「水曜どうでしょう」新作配信でのCloudflare選択
決め手は最小限のコストと手間で最大限の効果への期待

北海道テレビ放送株式会社(HTB)

コンテンツビジネス局 ネットデジタル事業部 三浦一樹様
北海道テレビ放送株式会社(HTB)
公開日:2023年12月26日
BEFORE
  • CDNが従量課金のため人気番組配信時の総コストが事前に読めない
  • 映像ファイルへの不正アクセス防止のセキュリティ設定が高難易度
  • テスト環境での検証時、再生に不具合が生じた
AFTER
  • 年間定額契約により人気番組でもCDNの追加コストが発生しない
  • セキュリティの専任担当なしでも不正アクセス防止の設定ができる簡便さ
  • テスト時の懸念に対する厚いサポートで、不安なく本番に臨めた

北海道テレビ放送(HTB)は、北海道地方を対象としてテレビ放送を行っている事業者です。地方局ながら、「水曜どうでしょう」という全国的な人気番組を生み出すなど、独自の番組作りや事業展開に力を入れています。2023年8月には、その「水曜どうでしょう」の新作として6話を制作し、放送と同日にネット配信も行いました。

しかし、人気番組のため、配信に当たってはサーバートラブルの懸念がありました。そこでHTBは、今回の新作配信において、クラスメソッドの支援によりCloudflareのCDNを導入しました。その取り組みについて、ネットデジタル事業部で配信事業を担当している三浦一樹さんにお話をうかがいました。

「水曜どうでしょう」配信は異常値とも言えるアクセス

北海道テレビ放送株式会社(HTB) HTBの人気テレビ番組「水曜どうでしょう」は、1996年に放映を開始し北海道のローカル番組にもかかわらず、全国へと人気が拡大し、出演する大泉洋さんの出世作にもなりました。2002年にレギュラー放送を終了しましたが、その後も数年ごとに新作が製作され、そのたびに話題となっています。今年の新作は2019年以来となり、放映と同日にHTBが運営するVODサービス「hod」上にて、有料配信も開始されました。

「今回『水曜どうでしょう』の新作を配信するにあたって、一番の懸念は膨大なアクセスです。過去に『水どう』の新作を配信した際には、それだけで他の番組の数年分のアクセスがありました。まさに異常値なんです」(三浦さん)

北海道テレビ放送株式会社(HTB) 過去に『水どう』の新作を配信した際には、スパイクによってストリーミングサービスが落ちて、配信が一時停止となったこともあったそうです。しかし、近年はAmazon CloudFrontを採用したことによって、配信自体は安定してノートラブルで行うことができていました。このhodの構築に際して、HTBではクラスメソッドの支援を受けてきました。

しかし、今回の「水どう」の新作にあたっての懸念は、単に膨大なアクセスがあるというだけではなかったと言います。

「これまで利用していたCDNが従量課金だったので、最終的にどのくらいの費用になるのかが事前にわからなかったんです。特に『水どう』は通常の「hod」の運営で必要なコストの何倍にもなる可能性があります。人気番組なので、ある程度のコストが掛かっても十分にペイできますが、事業会社としてはCDNの予算が事前に見えないことがネックでした」(三浦さん)

事業会社として最終コストが見えないデメリット

「水どう」の新作制作が決まってから、その点が三浦さんの悩みの種となっていたそうです。そして、新作配信まで数ヶ月に近づいたタイミングで、三浦さんが個人的に興味を持っていたCloudflareを導入できないかと考え、自分でも実際にサービスを試してみることにしました。

それと同時に、クラスメソッドがCloudflareの代理店でもあったことから、従来のCDNからCloudflareへと移行した場合のコストについて試算の相談をします。その結果、十分なメリットがあると判断し、三浦さんはCloudflareの導入を決めました。

「一番のポイントは、年間での定額での契約ができるというところです。あらかじめ予算がわかることで、会社にも説明がしやすいというのは助かりました。新しいサービスを使うのに、『最終的にいくらになるのかわかりません』というのでは会社に嫌がられるので。定額ならどれだけ『水どう』にお客さんが来ても、予算には影響がないので問題なく会社の承認が得られました」(三浦さん)

テレビ放送の影響でWebへのアクセスが殺到するスパイクへの対策は、ウェブサイト運営者にとって以前から悩みのひとつでした。事前に放映がわかっている場合、クラウドを利用してスケーリングなどによって対策することができましたが、映像コンテンツそのものがスパイクを起こすとなると、転送量が膨大になるだけでなく、そのピークがどのくらい続くのかなど、すべての影響を予測するのは困難です。しかし、今回のCloudflareの採用によって、配信の技術面だけでなく、予算に関しても不安なく対応することができました。

テスト環境で発生した不安に対してもサポートが解消

hodへのCloudflareの導入はおおむね問題なく進みました。テスト環境での開発過程で視聴に関する不明点が生じた際も、クラスメソッドとCloudflareで検証し本番環境での配信に問題ないよう確認を取りました。

「自分で検証しても解消できない問題が出ても、クラスメソッドに相談してCloudflare側と連携していろいろと検証や確認をしてくれました。おかげで不安なく『水どう』新作の配信を迎えることができましたね」(三浦さん)

こうした検証を繰り返すなかで、三浦さん自身Cloudflareの優れたところをより理解できたそうです。

「特にセキュリティの設定が、かゆいところに手が届くというか、映像配信サービスにとってよく考えられていました。あらかじめいくつかのレベルが設定されていて、それを選ぶだけで、ボットによる映像ファイルへの不正なアクセスを止めることができるという。これまでのCDNでは、そうした設定は手動で行う必要があったので、やりすぎると通常の視聴者も弾いてしまう恐れがあります。しかし、Cloudflareならそうした心配がなく、簡単にセキュリティ設定を行えました」(三浦さん)

HTBでは、hodなど独自のサービスを展開しているものの、社内にはそれほど多くのエンジニアがいるわけではないといいます。また、こうした配信等に関するセキュリティについても、専任の担当を置くことができず、三浦さんが兼務している状況です。ですが、こうしたセキュリティ面における簡易さと、先に触れたコスト面のメリットもあり、「hod」のCDNを全面的にCloudflareへ移行することも検討しているそうです。

「サーバーレスこそクラウドの醍醐味だと信じている私としては、サーバーサイドの技術に詳しくなくても、Cloudflareは利用しやすいところが良いですね。それに、新たなサービスや機能追加も、私みたいなエンジニアにとって興味深いものが多くて嬉しいです」(三浦さん)

地方から独自のコンテンツとサービスによって、日本全国で存在感を高めている北海道テレビ放送。クラスメソッドは、そのサービス開発におけるサーバーレスの取り組みをこれからも支援してまいります。

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