大容量のサーバーのAWS移行を伴走支援
内製化をサポートして外部委託コスト大幅圧縮を実現

株式会社近鉄百貨店

総合企画本部 システム企画部 係長 入谷 健介様
株式会社近鉄百貨店
公開日:2024年4月23日
BEFORE
  • 社内にAWS Application Migration Serviceの知見がない
  • 内製化に移行したい、AWSの移行ナレッジを獲得したい
  • 移行コストを軽減したい
AFTER
  • AWS Application Migration Serviceを活用して大規模サーバーを3カ月で移行
  • AWS未経験のシステム管理者2名でAWSへの移行を完遂
  • 外部委託コストを想定の3分の1に圧縮

旗艦店の「あべのハルカス近鉄本店」を中心に、関西エリアで13店舗の百貨店・商業施設を運営する株式会社近鉄百貨店。データセンターの移設を機に、既存システムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行することを決定した同社は、クラスメソッドの伴走支援を受けながら、グループウェアのサーバー移行をAWS未経験のシステム管理者スタッフ2名で実施しました。AWSの移行ツール「AWS Application Migration Service(以下、AWS MGN)」を活用した移行プロジェクトについて、総合企画本部 システム企画部の入谷さんにお話をうかがいました。

データセンターの終了を機に既存システムをAWSに移行

1934年設立の近鉄百貨店は、2030年に目指す姿である「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を長期ビジョンに掲げ、あべの・天王寺エリア「ハルカスタウン」の魅力最大化、地域中核店・郊外店のタウンセンター化、新たな挑戦による収益事業化を重点項目としています。高収益事業の大きな柱として注力するフランチャイズ事業は想定を上回るペースで進捗しています。

株式会社近鉄百貨店 経営や業務を支えるシステムは、これまでデータセンターのオンプレミス環境で運用してきました。しかし、既存のデータセンターがあと数年でサポート終了を迎えるのを機に移転先を検討し、AWSへの移行を決めました。

「AWSの簡易アセスメントサービス(クラウドエコノミクス)でコストを試算した結果、新たなデータセンターに引っ越すよりAWSへ移行するほうがコストメリットが高いと判断しました。

移行プロジェクトには、近鉄グループの近鉄情報システム(以下、KIS)にもネットワーク周り(AWS Direct Connectの設定など)の支援に入ってもらうことになりました。KISが先行して利用していた実績や、KIS内に技術的なノウハウが蓄積していることなどを考慮してAWSを採用しました」(入谷さん)

コスト軽減や自社にナレッジを蓄積する観点から内製化を志向

サーバー移行は、既存システムのサーバーハードウェアの保守が終了(EOL)となる順番で進める方針とし、最初のターゲットとなったのがグループウェア用のサーバーでした。AWSへのサーバー移行は、外部に極力頼らず内製で実施する方針としました。

「これまで自社でAWSを触ったことはありませんでしたが、コスト軽減やシステム企画部内にナレッジを蓄積する観点から内製化にチャレンジすることにしました」(入谷さん)

内製化に向けて、移行ツールにAWS標準のAWS MGNを利用することを決めたものの、社内やKISにAWS MGNの利用経験やノウハウがないことから、外部に技術支援を要請することにしました。

「AWSの利用を開始した2023年6月当時、システム企画部のインフラ担当者は、私と入社2年目の社員の2名体制でした。それでも業務システムで利用していた小規模なサーバー1台は、自分たちで学習したり、外部のエンジニアに支援したりしてもらいながら自力で移行しました。しかし今回のグループウェアは、大規模でかつ大容量のデータ移行があり、さらに経験のないAWS MGNを利用することから、AWSに詳しいベンダーから支援を受ける必要がありました」(入谷さん)

AWS移行における伴走ベンダーの選定を2023年8月頃から開始した同社は、KISで取引実績があったクラスメソッドに支援を要請しました。

「クラスメソッドとお会いして印象的だったのは、知見が豊富で技術力が高く、AWS MGNを使った移行実績をお持ちのことでした。近鉄百貨店としては初めてのお付き合いになりますが、事前の説明や打ち合わせに弊社まで足を運んでいただき、丁寧に説明していただけたこともあり、迷うことなくお願いすることにしました」(入谷さん)

8TBのデータ移行を伴うプロジェクトを3カ月で終了

本格的な移行プロジェクトは2023年10月中旬から着手し、約3カ月後の2024年1月末で切り替えを完了しました。サーバー台数は1台ながら、8TBものデータ移行を伴うプロジェクトでは、新しいインスタンスで立ち上がらなかったり、AWS MGNの仕様に引っかかったりと苦労もありましたが、乗り越えることができました。

「プロジェクト開始時点では、VPC Endpointの仕様上、大阪リージョンではAWS MGNによるプライベート移行が使えないなど想定外のことが起こりましたが、クラスメソッドのSEさんにレスポンスよく対応していただきました。また、AWS上で一時的にテストインスタンスを立ち上げて予行演習を実施したことで本番移行はスムーズに進み、予定通り、約30分のダウンタイムで終了しました」(入谷さん)

プロジェクト時のクラスメソッドとのコミュニケーションはリモートで実施し、移行全般に関するQ&Aは定例ミーティングやBacklogで対応。移行後の安定稼働支援や、Q&A対応を含めて2024年2月末でプロジェクトは終了しました。クラスメソッドでは、近鉄百貨店による内製化や自走の実現に向けて “伴走”に徹し、自社で対応できるようにナレッジの蓄積などを支援しました。結果的に外部への委託コストも最小限に抑制することができ、プロジェクトは成功に終わりました。

「クラスメソッドのSEさんには、私たちのナレッジが貯まることを意識して支援をいただき、ドキュメント類や作業履歴もすべてBacklogに残すことができて貴重な資産となりました。伴走支援をいただけたことで、外部委託の工数も削減ができ、結果として当初の想定よりコストを3分の1に圧縮できました」(入谷さん)

株式会社近鉄百貨店

獲得したナレッジを活用し、内製によるサーバー移行を加速

クラスメソッドの支援を受けて実施したグループウェア用サーバーのAWS移行により、AWS MGNを使ったサーバー移行や、AWS全般に関するナレッジを獲得し、内製に向けた第一歩を踏み出すことができました。現在は2024年夏のカットオーバーに向けて、SAPシステムをAWSに移行するプロジェクトに着手しています。今後も2~3年の先を見据えて、複数の業務システムを順次AWSに移行する計画です。

「プロジェクト以前は、自力でWebサイトなどを調べながら手探りでAmazon EC2でサーバーを立てたりしていました。今回、グループウェアのサーバー移行を支援していただけたおかげで、AWS MGNばかりでなく、AWSの基本的な操作に関するノウハウを得ることができ、自信を持ってその他のプロジェクトに臨めるようになりました。今後のAWS移行も内製で進めていきますが、移行計画や移行方針の決定などで、クラスメソッドに適宜相談できたらと思っています」(入谷さん)

システム企画部では現在、技術力のさらなる向上に向けて、ローコードツールを活用したアプリ開発やクラウドネイティブなアプリ開発、生成AIの活用などにも試験的にチャレンジしています。今後もAWSの積極的な利活用に向けて、システム企画部全体でAWSの知見獲得に取り組んでいくといいます。

「自社要員の技術レベルの向上に向けて、クラスメソッドのAWSトレーニングサービスにも関心がありますので、引き続きの支援をお願いします」(入谷さん)

クラスメソッドは、今後も内製化支援やトレーニングを通して、近鉄百貨店のAWS利活用を支援してまいります。

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