3つのメディアから子育て支援情報をお届け
リトル・ママは「全国のママと子どもの明日を応援する」という目的のもと、メディア事業を全国の子育て世帯に向けて展開する企業です。2002年に幼稚園や保育園にて育児情報などを掲載したフリーペーパーの配布をスタートし、育児をテーマにしたリアルイベント「リトル・ママフェスタ」も開催。そしてオンラインでもコミュニティ運営や情報提供を積極的に行っています。
紙、リアル、Webという3メディアのうち、今回お話を伺った同社CTOの和田哲郎様は2018年4月にジョインし、Webメディアのシステムを管理しています。
和田様はこうした課題への解決方法を模索する中で、分散したシステムをクラウドに統合することと、ツールと体制の最適化という観点からDevOpsの導入という改善策にたどり着きました。
AWS活用とDevOpsによる課題解決
クラスメソッドは、リトル・ママの技術パートナーとしてAWS環境の構築と、DevOps環境の整備を目的とした技術支援という形でサポートしました。
同社のシステムには「インフラの分散」「デプロイの不安定さ」「インフラエンジニアの不在」という3つの課題がありました。長年VPSなどを都度契約したことで接続コストが高くつく環境、不明瞭なフレームワークという“負の遺産”によってリリースのたびに起こるトラブルなど、和田様はかつてのインフラを「エンジニアが見たら嫌になるような状況」だったと振り返ります。
同社は複数のクラウドサービスを検討し、最終的にクラスメソッドとのやり取りから「単なるインフラ構築ではなく、私たちと近い距離で支援をしていただける可能性を感じた」ことで、それまで実務では未経験だったAWSの導入に至りました。また、その期待はAWS環境構築だけでなく、DevOps支援という形にも寄せられていました。前職にてアジャイル開発の社内エバンジェリストとしての活動もされていた和田様は、DevOpsの採用によって本当の意味でのアジャイル、スクラムの実現ができると考えていました。
「DevOpsに期待しつつも、そのふわっとした概念がこれまで咀嚼できていませんでした。けれど期待感はずっと持っていて、それが今回システムを刷新してDevOpsを導入したらうまくいくんじゃないかと思ったんです。話をしていく中で『これが私の中での長年の課題だったんだ』と気付きました」
新環境でのCI/CD作業を密接にレクチャー
クラスメソッドは技術支援に先駆けた打ち合わせを7月からスタートし、まずはAWS環境の構築を8月から開始します。それに並行する形でDevOps支援も始め、同月の後半にはリトル・ママ福岡本社勤務のエンジニアに向けて、 ハンズオン形式でCI/CDパイプライン構築をレクチャーし、AWSのコード系サービスであるCodePipeline、CodeBuildの構築を支援しました。まずクラスメソッドが設定ファイルを作り、リトル・ママ側でそれらをブラッシュアップしていくという形で、一連のデプロイ作業を密接にご案内しました。
こうして2週間〜1ヶ月という短期リリースを繰り返し、デプロイ前後のトラブルも最小限にするという環境が整備され、意欲的な規模拡大をロードマップとして組み込んでいたリトル・ママにとって理想的な開発体制が成立しました。このほか、クラスメソッドの支援を通じて効果を感じられたポイントとして、和田様からはテスト意識についてもご評価をいただいています。
「それまではテストへの意識が薄く『やんなきゃね、でもシステムが動けばいいでしょ』というところも正直あったくらいでちゃんとはできていませんでした。それが今ではテストをメインでやりたいという珍しい人もいるくらいで、結果としてリトル・ママの開発文化の“意識が高く”なったと思います。今は、一連の自動デプロイの流れの中で強制的にテストが入ります。仕組みとしてテストをやれるし、その結果も自動で表示される。こういう仕組みと考えはとてもよかったと思います」
システム移行とさらなる成長を目指す
新体制によるシステムは10月に稼働を開始しました。現在は旧環境の情報を徐々に新システムへと移行するよう作業を重ねています。そして今後は、本番環境でのDockerの稼働や負荷対策など、同社は新しい仕組みでのサービス運用を行いながらどんどん拡張していくフェーズに入ります。和田様も社内でのAWSの知見を深めながら、DevOps環境を強化することに意欲的です。
「私がジョインする前の体制は『ただ動けばいい』という考えが強かったと思いますが、今回のインフラ刷新により開発部内の意識は大きく変わりました。CI/CDの仕組みがあることで、開発していくスタイルのフレームワークが導入されると同時に、注意すべきところ、やらなきゃいけないところに気づけたと思っています。そして会社としても、AWSを便利に活用し、先進的なものを取り入れてサービスを提供しているという認知を広げていきたいですね。やることはいっぱいあって大変ですが、そこは自分としても楽しんでやっていきます」