“創る”喜びを促進し本当に欲しいものを短期間に開発
自走できるアジャイル開発を目標にじっくり人材支援

本田技研工業株式会社

四輪事業本部 ものづくりセンター 生産技術統括部
車体生産技術部 IoT技術課 谷野伸治様、岩根義忠様、星直人様、髙橋和光様

公開日:2021年7月13日

  • プロジェクトチームというミニマムなメンバーのみがアジャイル開発を体験した段階
  • 外部コーチに頼ることで、スクラムを回すことができるようになったばかり
  • 自社内に、アジャイル開発を自信をもってサポートできるメンバーがいない

  • 実践的なアジャイル開発経験のあるメンバーが一気に増えた
  • アジャイルマインドを持ち、開発をサポートできるメンバーを自社内で育成できた
  • 勉強会に約80人が参加!課全体として、アジャイル開発の受け入れ体制が整った

四輪、二輪、発電機等のパワープロダクトで日本を牽引する企業の一つ、本田技研工業株式会社。このうち四輪事業本部にある生産技術統括部 車体生産技術部 IoT技術課では、設備やシステムの効率化について企画・開発・検証・導入・保守を幅広く手掛けています。いわゆるIoTシステムはもちろん、生産管理系システム、画像検査に利用するAIエンジンを量産設備に組み込むための開発など、生産プロセス革新のための企画、工場のデジタル化、運用を考慮に入れた開発工程は、一般的なソフトウェアベンダーとは大きく異なる所です。

このIoT技術課では、2019年よりアジャイル開発の取り組みを始めました。少人数のチームが最小単位の機能開発とテストを短期間で繰り返すことで開発を進めていくのが特徴の“アジャイル開発”。その中でも、ソフトウェア開発プロジェクトとしてチームでのコミュニケーションを重視する“スクラム”の手法を取り入れました。

2020年はプロジェクト数を増やし、個々での推進から、組織での推進とするために、クラスメソッドへアジャイルコーチをご依頼頂きました。2020年夏から9ヶ月間の支援の末、アジャイル開発に取り組んだプロジェクトは5チーム、アジャイル開発のサポートメンバーとして8名が社内チームのフォローを続けています。

ソフトウェア開発の手法として認知されるようになった「アジャイル開発」が、ものづくり企業として知られる本田技研工業の中でどのように取り入れられていったのか。当時の課題意識から、クラスメソッド支援の様子、また今後の展望まで、今回アジャイル開発のコーチングを受けた生産技術統括部 車体生産技術部 IoT技術課の、谷野様、岩根様、星様、髙橋様に、詳しくお話をうかがいました。

本当に必要としているものを、短期間で品質良く創るために

IoT技術課では2019年にアジャイル開発を1チームでミニマムスタートさせました。実践の前に感じていた課題には、製造業ならではの悩みや難しい部分も多くありました。

「従来の開発手法では、まず開発前に多くのドキュメントを作り、それに従って実装します。ただ、最終的に受け入れ試験をする頃には『やっぱりこうだとよかった』『イメージと違う』ということは良くあります。また、機能やソフトによって担当者を振り分け、異動後も開発時のメンバーに修正依頼が発生するような、属人性の高い状況になっていました。本当に必要としているものを短い日程で品質良く提供する仕組みを作りたい。その手段として、スクラム、アジャイル開発を取り入れようということになったんです」(谷野さん)

スライド引用:【13-B-6】Hondaの生産技術屋さんがソフトウェア開発でアジャイルを初導入し組織変革に挑戦
※ EG:旧ホンダエンジニアリング株式会社 ⇒ 現在は本田技研に統合され生産技術統括部へ(2020年4月)

管理職にはメカや設備、溶接というところを専門のバックグラウンドとしている人材が多い企業だけに、ソフトウェア開発の新しいフレームワークを導入する意義について丁寧に説明しなければいけないという苦労もありました。アジャイル開発導入を推進する岩根さんは、ものづくりの技術屋組織の中一貫してソフトウェアの品質保証、ソフトウェア開発プロセス改革に取り組む中でアジャイル開発・スクラムに出会います。

「どの企業さんもそうかもしれませんが、最初は『アジャイル開発? なんだか横文字で胡散臭い』という反応でした。でも、この開発手法は弊社の企業理念にとても結びつくところが多かったんです。特に、“買う人” “売る人” “創る人”にとっての『三つの喜び』を大事にしようという文化があり、これを絡めて説明すると昔から居る人ほど『ああ、そういうことね』と理解してくれた。腹落ちした後、アクションに移るのは早かったですね」(岩根さん)

2年目は、アジャイル開発を自走するための助走期間

岩根さんを始めとしたアジャイル開発メンバーは、2020年2月開催のDevelopers Summitにて、取り組みの内容を発表することになりました。(【13-B-6】Hondaの生産技術屋さんがソフトウェア開発でアジャイルを初導入し組織変革に挑戦)同イベントには、クラスメソッドの藤村がアジャイル開発をテーマに登壇しており、偶然この発表を聞いたメンバーは、次のアジャイル・コーチに藤村を招こうと考えたそうです。(アジャイル開発の原則を守りつつ、マルチサイト開発を行なう! ~ベトナムのメンバーとともにつくる~

「藤村さんが話されている内容にも共感しましたし、藤村さんの情熱的なパーソナリティに惹かれまして、サミット当日に名刺交換させて頂いて、後日『一緒にやってくれませんか』とご連絡しました。クラスメソッドさんの社名はもちろん存じ上げていましたが、社名で選んだというよりは藤村さんに惹かれてご連絡させて頂きました」

「我々は製造業なので、生産量産ラインで使うソフトウェアというのは10年くらい稼働します。またソフト不具合があったからと簡単にラインを一旦止めましょう、ということにはなかなかならない。そこは相当厳しく要求され、我々も意識します。アジャイル開発をする上でも、ソフトウェアの品質をどこまで高めて保証するのか、QMSに問題なく対応出来るフローにするにはどうするのか。コーチに依存せず、自分たちで取り組んでいけるようにしたいと考えました」(谷野さん)

しっかりとアジャイル開発に取り組むため、クラスメソッドからはコーチの藤村が毎週1回、栃木県のオフィスに出向いての対面ミーティングが設けられ、2プロジェクト(合計13名)に対しての具体的なアジャイルコーチと、今後自分たちでアジャイルを広げていくための人材“アジャイルサポートメンバー”8名の育成協力を希望されました。また、今後IoT技術課全体へのアジャイル開発拡大を視野に入れ、課のメンバーであれば参加できる勉強会を3回開催することになりました。

チームコミュニケーションを促進するスクラムの在り方

IoT技術課の髙橋さんは、生産品質を統計解析するソフトウェア開発のプロジェクトにてリーダー(スクラムマスター)を務め、今回直接的にコーチングを受けた1人です。プロジェクトの全体像を明確にし、メンバー全員が方向性を共有するためのプラクティス(インセプションデッキ)や、プロダクト全体を時系列と優先度の2軸でマッピングし、要件仕様を整理するプラクティス(ユーザーストーリーマッピング)などは自分たちで行ってきましたが、いざスクラムを回していこうとすると難しい、と感じていたようです。

「1週間程度の短い開発期間(スプリント)を回していく上で、開発機能や問題点をリストアップしなければいけないのですが、どういう粒度でどう管理するのか、具体的なところがなかなか分からずつまづいていました。藤村さんは実際にスクラムを現在進行形で実践しておられるコーチでしたので、その実践経験からプロダクトバックログ、スプリントバックログ等の具体的な“見本”を見せて頂いて、それに粒度を合わせながらまずは進めていきました」(髙橋さん)

クラスメソッドはあくまでコーチであり、メンバーとコミュニケーションするのはスクラムマスターである髙橋さんです。初期はアジャイル開発で守らなければならないところ、スクラムマスターとしてどう振る舞うべきなのか、またチームにどのような影響を与えるべきか等をお伝えしました。スクラムに停滞が見られる時には、第三者としての視点から適切なタイミングをはかりながら変化を促します。この時は、スクラムのプロセスについてだけでなく、チームコミュニケーションについても具体的な助言をしました。

「スタート当初のチームでは、ドメイン知識がある人にメインシステム、あまり無い人にはサブシステムの担当を振り分けていました。コーディング技術があってもドメイン知識が無いと議論も活性化しません。困っていたところ、藤村さんに『まずは全員でメインを着手すべき』とアドバイス頂き、モブプロは勿論、仕様検討もモブでするなど取り組み方を変えました。時間はかかりましたが、今では全メンバーが仕様を同じ深さで理解し、プロダクトの価値を高めるということができる状況になっています」(髙橋さん)

また、支援の入り口はアジャイル開発のコーチングでしたが、AWS、AI、IoT、モバイル、データ活用などを得意とする総合的なテックカンパニー“クラスメソッド”として、必要に応じた技術面でのサポートを行いました。

「開発を進めるうえで技術的な課題に直面しコード品質やレビューの仕方に行き詰まっていた時には、クラスメソッドのテックリードの方に、勉強会を何度か開催してもらい、具体的な手法をチームに与えていただきました。これはチームメンバーからもすごく好評で、毎回参加率も高かったですね。刺激を頂いた後は、コード解析ツールを使ってみようとメンバー自ら調べてきて試すなど、積極的に行動を起ことができるようになりました」(髙橋さん)

アジャイル開発に取り組むチームをサポートする“アジャイルサポートメンバー”としてのコーチングを受けた星さん。このようなアジャイル開発チームの状況に問題を感じても、当時は、それをスクラムリーダーにはっきり伝えるべきかどうか悩んだと言います。

「自分からは気付いていても言いづらいことを藤村さんが指摘されているのを見て、当時は『チームとして反発心などあるんじゃないか』と少し心配したりもしていました。でも、2週間後位には、その指摘が髙橋さんを通してちゃんと伝わって、全く違うチームに成長している。スクラムマスターとチーム、両方の成長を予想した上で、あのタイミングであの発言をしたのか、と驚きました」(星さん)

IoT技術課のメンバーを対象としたアジャイル開発の勉強会は、全部で3回開催しました。1回目のテーマは「プロダクトオーナーについて」。2回目は実際にスプリントをやってみるなど、専門的な内容でしたが、これが好評を博しました。初回は部署の6割以上、2回目も半数程度の参加があり、組織全体からの取り組みへの期待の高さがうかがえます。アジャイル開発に対してハードルの低い入り口を提供したことで、新しい取り組みへの心理的ハードルも下がり、課全体への貢献となったとご評価頂きました。

プロセス、プラクティス、そしてツール導入でアジャイル文化浸透を促進

アジャイル開発のコーチングの成果は、ビジネスに直結する一般的な開発案件と違い目に見えづらいところです。しかしIoT技術課はこの取り組みを継続的に行うため、月に1回の上役への成果共有などを行い、理解を得られるようにしてきました。今回の支援では、当初予定していたプロジェクトを遂行することができただけでなく、アジャイル経験メンバーの人数を増やすこともできました。

「ただアジャイル開発を拡大して導入できた、というだけでなく、このお陰でチームとしてのコミュニケーションが活発になり、外から見ててもメンバーが楽しく働けるようになっていることが一番の成果だと考えています。“チーム”としての行動が多くなり心理的安全性が保たれて個人の負担が下がる中で、それぞれが勉強する余裕が生まれています。アジャイル開発の手法は、モノの品質を上げていくためのフレームワークですが、人の成長を促すこともできる。そこに貢献できたのは良かったなと感じています。今後は課全体へ取り組みを広げていきたいですね」(谷野さん)

「今後はスクラムを前提とした上で、スクラムのPDCAを高速に回して、なおかつ品質も維持するというような、自動化などもどんどんやっていかなきゃならないと考えて、仕掛けをし始めています。アジャイル文化を浸透させるための、プロセス、プラクティス、そしてツール。この3つが揃えば最強だと思っていますので、今後もクラスメソッドさんに相談をさせて頂きながら、取り組みを進めたいと思っています」(岩根さん)

クラスメソッドは、ソフトウェア開発における“アジャイル”を実現するに際して、プロセス知識やコーチングだけでなく、テクノロジーへの理解とサポートが不可欠であると考えています。アジャイル開発のプロセスコーチングを入り口に、総合的な技術支援をもって、お客様のビジネス拡大に今後も貢献してまいります。

この事例は内製化支援サービスをご利用いただいています

クラスメソッドは、お客様のIT部門の自走を目指した内製化支援サービスを提供しています。クラウドエンジニア集団としての豊富な知見をもとに、お客様の事業成長を促進するための内製化を組織 / 技術 / ビジネスの3領域から支援します。

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