動的に生成される仕組みだったことから、静的なページをキャッシュするだけのCDNとは違った設定が必要でした。詳細なテスト無しでのリリースだったため、初期には部分的に設定漏れも存在しており、記事写真のサムネイルが変わっていないことを社内から指摘されて、冷や汗をかいたこともあったそうです。それでも設定を迅速に変更すること対応でき、一般ユーザーへのトラブルになる程の大きな事態は起きませんでした。

「クラスメソッドさまとは終始、タスク管理ツールであるBacklogを通じたやりとりでしたが、適切にお答えいただいたと思っています。やや細かい設定の仕方についての質問にも真摯にご回答いただき感謝しています。」(野坂さん)

アクセス数急増への対応で、ビジネスチャンスを取り溢さないこと

CDN導入後のゴールデンウィーク明けには、サイト訪問の9割をCDNで吸収できていることが、画像のキャッシュ利用率などから確認できました。CDNを入れたことによって、導入前にはサイトが重たくなっていたような数の倍程度のアクセスになってでも、余裕をもって受け入れられるようになりました。コストと比較して、そのパフォーマンスには驚いてます。

「これまで、大手ニュースサイト上で反響が大きくなると、「中国新聞デジタル」の表示が重くなっていた状態でした。それが問題なくこなせるようになりましたので、今後はもっと色々な場所にニュースを提供して、中国新聞デジタルのサイトにアクセスを流入させていく意欲に繋がっています。アクセスが増えることは、購読会員数や広告収入の増加にも繋がっていますので、ビジネスチャンスも拡大していると思います。」(高島さん)

今回の開発・導入の肝は、なんと言ってもそのスピード感にありました。以前からAWSを利用したWebサイト運用も行ってきた中国新聞社でしたが、エキスパートエンジニアに頼むことで早急にリリースできるメリットを十分に感じることのできた案件だったとのことです。

「今回は本当に開発のスピード感にありがたさを感じました。開発にかかる時間を理由に諦める施策もあると思いますが、逆にスピードがあることで実施できることもあると思います。」(高島さん)

「今は良いツール・サービスが既に世の中に沢山あるので、スクラッチでゼロから開発するのではなく、既存サービスをどのように組み合わせるのか、どれだけのスピード感をもってやるのか、というフェーズにあると強く感じた開発になりました。」(野坂さん)

現行メディアはIaaS上で動いているという中国新聞社。今後は同業他社と同じくクラウドサービスへのシフトも検討の視野に入ってくることでしょう。今回のCDN導入を通して、オンプレミス運用のノウハウだけではクラウドサービス活用に向けては知識不足と考え、今後のクラウドシフト検討に際しても的確な指摘ができるパートナーは必須だと考えているそうです。
クラスメソッドはこれからもクラウドに関する技術力をもって、中国新聞社のデジタルメディア運営をサポートしていきたいと考えています。

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