KADOKAWAグループ企業として出版文化からイノベーションを
ブックウォーカーは角川ホールディングス(現KADOKAWA)の子会社として2005年に設立された、KADOKAWAグループのデジタル戦略を担う企業です。同社はビジョンに「出版文化からイノベーションを生み出す」を掲げ、ITを活用した新規事業を推進してきました。主な事業として、電子雑誌の読み放題サービス「dマガジン」へのシステム提供および運用協力や、自社サービスの電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」、またほかの電子書籍ストアへの配信取次を行っています。
ブックウォーカーは「dマガジン」「BOOK☆WALKER」のAWSインフラをクラスメソッドメンバーズの請求代行プラン経由で利用しています。
早期からサービスのインフラとしてAWSを採用
ブックウォーカーは、早期からサービスのインフラとしてAWSを含むクラウドサービスを活用していました。dマガジンのインフラを担当されているプラットフォーム開発部 部長の高見真也さんが入社された2013年当時には、すでにサービスでオンプレミスのサーバを利用していない状態でした。
さまざまなクラウドを利用してきた同社ですが、最近はAWSにシステムを集約しつつあります。中でも、多彩なジャンルの雑誌が自由に読めることで人気を博す「dマガジン」のインフラにAWSが選ばれた理由はなんだったのでしょうか。
「一番の理由は、アプリケーションの開発から実行、運用までのすべてをクラウドで完結できるHerokuというPaaSをすでにAWS上で使っていたことです。あとはAWSが用意しているサービスや機能が一通りそろっていて、充実していたこともありますね」(高見さん)
AWSはクラウド上であらゆる作業工程を遂行できるため、クラウドをベースとしたほかのサービスとも親和性が高くなっています。またサービスメニューが豊富なため、目的に沿ったアーキテクチャーの設計・運用もスムーズです。
「dマガジン」の核となるCDNの冗長化を実現
実際にdマガジンで活用されているサービスについても伺いました。コンテンツの保存にS3、配信にCloudFront、ほかにもEC2、RDS、DynamoDBなどを利用しています。
「CDNに対応しているので、S3は結構重宝しています。万が一、落ちたら一番困るのはS3かもしれません。それとサービスのコアになるCDNの部分に関しては、システムを冗長化してCloudFrontとAkamaiの両方を使っています」(高見さん)
また、AWSがクラウドの草創期からサービスを提供してきたからこそ、ノウハウが広く浸透していることが外部企業へのアウトソーシングも含めた利活用の可能性を広げています。
「ほかのクラウドサービスでdマガジンのシステムを構築し直す、というのもできたと思います。ただ、開発などを積極的に外部の会社にお願いしているので、広く経験値が積み上がっているAWSの方が良かった面はあります」(高見さん)
高見さんと共に開発を行っているプラットフォーム開発部 技術開発グループ グループ長の大坪さんも、インフラを支えるエンジニアの立場からAWSの利便性を実感しています。
「オンプレミス環境に比べて、どんなシステムも自在にコンソール上から立ち上げることができます。スピーディに、コストもそんなにかからず開発ができています」(大坪さん)
AWS利用費割引と円建て請求のメリットを提供
ブックウォーカーは2017年7月にクラスメソッドの支援サービスを契約しています。同社は当時からKADOKAWAグループの中で最もAWS活用を進めており、グループ企業の中心であるKADOKAWA社もAWSを導入していました。そこでKADOKAWAグループ全体としてAWSを一括契約することが決まり、年単位の契約を条件としたボリュームディスカウントを図ることが決まったのです。そうしたタイミングでの請求代行サービス契約には、さらなるコスト削減の狙いがありました。
「クラスメソッドに間に入ってもらうようになって、利用費が数%下がっています。あと、日本円でやり取りをしてもらった方が経理処理が楽です。地味なメリットですけど、意外と大事なんですよね」(高見さん)
クラスメソッドメンバーズならAWS利用費の割引に加え、日本円での請求書発行が可能です。これによりブックウォーカーは、通貨換算やそれに伴う書類のやり取りといった事務処理の手間を省くことができています。また、24時間365日で日本語によるカスタマーサポートを受けられる点についてもご評価をいただきました。
「AWSとの直契約よりは、ちゃんと日本語で日本人がやりとりしてくれることで、サポートが手厚くなった部分はありますね」(高見さん)
出版業界に革新をもたらすブックウォーカー社を支える
ブックウォーカーはKADOKAWAグループの中で、コンテンツを創り出せる人材とITを掛け合わせて有効活用していく役割を担っています。同社は、主なビジネスの領域である出版業界に対して今後どう関わっていくのでしょうか。
「作家さんだけじゃなく編集者みたいな、新しい作品を生み出す力を持っているリソースをもっと今の時代に活かすためにITを使う、イノベーションを起こしていくのがブックウォーカーのミッションになっているのです」(高見さん)
当社はこれからも出版業界を牽引するブックウォーカーのパートナーとして、ITを活用した革新的なビジネスに貢献します。