フロントエンドをリプレイス
省エネサービス開発の設計・内製化を支援

北海道ガス株式会社

北海道ガスエネルギーシステム部 エネルギーシステムグループ
係長 國奥広伸様、主査 小笠原元気様、主任 今村優介様、主任 八住拓利様、千葉優作様
北海道ガス株式会社
公開日:2024年3月11日
BEFORE
  • フロントエンドの早急なリプレースが必要
  • 内製開発に関する知見不足
  • 技術選定に関する十分な洞察が必要
AFTER
  • フロントエンドのアーキテクチャを刷新
  • 社内開発体制の確立
  • 根拠やデータを元に技術を選定できた

ガスや電気の供給から、地中の調査まで幅広い事業を手がける北海道ガス。同社は2023年から、中小規模の事業者でも導入可能な省エネ設備「Mys3(ミース)」の開発を通じて、より多くの事業者に省エネ価値を提供しています。

Mys3の開発はスモールスタートとするため、内製で進められました。しかし、開発の専門家がいない体制の中、チームメンバーの知見とリソースだけでプロジェクトを進めるのは困難でした。クラスメソッドは北海道ガスと連携し、フロントエンド開発における設計・内製化支援を行っています。そこで今回は、クラスメソッドを選定した理由や、具体的な支援内容などについて、北海道ガスエネルギーシステム部 エネルギーシステムグループの國奥広伸さん、小笠原元気さん、今村優介さん、八住拓利さん、千葉優作さんの5名に詳しく伺いました。

中小規模でも省エネを実現できるMys3

北海道ガスは、ガスの販売だけでなく、様々な事業を展開しています。最近の動きとしては、カーボンニュートラル用のガスを業務用の顧客に販売。CO2排出量相殺を目的に、南富良野町と協定を結んで森林を取得しています。また、同町にカーボンオフセット証明が購入できるカプセルトイを設置するなど、新たな取り組みも進めています。

そして、業務用の顧客向けに新たな省エネサービスMys3を開発しました。Mys3は単体サービスではなく、複数のサービスが組み合わさって提供されます。その第一弾として、2023年6月に吸収式冷温水機向け遠隔省エネサービス「i-Ch(アイシーエイチ)」と、CO2・温湿度計測可視化サービス「REM(レム)」をそれぞれリリースしました。

北海道ガス株式会社 i-Chはセントラル空調の省エネシステムとなっており、実証試験では10%程度の省エネ効果を実現しています。REMは環境計測サービスで、温湿度とCO2の見える化をメインにしたサービスです。どちらもサブスクリプション型サービスで、中小規模の事業者が気軽に導入できるように開発されています。Mys3を開発した意義について、小笠原さんは次のように語ります。

「大規模なビルなどで省エネを実現したい場合は、BEMSというシステムが導入されています。しかし、BEMSは高価で、中小規模のお客様にとって導入が難しい。そこで、中小規模のお客様が気軽に導入できるシステムとして、Mys3を開発しました」(小笠原さん)

Mys3の導入先はホテル、物販の店舗、病院など、選任の設備管理者などがいない中小規模の施設です。これらの施設では、機器設定が導入された当初のままチューニングされていないことも多く、省エネの余地があるといいます。

クラスメソッドを選んだ理由

Mys3の開発はVue2で進められてきましたが、Vue2のサポートは2023年12月までとなっていました。そこでチームでは、Vue3を使うのか、他のフレームワークを使うのか検討する必要がありました。最終的にはReactを使ってリプレイスを進めることとなりました。

「当初は、フロントエンド開発に関する十分な知見がない中でスタートしており、まずリリースを優先してプロジェクトを進めました。そこで、社内でのベストプラクティス確立に向けて、クラスメソッドさんにご相談して、今回のReactを使ったリプレイスに舵を切ることとしました」(小笠原さん)

北海道ガス株式会社 Mys3のリリースは2023年6月ですが、チームは同年7月にリプレイスの着手を始めています。これについては、Vue2のサポート期限の関係上、リプレイスするのは当初から予定されていました。リプレイスにあたってクラスメソッドへ依頼した経緯について、國奥さんは次のように語ります。

「別の会社も検討しましたが、クラスメソッドはフロントエンドとバックエンド双方に関する知見があったこと、伴奏型で開発を支援してくれる点が決め手となりました。さらに、Mys3はIoTも関わるので、幅広い開発知見を持った方々を必要としていました」(國奥さん)

同社ではフロントエンド、バックエンドともに内製開発するのははじめての取り組み。この背景には、社内リソースやIoTのプロジェクトに割ける予算上の課題、プロジェクトのスモールスタートが求められていたことなどがあります。

最初の一歩目をサポート

リプレイスにあたってVueかReactかで悩んでいた際には、クラスメソッドより技術トレンドや今後を見据えた知見の提供を行いました。

「技術そのものだけでなく、技術の変化に適応する組織力やチームの雰囲気が大事だとアドバイスをもらいました。これは組織を考える上で、とても役立ちました」(國奥さん)

フロントエンドの環境の変化は速いため、環境にキャッチアップするアジャイルな組織体制は重要です。國奥さんはチーム開発に関する知見として、クラスメソッドのサポートがリプレイスを進める最初の足がかりになったと語ります。

「フロント開発の知見が不足していると調査に時間がかかったり、指針がない状態でプロジェクトを進めるのが困難でした。そんな中、最初の一歩目をどう踏み出せば良いかアドバイスしてもらえたのはとても良かったです。まず一歩を踏み出せば、次からは自分たちで調べて進められます。おかしな方向にいきそうなときは、ミーティングで確認して軌道修正できます。クラスメソッドは開発を進める上で、良い道標になってくれました」(國奥さん)

また、千葉さんはバックエンドやクラウドで、八住さんはデザインにおけるサポートが役に立ったと評価してくれています。

北海道ガス株式会社 「技術選定の段階から根拠やデータを示してもらえたので助かりました。もともとバックエンド側を担当していたので、システム全体を考えたときに、フロントエンドはどういった実装をすれば良いかなど、自分が知りたいことを同じ温度感で伴走してもらえました」(千葉さん)
北海道ガス株式会社 「今回のリプレイスにあたって、お客様目線の重要性について議論があり、Figmaの導入を決めました。それに際してクラスメソッドさんに勉強会を開いてもらい、体系的な理解ができました。特にFigma上でどこまでデザインをフィックスさせるかなど、全体最適化に関する知見が大いに役立ちました」(八住さん)

そして今村さんは、今までチームになかった文化を醸成できたと話します。
北海道ガス株式会社 「開発を進める中で、すぐに解決できない課題は一旦スタックしておき、次のミーティングで聞いて解決するようにしました。悩んでも解決しないなら、それは時間の無駄になってしまいます。スタックしている課題と上手に向き合いながら、開発を進めていくという文化がチーム内に根付いています」(今村さん)

内製開発によってアジリティを実現

本プロジェクトではクラスメソッドは単なる請負開発ではなく、北海道ガスのチームと伴走しながらスキルトランスファーを実施しています。この部分において、プロジェクトメンバーのみならず、北海道ガス社内でも大きな評価を得ています。

「社外では日経新聞で取り上げてもらい、業界誌から高い評価をいただきました。それもあり、社内の年次表彰では社長賞も受賞しています。これからも、より多くのお客さまに省エネに関するソリューションを提供するため、開発を進めていきます」(國奥さん)

北海道ガス株式会社

特筆すべきは、投資回収0年で顧客の省エネを達成している点です。一般的に省エネの投資回収は3年と言われる中、サーバーレスと内製開発によって迅速にサービス展開したことによって、初年度から多くの顧客が省エネ価値を実感しています。

一方で、クラウド化や自動化を通じて、まだまだ省エネを進める余地は残されています。Mys3が北海道はもちろんのこと、日本国内で使われることを夢見て開発を続けていくと、チームは語ります。

最後に、今回の内製開発が次のプロジェクトに繋がる可能性について、國奥さんは次のように語りました。

「お客様に寄り添った小さなサービスであれば、今回の経験を活かしてまた新たな内製開発のプロジェクトを立ち上げる可能性はあります。今後も、内製開発によるアジリティを提供していきたいと考えています」(國奥さん)

クラスメソッドは今後も可用性および柔軟性の高い技術サポートを提供し、北海道ガスのサービス開発を支援します。

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