レストラン運営に欠かせない食材管理をBIツールで平準化
非IT部門メンバーのQuickSight導入を支えた実践型ワークショップ

ロイヤル株式会社

業務部 工場サポート課 課長 石井大佐 様
商品本部 商品企画部 グラフィックデザイン課 田原千佳世 様
ロイヤル株式会社
公開日:2025年7月25日
BEFORE
  • Excelによるデータ分析業務が特定のメンバーに集中
  • データ収集やデータ加工の負荷が増加
  • 業務部門においてBIツールに関するノウハウの課題があった
AFTER
  • 担当部門メンバーがAmazon QuickSightによるデータ分析ノウハウを習得
  • 従来の工数から約80時間分の削減に期待
  • 関連部署をはじめ社内データ活用の足がかりに

「ロイヤルホスト」「天丼てんや」などの外食事業のほか、空港や高速道路、スポーツ・コンベンション施設での店舗運営や、企業内給食施設等を運営するコントラクト事業、「リッチモンドホテル」などのホテル事業を展開するロイヤルグループにおいて、食品事業を担うロイヤル株式会社。メニュー開発や食材管理など、あらゆる業務でデータ分析が不可欠な同社は、クラスメソッドの技術支援を受けながらAWSのBIサービスであるAmazon QuickSightにてダッシュボードを作成しました。非IT部門である商品企画部のメンバーが、BIツールの知識がほとんどなかったという状態から取り組み、約4カ月でプロトタイプを完成させたプロジェクトについてお話をうかがいました。

脱Excelに向けメニュー食材の増減量を分析する「増減表」のダッシュボード作成に挑戦

ロイヤル株式会社 国内外で674店舗(2025年3月31日時点)を展開するロイヤルグループにおいて、セントラルキッチンを拠点に各店舗や取引先などに“ロイヤル”の味を届けている同社。その商品本部 商品企画部では、グループで展開する外食事業やコントラクト事業をバックアップするべく、新たなメニュー開発に注力しています。

「メニュー開発ではデータ分析が必須であり、メニュー改訂時の効果確認や食材管理の数値化は、商品企画部の重要なミッションです」(石井さん)

商品企画部はこれまで業務に必要な数字をExcelベースで行ってきましたが、データ分析作業の属人化による業務負荷の増大が課題となっていました。

「分析用のExcelファイルは、部門内で受け継がれてきたものを担当者がアレンジして使うことが多く、どうしても属人化しがちでした。分析に必要なデータは基幹システムなど複数のシステムのシートから手作業で取り出す必要があり、データの収集や加工にも手間がかかっています。さらに、万が一ファイルがなんらかのトラブルで壊れてしまった場合、作成したデータが消えてしまうリスクもありました」(田原さん)

こうした課題を抱える中、商品企画部のメンバー数名が「データ活用ワークショップ」に参加しました。これは3~4カ月の期間において4回にわたるワークショップを実施し、QuickSightによるダッシュボードを作成するプログラムです。2024年11月から25年3月まで開催されたデータ活用ワークショップに参加したロイヤル株式会社の担当者はそのプログラム内で自社課題にあたるテーマを話し合い、数値管理の中でも重要な位置づけとなる「増減表」のダッシュボード化に取り組むことにしました。

「増減表とは、メニュー改訂によって発生する食材の在庫や不足を回避するためのものです。例えば、ロイヤルホストのメニューで『季節のデザート』がいちごからメロンに変わる時、仕入の食材からいちごがなくなり、メロンが追加され、新規の食材の予測使用量を報告します。季節のデザートのメニュー変更に伴い、使用する生クリームの量が変化する上に、同じ生クリームを使うデザートの出数にも影響が及び、材料の過不足が発生する可能性もあります。そのため、あらかじめ食材の総仕入量を予測するために増減表を作成・管理・報告をしていました。しかし、増減表を作るためにはたくさんの資料が必要になり、属人化した作業になっていました。これらをダッシュボード化できれば、作業を標準化することができ、食材の動きを正確に、早く把握しやすくなると判断し、ワークショップのテーマに設定しました」(田原さん)

BIツールを実践的に学びながらクラスメソッドと二人三脚でダッシュボードを作成

Day1からDay4まで、4回にわけて実施するワークショップで、参加者が特に重要だと感じたのはDay2、Day3とその前後1ヶ月間で実施したダッシュボード作成です。2回目にテーマを「増減表」に決めたあと、3回目のワークショップが行われるまでの約1カ月間、クラスメソッドの技術支援を受けながらメンバーが中心となって取り組みました。

しかし、今回参加したメンバーはシステムの専門家ではなく、BIツールやQuickSight、ダッシュボードに関しても当初はビギナーに近い状態でした。そこで、ダッシュボード作成フェーズでは、オンラインのコミュニケーションツールやプロジェクト管理ツールを活用し、クラスメソッドのエンジニアから適宜アドバイスを受けながら二人三脚で進めていきました。

「BIツールを使うのがほぼ初めてで、ダッシュボードでどういったことが表現できるかもまったくわかりませんでした。そのなかで、クラスメソッドからアドバイスをもらい、日本地図上に店舗をマッピングし、店舗をクリックすると該当店舗の販売数や来客数が把握できるビジュアルや、販売数と粗利の相関関係から利益率が高いメニューがわかる分布図のダッシュボードを作成しました。これらはExcelで作った従来の増減表にはなかったもので、Quicksightならではの可視化を検討する際も、クラスメソッドから提案をいただけましたね」(田原さん)

ロイヤル株式会社 BIツールやQuickSightが初めての参加メンバーにとっては、わからないことも多く、不安いっぱいのプロジェクト。そんな状態で臨んだワークショップでのクラスメソッドの伴走は「心強かった」と田原さんは振り返ります。

「クラスメソッドの支援がなければ、短期間でダッシュボードは作れませんでした。途中で『データが壊れてしまったらどうしよう』という不安に何度も襲われました。実際にそうなったときもクラスメソッドに連絡すれば、すぐにリカバリー方法を提示していただきました。細か質問を何度も何度も投げかけても的確でわかりやすい回答をいただき、安心して進めることができました。日常的な業務を抱える中、限られた期間でダッシュボードを作成するのはプレッシャーでしたが、クラスメソッドのスピーディなレスポンスとダッシュボード作成のコツを押さえた提案に助けられ、何とか形にすることができました」(田原さん)

BIツールの有用性を参加メンバーから経営層までが深く理解

Day3は作成した増減表のダッシュボードのプロトタイプを参加者に向けて発表し、フィードバックを受けたあとは、Day4までにブラッシュアップを重ね、日付や店舗でデータを抽出するフィルター機能を追加して完成。ワークショップ最終日で成果発表としてダッシュボードを披露し、すべてのプログラムを終了しました。

今回、商品企画部のメンバーが参加を通して得られた成果のひとつは、QuickSightに触れたことで、データ分析の敷居が低くなり、業務の効率化への感触が得られたことにあります。

「最初こそ苦労しましたが、慣れてしまえば初心者でもデータ分析ができることを学びました。Excelのような属人化も解消できますし、データ自体はクラウド環境上に保管されているのでダッシュボードが壊れてもすぐに復旧ができます。複数のシステムからその都度データを集計して加工する必要もなくなり、大幅な負担軽減が期待できることもわかりました。増減表の作成にかかる工数もExcelでは8時間かかっていたものが約半分で済むようになりますので、1カ月で約80時間分の削減ができそうです」(田原さん)

ワークショップの最終成果発表会には、同社の社長や経営層も参加。BIツールやQuickSightの可能性を改めて認識し、今後の利活用に期待を寄せています。

「今回はメニュー改訂における増減表がテーマでしたが、QuickSightはデータを扱ったり、予測したりする部署ならどこでも活用できるポテンシャルを秘めていることを多くのマネジメント層が理解しました。Excelよりシンプルで安全、誰が使っても同じロジックで分析ができるので、業務の標準化の観点でも効果的なツールであることを認識しました」(石井さん)

ロイヤル株式会社

習得したダッシュボードの作成ノウハウを他のデータ分析にも活用

ワークショップが終了したあとは、作成した増減表のダッシュボードを実際の業務で活用するべく検証作業を実施しています。現在は従来のExcelで作成したデータと、QuickSightで作成したデータを比較し、データに欠損がないか、計算結果が合致しているかを確認している段階です。

「利用開始時期は検討段階であるものの、データ整理がうまく進めば間違いなくメニュー改訂に関わる部門のユーザーに利用してもらえる手応えを得ています。現在は基幹システムを始め6つのシステムから分析に必要なデータを手動でAWS上に取り込んでいますが、将来的には自動連携でデータが取り込めるようにしたいと思っています」(田原さん)

一方、今回のプロジェクトで習得したQuickSightによるダッシュボードの作成ノウハウは、別のデータ分析にも活用していく構想もあり、すでに経理データを活用した業態別の売上・来客数のダッシュボード化にも商品企画部のメンバーがチャレンジしています。

クラスメソッドの支援をきっかけに、BIツールやQuickSightの活用に本格的に乗り出した同社は、クラスメソッドに対して引き続きデータを活用した業務改革の支援に期待を寄せています。

「業務部門の私たちは、ITや先進テクノロジーに関しては門外漢でわからないことも多数あります。最近は生成AIといった新しい技術も出てきています。最新の技術を使って業務改善ができることがあれば、サポートをお願いします」(石井さん)

「私たちが扱っているデータは、業務特性上、ややユニークな傾向があると思います。それでもクラスメソッドのエンジニアは『こうしたい』と要望を伝えると、瞬時に理解して『こうですか?』を提案してくれました。『何でこんなことまで知っているんだろう?』と驚きましたが、おかげさまでコミュニケーションもスムーズで、楽しんで仕事をすることができました」(田原さん)

クラスメソッドはわかりやすく丁寧な技術支援を通して、「食とホスピタリティ」を追究するロイヤルのデータ活用の高度化と業務効率化に貢献してまいります。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

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