LINEミニアプリから『どこでも処方せん送信』
高齢者も使いやすいシンプルなUI/UXを追求

株式会社トモズ

営業推進部 副部長 兼 DXプロジェクト リーダー 小室 伊都子 様
薬剤部 マネージャー 湯本 直嗣 様
株式会社トモズ
公開日:2021年12月21日
BEFORE
  • スマホから手軽に処方せんを送れる機能で調剤薬局をもっと便利に利用してもらいたい
  • 利用する患者さんと薬局の双方にとって使いやすいUI/UXが必要
  • 医療関連機能のため、セキュリティなどの実装要件が厳格
AFTER
  • スマホユーザーに広く利用されているLINEアプリをプラットフォームに採用
  • 初期登録なしで手軽に迷わず利用できるUI/UXを実現
  • 既存会員に対して幅広い年齢層にて受け入れられ、利用数は順調に増加

調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社トモズは、1993年創業。医薬分業の伸張により薬剤師が医療機関から交付(発行)された処方箋にもとづき、患者様に適切な服薬指導を行い、服用状況を一元的に管理する「かかりつけ薬局」時代の到来を予感した住友商事が、事業会社として設立しました。2021年11月現在、首都圏を中心に約220店舗を展開しています。

株式会社トモズ
2019年には調剤オペレーション自動化の実証実験を始め、また2020年7月には会員証機能を持つ公式アプリをリリースし約1年で約100万ダウンロードを達成するなど、トモズはDXに積極的に取り組んできました。その一環として、処方せんをスマホから送信できる機能を「LINEミニアプリ」として導入することを決定。クラスメソッドは、インフラ、アプリケーションの設計・開発からUI/UXデザインまでを技術支援しました。

本サービスを開発・導入するにあたっての経緯や課題、お客様からの反応、そして今後の展望まで、営業推進部副部長の小室さん、そして薬剤部マネージャーである湯本さんのお二人に、詳しくお話をうかがいました。

「LINE」をプラットフォームにして利用ハードルをさげる

小室さんは、トモズのDXプロジェクトリーダーを担当されています。トモズは、会員証機能を搭載したネイティブアプリも提供していますが、この開発プロジェクトも小室さんの牽引によるものでした。当初から会員証以外にもさまざまな機能を提供する構想はあったものの、「まずはお客様とのタッチポイントをつくる」という点にフォーカスし、機能を絞っての開発、リリースとなったそうです。

 会員証機能を持たせたネイティブアプリは順調に利用者数も伸び、次は処方せん送信機能の実装を考え始めた同社。

「トモズの強みは、物販だけでなく調剤事業者でもあるというところ。調剤に関する機能をアプリに載せていきたいという構想は、もともとありました。お客様のニーズがあることは認識していたので、どうにか実現できないかと手段を検討していました」(小室さん)

 処方せん機能について、まずは既存のネイティブアプリ内に機能追加することを検討したそうですが、仕様やコスト感がマッチせず、一時は別のネイティブアプリを開発することも検討したそうです。しかし、その場合はお客様にさらにアプリを1つダウンロードしてもらう必要があり、利用のハードルとなることが懸念でした。そんな時、クラスメソッドから「LINEミニアプリで、お店の外からカフェの注文ができるサービスを開発しました」という案内が届きました。

 LINEは月間アクティブユーザー数が8,900万人(2021年6月末現在)にもなり、ほとんどのスマートフォンユーザーがインストールしているといっても良いほど普及しています。LINEミニアプリは、LINEをプラットフォームとして動作するアプリケーションで、利用開始の際に新たにアプリケーションをダウンロードする必要がありません。ユーザーの識別やメッセージングについても、LINEの機能を使用できるのがメリットです。
小室さんは、LINEミニアプリであればお客様の利用ハードルを大きく下げられる点に注目し、LINEミニアプリで処方せん送信の機能が実現できるのなら、まずは進めてみて、ネイティブアプリとのリンクについては別途検討するのでも良いと考えたそうです。

「当時は『LINEミニアプリ』そのものが広く知られていませんでしたので、他社ベンダーにもヒアリングをしましたが、我々の要求仕様やセキュリティ担保の観点など含め『全て満たせます』と回答いただけたのはクラスメソッドさんだけでした。お仕事をご一緒するのは初めてでしたが、ネイティブアプリ開発の際に相談した経験からも、信頼のおけるベンダーさんであることはわかっていましたし、初期のご提案もしっかりしたものでしたので、お願いすることに決めました」(小室さん)

株式会社トモズ

お客様にとっての「便利」を追求したUI/UX

2020年10月に、トモズからクラスメソッドに「LINEミニアプリ」の開発について相談がありました。他社が既にスマホから処方せんを送れるサービスをリリースしていたため、それらを実際に試したりしながら、トモズとして最も必要な機能を絞り込みつつ、徹底したユーザー視点で使いやすいものを開発していったといいます。

「患者さんがストレスなく使えることが一番重要でした。新しいアプリをダウンロードしなくても使える点でLINEミニアプリを選んだことに始まり、初めて使う人でも直感的に使える、シンプルで使いやすいものをつくりたいと考えていました。いろんなアプリの仕様を確認した中で、調剤に必須の機能は載せつつ、省いていいところは省いてシンプルにしていきました」(湯本さん)

「我々が目指したのは、トモズの店舗から離れた医療機関にかかった場合にも『トモズに処方せんを送っておいて、買い物ついでに後で受け取ったほうが便利』と思っていただけるようなサービスです。登録などの手順は無く、QRコードを読み込むことで起動。簡単な操作だけで完結するようにしました。もし操作がややこしかったら、医療機関近くの門前薬局に持って行く方がラク、ということになってしまいます。店頭でのQRコードだけでなく、トモズのネイティブアプリやLINE公式アカウントにも導線となるリンクを置き、どんなアプローチでも簡単にアクセスできるようにこだわりました」(小室さん)

 コロナ禍における約4ヶ月の開発期間は、ほぼオンラインでの進行になりました。週1回の定例ミーティングや、Slackを通じたオンラインコミュニケーションに加え、残課題や進捗の「見える化」により、オンライン開発でも抵抗感なく進められたそうです。

「プロジェクト管理が非常に素晴らしかったと思っています。アプリ開発やECのリニューアルなど、色々なプロジェクトに取り組んできましたが、システム部のメンバーは『過去最高に穏やかな開発案件だった』と言っていましたね。クラスメソッドさんとお仕事するメリットはアジャイル開発であるところです。要件定義の時点から、こちらの要望に対してすごく柔軟に対応いただきました。」(小室さん)

「プロジェクトの最初に、UIについて徹底的に話して詳細を詰めたのですが、こちらの都度の要望に対しても非常にスムーズに対応いただけました。1か月後には、ある程度の形ができていて、残りは細かいところを確認したり変更したりするだけだったので、スピード感にびっくりしました。おかげでローンチに向かって定例の時間はどんどん短くなっていって、ローンチ前には10分程度、確認だけで終わるようなスムーズさで驚きました。」(湯本さん)

株式会社トモズ

世代を超えて利用者から支持される処方せん送信機能

2021年5月に『どこでも処方せん送信』LINEミニアプリが導入されると、その利便性に世代を超えた支持が集まり、利用者数は日々増加し続けています。開発当初の目標として1日300人の利用をKPIとしていましたが、わずか2ヶ月程度で達成。それからも徐々に利用者は増え、2021年11月現在は倍以上の利用者数となっています。現時点での利用者は、既存のトモズのお客様が多く、処方せんをまずアプリで送信され、その後ご来店されるようになったとのことです。

「トモズは特定の医療機関の門前薬局ではなく、町にある薬局として、近隣にお住まいの方にご利用いただくことを目標として設立されました。そこでさまざまな医療機関の処方せんを受けることそのものは、LINEミニアプリ経由でも今までと変わらず、現場でも大きくオペレーションを変えることなくお薬をお渡しできています。」(湯本さん)

会員証アプリ会員に対し、この『どこでも処方せん送信』LINEミニアプリについてのアンケートを行ったところ、約1日で1万人からの返答があり、また60代以上の返答率が大変高かったそうです。「1年以内にどこかの薬局に処方せんを出したことがある」という年配のお客様のうち、約18%がLINEミニアプリ『どこでも処方せん送信』を使っていらっしゃいました。トモズは商業施設に入っている店舗が多く、さまざまなお客様が来店するのですが、ヘビーユーザーほど便利に使っていただいている、ということが分かりました。

「会員証アプリをお使いいただいている、来店頻度の高いお客様のニーズにうまくはまったことがわかるアンケート結果でした。またLINEアプリについては年齢層関係なく、ツールとして本当に定着していることがよくわかりました。お客様からは、『処方せんがカンタンに送れるから便利』『送信時間を気にしなくていいのがいい』『慢性疾患なので定期的に土日に医療機関で診察を受けるが、オフィスビルのトモズに週明けに取りに行く前提で処方せんを送る』というお声を頂戴しています」(小室さん)

医薬業界に求められるデジタル化に、積極的に対応

2021年11月現在も続くコロナ禍で、医薬業界は急激な変化を求められています。2020年4月には初診からのオンライン服薬指導がコロナ禍の特例として認められ、患者は家にいながらにして薬を受け取ることができるようになりました。トモズは2021年3月に日本郵便のECサイトとの連携を開始するなど、積極的に新しい取り組みを進めています。

「2020年9月から薬剤師による服薬フォローが法的に義務化されたこともあり、薬剤師の業務は実際に増えています。そこで、薬剤師がするべき業務、そうでない業務を整理し、また薬剤師がやるべき業務に関しても、できるだけ手間がかからないようにシステム化していきたいです。そして、薬剤師が患者さんひとりひとりに対応する時間を増やしていきたいと思っています。」(湯本さん)

「アンケート結果をみて、本当に便利な機能はどんな年齢層の方にも使っていただけるということがよくわかりました。今後は、薬局の規制緩和を見ながらながら、対応を進めていかなければいけません。オンライン服薬指導などが一般化していくと、お客様の選択肢はまた広がっていきます。そのためには、気軽に薬局とコミュニケーションがとれる機能なども進化させていきたい。クラスメソッドさんからもいろいろご提案いただきながら、一緒に開発して行けたらありがたいなと思っています。」(小室さん)

2023年には電子処方せんが始まることが決まっているなど、今後医療業界におけるシステム化やオンラインツール拡充はますます求められています。クラスメソッドは、LINEミニアプリ開発をはじめとした技術力と経験により、今後もトモズのデジタル化施策に貢献してまいります。

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