dbt Cloudに移行してメンテナンス負荷を軽減し
エンジニアリソースを事業に集中して成長を加速

株式会社テレシー

開発本部 開発部 部長/VPoE 佐々木大輔 様
開発本部 データサイエンス部 リーダー 欧陽江卉 様
株式会社テレシー
公開日:2025年7月31日
BEFORE
  • OSS版dbt Coreの独自運用とメンテナンスでエンジニアの負担が増加
  • 作法が複雑で扱いが難しい環境にて開発業務を実施
  • DWHのSnowflakeは一部の集計のみで利用
AFTER
  • メンテナンス負荷軽減によるエンジニアリソースの事業成長への集中
  • dbt Cloud+Snowflakeを中心としたデータ基盤の構築
  • 開発環境・QA環境・本番環境のマルチ環境によるレビュー体制の確立
  • CI/CDパイプラインによる品質担保と迅速なリリース
  • 権限・ロール設計の標準化によるガバナンス強化

運用型テレビCMを軸とした統合型マーケティング・コミュニケーションサービスを提供す株式会社テレシー。効果的なマーケティング施策を顧客に提案するためのデータ基盤を、データウェアハウス(DWH)のSnowflakeとデータ変換ツールのdbtで構成している同社は、OSS版のdbt Coreからフルマネージドのクラウドサービスであるdbt Cloudに切り替えました。これによりメンテナンス負荷を大幅に軽減し、エンジニアリソースを事業成長に集中させています。クラスメソッドの技術支援を受けて実施したdbt Cloudの導入およびプロセス改善プロジェクトについて、担当の佐々木さんと欧陽さんにうかがいました。

マーケティング戦略の立案から、企画・実行、効果測定までを支えるデータ基盤

2021年設立のテレシーは、デジタル指標による効果測定が難しいとされてきたテレビCMに対し、戦略立案からクリエイティブ制作、運用、効果測定までを一気通貫でサポートするサービスとして成長を遂げてきました。現在では、テレビCMだけではなく、タクシー広告、エレベーター広告、TVer、YouTubeなど多様な媒体における統合的支援も提供することで、クライアント企業のマーケティング投資最適化と事業成長を推進しています。



「2024年まではテレビCMにフォーカスしたプロダクトを開発してきましたが、近年はデジタル広告を含め、複数のマーケティング施策の効果を、統合的に分析・最適化するためのプロダクト開発を進めています」(佐々木さん)

同社のサービスにおける統合コミュニケーション戦略の立案から、クリエイティブ、メディア施策の企画・実行、効果測定までを支えているのがデータ基盤です。データ基盤には、顧客のGoogle Analyticsやモバイル計測ツールから取得したデータ、テレビCMの出稿情報、サードパーティーから取得した視聴率データや配信実績データなどを蓄積し、一元的に扱えるようにしています。

「テレシーにおけるデータ基盤は、“広告施策によって消費者の行動をどう変えていくか、どう変わったのか”といったマーケティング施策を実施・検証するための中核基盤です。私のミッションは、ビジネス価値を生み出すためのデータ基盤を構築し、チームのデータサイエンティストがより簡単で効果的にデータを活用できるようにすることにあります」(欧陽さん)

データプランニングチームを設立しSnowflakeを中核としたデータ基盤にシフト

データ基盤は2023年AWSをベースに構築し、DWHはSnowflake、ETLツールはOSS版のdbt CoreとFivetranを利用していました。外部から受け取ったテレビCMデータや行動データ、ログデータなどのファクトデータはAmazon S3上からSnowflakeに定期的に取り込む形で運用し、顧客データや出稿データなどのマスターデータはFivetranを活用してRDBのAmazon AuroraとSnowflake間で同期を取っていました。これによりオペレーショナルデータと分析向けデータを、同一基盤上で統合的に扱えるようにしています。データ変換やモデリングはdbt Coreを活用し、ローカル環境で開発したモデルをGitで管理しながらSQLロジックを整備していました。

株式会社テレシー しかし、それまではRDB上でのデータ分析が中心で、Snowflakeは一部のデータ集計でしか利用していませんでした。2024年7月に欧陽さんが兼務するデータプランニングチームが設立されると、新たなプロダクトの立ち上げなどもあり、ETLやデータ加工処理を含めて、Snowflakeを中核とした基盤にシフトしていくべきという機運が高まってきました。

「データプランニングチームの設立以前はSnowflakeの開発を1人のエンジニアが担当していたため、十分なリソースが割けませんでした。そこでチーム体制を整備し、データ基盤の活用を本格化することにしたのが発端です。当時はdbtの開発環境がなく、大規模なデータモデルの改善も本番環境に近いところで行わざるを得ない状況でした。開発環境を自前で構築することも検討したものの、ゼロから整備するリソースも時間も不足していました」(欧陽さん)

dbt CloudとSnowflakeの支援実績とエキスパートエンジニアの技術力を評価

こうした中、外部パートナーの紹介でdbt Cloudのデモを見る機会を得た欧陽さんは「これなら開発の運用負荷が下がり事業開発のスピードが加速する」と直感しました。

「今後のデータ基盤強化や事業開発を優先するなら必要なツールがすべて揃ったSaaS型を選択して前進するべきと判断しました。コスト面でもデータエンジニアの採用コストと比較してペイする見込みが立ったことから、dbt Cloudの採用を決めました」(欧陽さん)

dbt Cloudの導入パートナーはクラスメソッドを採用しました。同社にとって初めての取引となるクラスメソッドに支援を要請した理由は、dbt CloudとSnowflakeの導入支援実績が豊富で、信頼性、柔軟性が高いことにありました。

「私自身、dbtに関する技術を調べる時は、クラスメソッドの技術ブログや導入事例を参考にしてきたことからなじみが深く、“日頃からお世話になっている”といった感覚がありました。初回の商談の際には、Snowflake Data Superheroes(Snowflake公式のコミュニティアンバサダー)の方に同席をいただき、“これなら安心して相談できる”と確信できたことも大きな要因です。実際に話をしてみると、技術的な知見はもとより、私たちの体制やスピードに合わせて柔軟に支援していただけそうな印象もあり、自然な流れでお願いすることになりました」(欧陽さん)

的確な技術支援と潜在的な課題発見によるアドバイスを評価

プロジェクトは2025年1月~4月にかけて、現状把握とdbt Cloudの初期セットアップ、環境構築とプロセス設計、権限設計、運用高度化の4つのフェーズに分けて実施しました。主なポイントと、それによる成果は以下の3点です。

(1)マルチ環境運用の確立

これまで本番環境しかなかったところに、開発環境と検証(QA)環境を加えてマルチ環境としました。開発環境の構築により、レビューの負荷は大幅に軽減されました。新たに用意したQA環境は、脆弱性診断など本番に近い環境で検証するための専門環境が欲しいという独自の要件から構築に至りました。

(2)CI/CDパイプラインの構築

これまで利用していたGitHub Actionsから、dbt Cloud標準のCI/CD機能に移行してテスト・デプロイの自動化を確立しました。これにより、マージごとの品質担保と迅速なリリースが実現し、メンテナンスの負荷も軽減されています。

(3)権限・ロール設計の標準化

Snowflakeのロール階層とdbt Cloudの実行ロールを整理し、権限の強弱を考慮したうえで開発者と運用者のアクセス境界を明確化しました。これによりガバナンスが確立され、適切な権限管理が実現しています。

dbt Cloudの導入全体については、これまで同社独自の思想で行ってきたdbt Coreの活用・運用を改めてdbt Cloudのベストプラクティスに準ずる方針とし、クラスメソッドに随時相談しながら環境構築、プロセス設計、権限設計などを進めていきました。クラスメソッドによる二人三脚の支援について佐々木さんは「よかった、のひとことに尽きます」と評価しています。

株式会社テレシー 「プロジェクト全体を通して、困ったこと、大変だったことは特にありませんでした。クラスメソッドのエキスパートエンジニアのナビゲートが素晴らしく、dbt Cloudで何ができるかといった基本的なことから、ベストプラクティスに合わせる方法まで詳しく教えていただきました。初回の要件確認の際には私たちが気づかない点を指摘していただき、プラスアルファのことまで解決できました」(佐々木さん)

プロジェクトでは主にdbt snapshotの導入を担当した欧陽さんも「プロフェッショナルとしての姿勢が印象的だった」と振り返ります。

「技術力とコンサルティング力の2つを高いレベルで同時に備えたエンジニアがなかなかいない中、クラスメソッドのエキスパートは両方で飛び抜けた実力があると感じました。私たちの課題を深掘りし、本当にやりたいことを引き出していただけたことや、私たちが知らないことまで先回りして教えていただけたこと、技術ブログを通して各種の情報提供いただけたことは本当に感謝しています」(欧陽さん)

開発のための準備やメンテナンスがなくなり、事業成長にエンジニアリソースを集中

現在、dbt Cloudへの移行に伴い、開発に携わるメンバーが倍増し、これまでdbtに馴染みのなかったメンバーも利用するようになりました。ほぼ毎日のようにデータ基盤にアクセスしてプロダクト開発や各種分析に利用しています。

「これまでは開発環境の作法が複雑で扱いにくく、しばらく触っていないと作法を思い出すところから始める必要がありました。dbt Cloudの導入により個人環境による動作確認やプルリクエストレビューのハードルが下がったことが利用頻度増加の要因かと思います。開発のための準備やメンテナンスなどに割く時間もなくなり、安定して開発・運用できるため、エンジニアのリソースを事業成長に集中することが可能になりました」(佐々木さん)

「dbt Cloudを利用する立場からすると、大幅に使いやすくなった印象です。従来のdbt Coreでは依存関係解決やアセットセントリックといったdbtの強みを活かし切れていませんでしたが、dbt Cloudに切り替えてアセットセントリックのために開発できるようになりました」(欧陽さん)

株式会社テレシー

データ基盤の範囲を拡大しながら統合的なマーケティング分析のプロダクトを開発

今後のプロダクト開発については、顧客のマーケティング戦略の伴走支援に向けて、デジタル広告も含めた統合的なマーケティング分析のプロダクトを開発していく計画です。それに伴い、データ基盤についても、中長期的な取り組みとしてビジネスプロセスに関わるすべてのデータを取得して蓄積し、質と量の両面で充実を図りながら、データ活用の幅や利用者を広げていく青写真を描いています。技術組織としてもテレシーの事業成長に貢献を果たすべく、データ活用の高度化を進めていく方針で、クラスメソッドには継続的な支援に期待を寄せています。

「私たちが目指すビジネスを展開していくうえで、データ利活用の重要度はより高まっています。今後、データ基盤への投資額が増えていくことは確実ですので、新たな情報のインプットを含めた支援をお願いします。データエンジニアリングに関する技術記事のさらなる充実や、多くのデータSaaS製品の取り扱いにも期待しています」(佐々木さん)

データ基盤に関するプロフェッショナルなサポートを活用して理想的な環境と運用スタイルを確立したテレシー。クラスメソッドは引き続き、最新かつ高度な技術を提供してまいります。

株式会社テレシーについて

テレシー(TELECY)は、クライアント企業様の課題に対して、運用型テレビCMを軸とした統合型マーケティング・コミュニケーションサービスを提供する会社です。戦略策定からCMクリエイティブの企画制作、メディアバイイング、効果測定まで一気通貫してクライアント企業様に伴走し事業成長に貢献します。

【株式会社テレシー】 https://telecy.tv/

dbt導入・サポートはクラスメソッドにおまかせください

dbtはAmazon RedshiftやBigQuery、Snowflakeなどのクラウド型データウェアハウスにおけるデータ変換に特化したツールです。クラスメソッドでは初期導入サポートからdbt Cloudへの移行まで、経験豊富なエンジニアがお客様の課題解決に伴走します。

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