「どこ渋モバイルオーダー」を支えるCX ORDER
LINEミニアプリによる買い物体験のアップデート

東急株式会社

経営企画室 マーケティング・IT推進グループ マーケティング担当 主査 井上隆二様
ビル運用事業部 事業推進グループ 価値創造担当 若松伸一郎様
東急株式会社
公開日:2021年5月19日

2021年1月18日、東急株式会社は渋谷ヒカリエ、渋谷ストリームの2施設で共通して利用することができるモバイルオーダー用LINEミニアプリ「どこ渋モバイルオーダー」を発表しました。
大型商業施設の複数テナント共通で利用できるモバイルオーダーの仕組みは、他にはあまり例がなく、同社の先進的なIT活用の取り組みの一つだと言えます。

東急株式会社 この「どこ渋モバイルオーダー」は、クラスメソッドが提供するモバイルオーダー用LINEミニアプリ作成クラウド「CX ORDER」をベースに構築されたものです。
東急株式会社にてグループ全社のデジタルマーケティングを推進する、経営企画室 マーケティング・IT推進グループの井上隆二様と、渋谷ヒカリエや渋谷ストリームなどの商業施設運営に携わって付加価値作りを推進されている、ビル運営事業部 渋谷運営グループの若松様に、「どこ渋モバイルオーダー」の取り組みと、導入効果、今後の展望について詳しくうかがいました。

商業施設の利用体験をデジタルでアップデートしたい

2020年、若松さんは施設利用体験の次なるアップデートについて、デジタルを活用していくことを検討していました。

「商業施設での買い物体験をもっと快適にするために、さまざまなサービスをデジタル化して、気軽に利用できるようにしたいと考えていました。」(若松さん)

現金や紙のクーポン、メニュー表などを、オンライン決済や電子クーポン、Webアプリなどに置き換えてデジタル化していくことで、買い物体験におけるオーダーの順番待ちや支払いの手間など、小さなストレスを無くすことを考えていたと言います。

デジタル化はユーザーの買い物体験をより良くするだけでなく、商業施設側にもメリットがあります。例えば、紙に印刷して配布していたクーポンが、オンライン配布できる電子クーポンになれば、販促施策を実施するためのコストや手間、日数を大幅に減らすことができ、実施までのハードルは大きく下がります。ユーザー個別へのアプローチも簡単にできるようになるため、One to Oneマーケティングの実現にも近づきます。

東急株式会社
ところが、年初は兆しだけ見えていた新型コロナウイルス感染症は、日を追うごとに急速に拡大。外出の自粛が求められるようになり、飲食店の利用客数も大きく落ち込みました。
買い物体験のデジタルアップデート構想は、そんな中でテイクアウトの取り組みを始めたテナントを支援することを最優先に実現していくこととなりました。

「モバイルオーダーの実施は、最初の構想の中にもありました。ただ、当初は店内オーダーや支払い時のストレスをなくすことが優先でした。
新型コロナウイルスが拡大していく中で、自主的にテイクアウトの販売に乗り出す飲食店も増加してきたため、そのバックアップを考えたいと思ったのがモバイルオーダー導入に舵を切った理由です。」(若松さん)

2020年3月、商業施設として新型コロナウイルスに立ち向かうために、全館共通で使えるモバイルオーダーの仕組み作りの検討が始まりました。

若松さんからモバイルオーダーの相談を受けて、井上さんがまず思い出したのが、クラスメソッドが運営するレジレス店舗「DevelopersIO CAFE」だったと言います。

「クラスメソッドさんの『DevelopersIO CAFE』の商品を持って出るだけ、レジなしの買い物と、モバイルオーダーを体験していて、これを東急の施設で実現できたら良いよね、という話は以前にもしていました。
東急ストアのLINE LIFFアプリ案件から、顧客との接点作りもできるようになってきていたので、LINE連携をすることも考えており、自然とクラスメソッドさんへの依頼が選択肢に上がってきました。」(井上さん)

東急ストアのLINE LIFFアプリ開発支援により、技術力の高さはよくご理解いただいていました。
また、「現場からのフィードバックをきちんと反映して、ビジネスに生かすサイクルを回せるエンジニア集団」として信頼感を持っていただいていたそうです。

路面店ではない、商業施設ならではの課題への対応

CX ORDERは、DevelopersIO CAFEの仕組みを元にしたソリューションだったので、路面店でスムーズに使えることは折り紙つき。ノーコードでモバイルオーダーの仕組みが作れるSaaSとして提供されているCX ORDERですが、路面店と商業施設の違いが課題となり、「どこ渋モバイルオーダー」では追加開発が行われました。

「お客様に施設サービスとして使ってもらうためには、1〜2店舗だけではなく、なるべく多くのテナントで共通して使える方法を探る必要がありました。とはいえ、商業施設には、飲食店といっても多種多様な業態のお店があり、既存のオペレーションとの兼ね合いも店舗ごとに異なります。」(若松さん)

追加開発では、ユーザーが最寄りの施設からお店を探せるよう、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリームごとにお店を絞り込めるUIが新たに作り込まれました。

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また、商業施設ならではのオペレーションとしては、例えば売上額の報告、管理なども課題になったそうです。
各テナントは、商業施設の運営に売上額を報告する必要があります。チェーン店の場合は、さらに自社レジにも売上を入力しています。そこに新たにモバイルオーダーからの売上げが加わるため、どのように記録を突合させていくかが大変だったと言います。

このような事情もあり、モバイルオーダー導入に対するテナントの反応は千差万別だったそうです。テナントには任意でサービスに入ってもらい、2021年1月18日のリリース時には18店舗からスタートしました。

フィードバックからの改善〜アップデートのサイクルを回して

サービス開始後、テレビや新聞に取り上げられるなどの反響もありましたが、2021年3月現在は実際に施設を利用する人たちに向けて、ゆるやかにLINE公式アカウントの友だち数を増やしている状況だといいます。

テナントからの反応も、徐々に変化が見えてきました。
当初は見慣れないSaaS型のサービスについて不審がられていると感じていましたが、2ヶ月が経過して「受け入れてもらえるようになってきた」と若松さんはいいます。
同時に、テナントから要望が上がってくるようにもなってきました。

「最近は『もっとこういう風にできないですか?』という声を聞くようになりました。期待値が高いからこそ、要望を出してくれるものなので、非常にポジティブに捉えています。
この2ヶ月間、月に数回はアップデートをしてきたため、改善へのスピードを感じてもらえているのだと思います。」(若松さん)

東急株式会社とクラスメソッドは、サービス開始後も週次の課題共有を行い、店舗からの要望やフィードバックに基づいたアップデートを繰り返してきました。
機能としては、クーポンや時間指定受け取りなどが追加されてきており、UIにおいても注文の受付状態がひと目でわかるように改善されてきています。

店内からのテーブルオーダー機能の実装では、試験運用にご協力いただいた店舗から「物珍しさから利用するお客様だけではなく、意外に安定した売り上げが立つようになったので、引き続き利用したい」という声も聞けました。

体験をアップデートしていく姿勢が、テナントにもポジティブな影響を与え始めているようです。

渋谷エリアで広く使える「どこ渋」サービスの実現に向けて

どこ渋モバイルオーダーが利用可能な施設・店舗は、これからも増えていく予定です。
2021年3月には渋谷リバーストリートのキッチンカー、4月には東横のれん街での利用もスタートしました。

「エリアで広く使えるサービスを目指そうと思っていたので『どこ渋』というネーミングにしました」(若松さん)

渋谷には東急関連の施設が数多く存在しています。それぞれに親しまれている施設だからこそ、エリアの回遊性や、使い勝手を向上させていき、施設と街の魅力をさらに高めていきたいと若松さんは語ります。

「例えば、渋谷ヒカリエには東急シアターオーブやHikarie Hallなどの文化用途施設があります。ここで開催されるイベントへのお客様や、イベントスタッフへのアプローチは、これまで十分にできていませんでした。
来館者へのデジタルクーポンの配布など、他の施設との連携を深めていける施策の実現に、将来は取り組んでいきたいと考えています。」(若松さん)

井上さんは、東急の沿線価値を高めていくためにも、ユーザー体験をより快適なものとしていくのは重要だと捉えています。

「今後、東急グループ内のほかの施設や事業にも広げていきたいという思いはあります。
渋谷でも利用できる店舗を増やしたり、テレワーク中の方が、渋谷に限らず最寄り駅で使えたり、モバイルオーダーからイートインを利用できるようにすることも考えていきたいと思っています。
いずれはデジタル体験が価値ではなくて『当たり前』になっていく未来に向けて、アップデートしていきます。」(井上さん)

クラスメソッドは、高い技術力を持って、フィードバックから改善、アップデートにつなげるサイクルをより高速に回して同社のビジネスを支援してまいります。

この事例ではCX ORDERをご利用いただいています。

クラスメソッドが提供するLINEモバイルオーダーアプリ運用サービス「CX ORDER」では、LINEアプリ内に⾃社ブランドアプリを登録することで、多 くのユーザーリーチを獲得でき、商品やサ ービスを届けることができます。

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