印刷・出版業界に関わっているならば知らない者はいない企業がモリサワです。1924年創業、文字フォントの業界シェアは80%とも言われ、同社を知らない人でも、書籍からWebまでありとあらゆるメディアやスマートフォン・飲食物のパッケージなどを通じて、確実に毎日、同社のフォントを目にしていると言っても過言ではありません。
現在もWebフォントや組版ソフトウェア開発、電子書籍や電子カタログサービスなど、人々が文字を読むことに関する事業の拡がりをみせています。
あるとき同社では、コンテンツを短期間で12000台の端末に向けて配信しなければならない必要に迫られます。しかも2か月ほどの構築期間しか猶予がありませんでした。同社のPF開発部 PF開発課 担当課長・小室貴史さんは急ぎ相見積もりを取り構築業者の選定に入りました。
「単純な価格だけで言ったら最安ではありませんでした。しかし、スケールが楽にできる構成やメンテナンスが楽であることを含めて検討するとクラスメソッドは一番でした。提案内容の良さで依頼を決定しました」
Backlogもリアルもレスポンスが良い
今回クラスメソッドは打ち合わせをオンラインで行い、プロジェクト管理ツールのBacklogを使って進行しました。オンラインでのレスポンスについては「面と向かって打ち合わせたのはキックオフ時と納品後だけ。それ以外はBacklogとメールだけで打ち合わせを進めました」と振り返ります。
いざというときに会えるという安心感は小室さんにとって重要だったと語ります。しかし、構築にあたってはスピード重視。リアルに顔を合わせるミーティングを最小限にとどめ、Backlogによる進行を行うことを効率的だったと捉えていただきました。最終的にはキックオフから約1か月半で納品が完了しています。
「既読がついたらすぐに返信があるんです。そもそも開発期間が2か月程度と短かったのですが、Backlogを使った質問のやり取りは早かったですね。開発が始まったあともBacklogでのやり取りが残っているので、依頼や問い合わせの内容に不安を感じることはありませんでした」
運用費が節約でき安価なプロジェクトに
このシステムではLambdaを活用し、個別ユーザーを認識してユーザー向けのZIPファイルを生成するところまでをサーバーレスで構築しました。LambdaでBasic認証を行ったのが当時としては珍しい構成です。
当初、小室さんは納期がとても気がかりでした。少しでも短くなるように運用面についての要望を控えめにしていたのです。しかし、クラスメソッドのパフォーマンスはそれを良い方向で裏切ります。
「予算的には運用費も取り、サーバーサイドに関する依頼費用も確保していました。自動デプロイは不要です、と提案依頼書にも記して開発の速度と費用を効率化しようとしたのです。しかし、構築の過程で自動化の処理まで作成していただき、私の管理作業だけで済むようになってしまいました。発注時には決して最安値ではなかったのですが、運用を含めたら、結果的にコストが最も抑えられる結果になりました」
構築を担当した西村は「自動化できていたほうが運用が楽だと思ったので」とこともなげに話します。クラスメソッド入社前までシステム運用の企業で経験を積んでいた西村にとっては当たり前のことでもありました。
「技術要件についてはお任せしていたんです。SPAのサイトにしてくれたり、Angularを使用してくれたりしたので、今後私がSPAサイトを作成するときの参考にもなりました」
と、長い目で見たメリットもご提供できたようです。
応用の効く技術を教えてくれる
「普段ブログ(Developers.IO)を書かれているからか、クラスメソッドの方は資料を作るのが上手です」
と小室さんは語ります。
「使ったことのないコンソールの利用方法が、ブログを読んでいるかの様にわかりました」
クラスメソッドの技術ブログ・Developers.IOでは日頃からエンジニアが大量のアウトプットをしています。
「RSS登録をしているので記事が更新されるたびにチェックをしています。納品いただいた機能についての解説も、一般的な部分はDevelopers.IOに、当社向けの情報は独自のドキュメントに落としていただけて理解が深まりました」
速度感のある開発を行える体制が整う
インフラ専門と思われがちなクラスメソッドですが
「アプリも大丈夫かな?と思ったのですが、それも請けてもらえました」
と小室さんがまるでうれしい誤算とでも言いたそうに語ります。
企業の発注スタイルによっては「インフラだけ」「アプリケーションだけ」という注文の仕方が現実的に難しいケースがあります。クラスメソッドもその傾向がありましたが、今では一式で受けられる体制も整いつつあります。
「アプリ専門の企業にお願いして、その企業がクラスメソッドに依頼、という流れでしたら、今回の短納期は実現していなかったとおもいます」
と開発速度の評価をしていただけました。
「エンジニアの方が近くにいるというのは私たちにとって重要な要素の一つです。これまではイベントでお会いして、その時にお話を聞くだけという状況でしたが、リアルに仕事をお願いし、エンジニアの方が向上心を持って、お願いした以上のことを実装してくれたことが嬉しかったですね。これを毎回期待したらいけませんが、満足度が高かったのです(笑)」
最初にお会いして見積もりをお伝えするまでは、どうしても実際に会える距離にある企業が心強くなるもの。その後、気心も知れてくればリモートでの対応でも問題ありませんが
「最初のお仕事では直接面と向かって話すことは大切です」
と小室さんは語ります。