株式会社ココカラファイン様について
株式会社ココカラファインは約1300店舗のドラッグストア・調剤薬局を中核事業として、全国で展開している東証一部上場企業。店舗数・調剤事業規模は業界トップクラスで、カウンセリング販売による高付加価値商品の販売など、「おもてなし」を通じてお客様に価値を提供することに注力している企業です。また、介護事業や訪問看護、インターネット通販事業などヘルスケア関連事業を幅広く展開しています。
チャネルを均一化するためのモバイルアプリが必要に
同社は、2013年4月に全国各地の販売子会社を統合した背景があります。そのため、地区や店舗ごとに販売促進やお客様とのコミュニケーションに差異が生じていました。そうした状況を改善し、より一層強固にすることで、他社との差別化を図るというねらいがありました。
経営戦略として「いつでも どこでも どなたでも ココカラファイン」を掲げ、お客様をとりまくチャネル・サービスを均一化するプラットフォームとして、同社はオムニチャネル構築を検討していました。1to1でのコミュニケーションを促進させるためのチャネルには、ユーザーとの接点が多いモバイルアプリが必要不可欠でした。
コミュニケーションを生むためのCMS開発
ココカラファインのモバイルアプリ開発にあたって、適切なタイミングでのクーポン配信やキャンペーン運用が可能なCMS開発は不可欠な要素です。アプリのユーザーがよく行くお店の店舗チラシ情報を自動配信するための自動コンテンツ生成、Push配信という機能も同様です。
こうした機能に加え、アプリ制作においては既存POSシステムとアプリバックエンドのシステム連携や既存のWebサイトとアプリでのログインを共有化するための認証基盤開発もオムニチャネル環境の必須項目として求められていました。
また、お客様にさらなる「おもてなし」を提供するためには、オムニチャネル上のビッグデータ活用も重要であると考えられていました。
クラスメソッド社が選ばれた理由
こうした背景をふまえ、クラスメソッドが同社からアプリ開発のご依頼をいただいた背景は下記の理由からでした。
1つは提案内容です。クラスメソッドはコンサルティングの段階から丁寧で具体的なヒアリングに努めました。そうした中でUI/UXを含めた提案にご納得いただけたこと、将来的に必要になるビッグデータ分析基盤も併せて提案できる実績も備えていたことで信頼を得られました。
2つ目は日々変容するビジネス環境に適用できる、柔軟性のあるアプリ開発実績、AWS利用の知見などが同社の安心につながった点です。クラスメソッドは飲食・小売チェーン等でのモバイルアプリを中心とした大規模オムニチャネル案件での開発運用実績を持っています。
そして最後は提案内容に見合ったプライシングが決め手でした。中でもインフラ面はAWSを活用し、コストの無駄を削減した低価格での基盤構築を実現することができました。
新たなコミュニケーションチャネルの開拓
アプリでは、ココカラクラブカードの電子会員証を発行・リアルカードとの連携をはじめ、アプリ会員限定のクーポン発行や、アプリのユーザーがよく行くお店からのお得な店舗情報の個別自動配信も実施しています。また、一層ココカラファインのファンになってもらう施策として「スクラッチプレゼント」をアプリ上で毎日開催しました。
こうしてリリースされたモバイルアプリでは次のような施策と効果を生むことができました。
導入後の効果
ココカラファインはアプリを通じてエンドユーザーに利便性を提供し、接点をより密にすることを可能にしました。加えて同社はアプリの運用開始により、施策も定常的に運用されることでPDCAを回すことができる体制を実現しています。現在はお客様のアプリ・サイト行動や購買特性などからデータを活用していくフェーズに入っています。
オペレーターが利用しやすいCMSのアプリ運用
ココカラファインのアプリでは、運用オペレーターが会員向けのクーポン発行など、日々の施策を回せる操作性と、アカウントごとに役割を分けた設計で運用ミスの起きにくいチェック体制を両立したCMSをご用意。新しい機能を追加する際にはメリット・デメリットを鑑みてスモールステップで開発を継続します。
継続的なアプリリリースに伴うKPI大幅改善
アプリ運用保守フェーズにおいては、1、2ヶ月のサイクルで細かく機能追加・改善リリースできる体制を整備しました。ユーザーからの声やクラッシュ情報からフィードバックを得て、計画バグフィックスを行うことで満足度を維持しています。また、導線フローの見直し施策においては、訴求したいサービスの登録数が施策実施の前月比1.5倍に向上しました。
今後はビッグデータ分析も視野に入れた「おもてなし」へ
アプリのリリースとともに、クラスメソッドはデータ蓄積に関しても先行してファーストリリースから携わりました。現在はデータをマーケティング・店舗施策に活かすためのスキームを構築中です。
今後、ココカラファインはモバイルアプリの保有するデータだけではなく、既存基幹システムやWeb側のデータなども含め、統合的なお客様データの分析も視野に入れていく予定です。お客様が現状どのような期待を持ってココカラファインを利用してくださっているかを明らかにし、その期待のさらに上をいく「おもてなし」の提供に努めていきたいと考えています。
クラスメソッドは、ココカラファイン様の要望に沿って、今後も業務支援を実施する予定です。
システム構成図
利用しているAWSサービス
・Amazon CloudFront
・Amazon Cognito
・Amazon DynamoDB
・Amazon ElastiCache
・Amazon Kinesis Streams
・Amazon Mobile Analytics
・Amazon RDS
・Amazon Simple Email Service
・Amazon Simple Notification Service
・Amazon Simple Queue Service
・Amazon Simple Storage Service
・AWS CloudFormation
・AWS Device Farm
・AWS Lambda
・AWS Mobile Hub
・AWS WAF
その他のご利用サービス
・Datadog
・GitHub.com
・Logentries
・Travis CI
DevOpsについて
ココカラファインのモバイルアプリについてはDevOpsも意識した設計になっています。
具体的には以下の設計を行いOps業務負荷の軽減がされたため、エンドユーザからのフィードバックに応じて迅速な機能追加および改善を行うことが可能になりました。
・CodeDeployを利用した高速デプロイ
・CloudFormation、AutoScaling、Golden AMIを組み合わせた本番環境の無停止かつイミュータブルなデプロイ
・Application Load Balancer とAPIバージョニングを組み合わせたBlue/Greenデプロイ