「医療のICTプラットフォームを創り、医療をデジタル化する」をビジョンに掲げる株式会社メドコムは、医療機関向けに特化したスマートフォンサービス「メドコム」を提供しています。サービス開始当初からパブリッククラウドにAWSを採用する同社では、システム更新プロジェクトを進めるにあたり、クラスメソッドに技術支援を依頼しました。課題や支援内容、支援に対する満足度などについてプロジェクト担当者の皆様に話を伺いました。
AWSの現環境を更新して、より安心・安全なサービスへ
メドコムは、医療機関のDXを実現するサービスとして期待されています。同社が提供するスマートフォンは電話、ナースコール連携、チャット、カメラ、ログイン管理機能、モバイル端末管理(MDM)などの各種アプリケーションを標準搭載し、煩雑な業務を大幅に効率化。2025年4月現在、全国89(導入予定含む)の医療機関で導入され、医療現場の働き方改革に貢献しています。
機微な医療情報を扱ううえで、セキュアな環境構築は必須となります。メドコムのサービスでは電子カルテ連携を行う場合は院内からAWSまでをすべて閉域網で接続する万全の体制を敷いています。
一方、今後のサービス拡大に向け、一層のSLA向上が求められるようになりました。昨今ではサイバー攻撃が多様化・複雑化した背景もあり、外部との接点となるクラウドサービスの盤石なケアも喫緊の課題となっていたそうです。

「当初はAWSベンダーに外注する案も検討しましたが、当社には多くのアプリケーション開発に長けたエンジニアが在籍しています。我々にとっては課題を共有して、それをどのように解決するかの道筋を示してくれることが重要でした。そして、この取り組みを機に、インフラも含めてこれまで以上に内製力を高めるため、AWSのノウハウを身につけたいと考えました」(山之内さん)
ベストプラクティスや独自シートで更新を手厚くサポート
要件定義では、IPA(情報処理推進機構)が公開している「非機能要求グレード」、クラスメソッドが提供する「非機能要求ヒアリングシート」の2つを参照しました。非機能要求グレードとは、システム構築における非機能要求をもれなくリストアップして分類し、要求レベルを段階的に示したものです。
「これらの品質基準を参考にして、約1カ月かけて要件定義を確定しました。その間、クラスメソッドとは非常に濃密なコミュニケーションを実施しました。平均で2日に1回はオンラインミーティングを開き、決めきれなかった部分については参考資料を送ってもらって次回のミーティングに備えるなど、ひたすらディスカッションを繰り返しました」(山之内さん)

主要目的の1つだったセキュリティ強化についても手応えがありました。中でもAWS Security Hubの導入と見直しは効果的だったと話します。
「AWS Security Hubはセキュリティのベストプラクティスを網羅していますが、量が膨大で取捨選択が非常に難しい。そこでクラスメソッドの推奨事例を踏まえ、当社のサービスとマッチングさせながらセキュリティスコアを改善しました。最終的に、AWSの推奨事項に準拠する理想的なセキュリティ環境に近づけられています」(山之内さん)
「幅広く網羅しているので、チェック項目の重要度には濃淡があります。当社事業の性質上、セキュリティのヌケモレは絶対に防がなくてはいけませんが、影響が少ない項目を含めすぎるとアラートが頻繁に通知されて“アラート疲れ”に陥り、業務を圧迫してしまいます。そうした経緯からも、クラスメソッドと相談しながら必須項目に絞り込んで選択することは不可欠でした」(下山田さん)
「ここまで支援してくれるんだ」という信頼感
2024年にスタートしたプロジェクトは、基本構想・要件定義の段階で十分に議論を重ね、綿密に設計を行った上で検証を進めてきました。現在(2025年4月)は、最終フェーズに入っています。
「検証の期間も常にアップデートを重ねました。驚いたのはレスポンスの早さとコンサルの質の高さです。単に回答をもらうだけでなく、参考資料を必ず添付してくれるため、自分で学んで理解を深めることができました。豊富な知識を持つ専門家の知見を借りて設計できたので、自分がこれまで抱えていた課題感を払拭できました。例えば、これまでネックとなっていたアプリケーションサーバーのメンテナンス自動化を実装できたのは大きな収穫です。『ここまで支援してくれるんだ』という信頼感は大きかったですね」(下山田さん)

今回の支援では、総じて高い評価をいただいています。改めて支援内容の満足度について聞いたところ、山之内さん、齊藤さんはこのように答えてくれました。
「まったく不満はありません。これまで、多くのベンダーやコンサルと仕事をしてきましたが、レスポンスの早さはピカいちだし、回答の精度も高い。稀に見るクオリティの高さだと思います。もしクラスメソッドにお願いしていなかったら、社内であと2人ぐらいは専門のエンジニアが必要だったに違いありません」(山之内さん)
「キックオフ時点から方向性がしっかりと定まっていて、お互いに共通言語がある状態で進められたのでとてもやりやすかったです。最初の打ち合わせの後、山之内と『すごく話しやすいですね』と会話したことを覚えています。安心して任せられる感覚がありました」(齊藤さん)
自社の開発力を高めることにも貢献
これらの取り組みによって、メンバーの総合対応力は向上し、よりスピード感のある開発が実現できるようになりました。
「メドコム」は、より広範な病院ニーズに応えるべく、Android版だけでなく、2025年4月よりiOS版アプリがリリースされ、よりパワーアップしたメドコムのサービスが動き始めています。
「私と齊藤はiOSアプリの開発にも携わっています。AWSの更新プロジェクトはiOSと並んで社内の重要施策の1つですが、クラスメソッドのおかげで順調に進めることができました。社内のエンジニアがスキルを習得できた副次効果もあります。企業の競争力を高めるうえでも成功でした」(山之内さん)
クラスメソッドは、医療DXに革命をもたらすメドコムの事業を引き続き支援してまいります。