AWS利用で高音質ライブ配信プラットフォームを実現請求代行サービス加入でデータ転送コストを大幅圧縮

株式会社I-Style

代表取締役 板垣様
役員 菅井様
公開日:2021年9月22日
BEFORE
  • ライブ音源を損なうことなく配信・再現できるプラットフォームを模索
  • 極めてニッチな要件のため、AWSの設定についても情報が乏しい
  • データ転送にかかるコストの圧縮が必須
AFTER
  • PoCを経てプロのアーティストからも認められる音質をAWS環境で実現
  • 検証環境の設計・構築にクラスメソッドエンジニアの知見を活用
  • クラスメソッドメンバーズの請求代行を利用して約50%のデータ転送コストを圧縮

株式会社I-Style(以下、I-Style社)は、ITコンサル、経営コンサルを主事業としながら、クライアントの要望に合わせてシステム設計、構築、運用など幅広く行っています。2020年、I-Style社はクライアントと共に「高音質にこだわった生ライブ配信サイト」の構築を行うこととなりました。 このサイトは“AFLS(アファレス)”と名付けられ、詳細な検証を経て2021年5月からサービスを開始しています。

このAFLS構築に際し、I-Style社はアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)を利用しています。クラスメソッドは、本サービスの肝となるライブ配信基盤部分の設計・構築のPoCと、AWSに関する技術支援を行いました。
AFLS開発について、I-Style社 代表取締役 板垣様と、実装エンジニアとして本プラットフォームを担当した役員の菅井様に、詳しく話をうかがいました。

高音質にこだわったライブ配信プラットフォームを企画

AFLSは、プロミュージシャンが企画・構想段階から関わっているシステムであり、「高音質を追求する」という方針が前提にありました。この方針から、I-Style社は本プラットフォームの実現に関して、2つの課題を認識していたといいます。1つ目は、クライアントであるプロミュージシャンが求める音質を再現できるのかどうか。そして2つ目は、サービスとして立ち上げた時のコストが現実的なものかどうか、です。

「クラウドサーバーでは、データ転送量に比例した利用料がかかるのが一般的です。コストに対する懸念から、初期段階ではクラウドサーバー利用は想定しておらず、プライベートクラウドでオンプレミスに近い構成での構築計画を立てていました。試行錯誤の末AWSでの構築に舵を切ったものの、コストの課題が解決できないとプラットフォームはできあがっても、その後の運営が現実感の無いものになってしまいます。これを検証するために、まずはPoCの段階が必要だと考えました」(板垣さん)

AWS利用に際し、専門性の高い技術相談先を必要とされたI-Style社では、同社役員でありエンジニアである菅井さんの推薦でクラスメソッドに声をかけたということです。クラスメソッドは2011年からエンジニア自ら技術情報を積極的にアウトプットする技術ブログ「DevelopersIO」を運営しており、また全国のエンジニアが主催するAWS勉強会にも積極的に登壇しています。菅井さんはこれらの勉強会などでクラスメソッドのメンバーと長く交流があったそうです。

「クラスメソッド社であれば、AWSのメディア系サービスはもちろん、EC2等のコンピューティングや全般的なシステム要件に対して広く的確なアドバイスをいただけると思いました。構想していたプラットフォームについても的確な支援をいただけるだろうと考えて、お声がけしました」(菅井さん)

配信プラットフォーム実現に向け、二社が全力でPoCに取り組む

2020年の春頃にクラスメソッドはI-Style社と、AFLSについてキックオフの機会をもち、プラットフォームとしての実現可能性について検証するPoCプロジェクトに取り組み始めました。

まず、AWSにこのプラットフォームで想定される量のデータを流すと、どれくらい料金がかかるのかを確認する必要がありました。クラスメソッドのAWS総合支援「クラスメソッドメンバーズ」の請求代行サービスは、AWSの全サービスが全リージョンにおいて一律割引となるプランと、主要EC2オンデマンドやCloudFrontのアウトバウンド通信費が大きく割り引かれる「EC2・CDN割引プラン」の2種類から選べるようになっており、I-Style社は後者を選択しました。

「『EC2・CDN割引プラン』を適用することで、データ転送に対してかかるコストを約半額まで落とせることがわかりました。この割引メニューのあるクラスメソッドさんでなければ、AFLSは実現できないプラットフォームだったかもしれません。このコストの見積もりができて、ようやくサービス構築が現実化してきました」(板垣さん)

次に、本プラットフォームの肝となる音質の検証は、板垣さん自身が行いました。パラメータをひとつずつ変えながら、同じ音源で聴き比べし、良い組み合わせを模索するという作業です。クラスメソッドからはメディア関連のAWSサービスである、「AWS Elemental MediaLive」「AWS Elemental MediaPackage」「AWS Elemental MediaConvert」のパラメータについて、基本的な組み合わせの提案をさせていただきました。

株式会社I-Style
「ピアノ、ギター、フルート、マリンバ、ヴァイオリン、声楽などの演奏サンプル音源を用意し、納得できる音質を探すために組み合わせを変えて2千回くらい聴いたと思います。何をもって“良い音”とするかの判断は数値化しにくい部分なので、自分の耳で聴くしかなかったんです。複数の周波数、コーデック、転送方式の選択肢について、パラメータをひとつずつ変えて、再起動して、聴いて、またパラメータを直して、再起動して、という繰り返しです。候補を3つ程度まで絞り、クライアントであるミュージシャンに最終判断して頂きました」(板垣さん)

このPoCで音質について確信が持てたI-Style社は、いよいよライブ配信基盤のPoCに進むことにしました。
クラスメソッドは、AWS Media Servicesを活用して本プラットフォームの検証環境を設計・構築しました。また、ライブ配信サービスでは、不定期に何度も配信基盤を立ち上げる必要があります。このような仕組みを運用するにあたって、どのようにリソースを操作・管理するのが最適なのかを提案し、運用設計の支援を行いました。さらに同時にAWSに関するスキルトランスファーを行うことで、本番環境の配信基盤ほぼ全てを、I-Style社にて構築できるよう自走支援も行いました。

「AFLSでは、音の温もりやクリアさを感じられるように、さらにアーティストの息遣いや倍音など、リアル空間でもなかなか聴きとれない“生きた音”をリアルに感じることができるように、コーデックや測定値を試行錯誤していきました。この試みには前例と言えるようなものがほぼ無く、参考になる情報が見つからないことや、カタログスペック上はできるはずなのに実際にはできないということが何度もあるプロジェクトでした。その点、クラスメソッドさんはAWS社との連携がありますので、設定やパラメータの調査や裏取りについて詳しく相談にのっていただくことができました」(板垣さん)

AWSベンダーとの協業による適切なコスト圧縮と技術支援が継続性を担保

PoCで実現の目処が立った後は、板垣さんがプロジェクトマネージャー(PM)となり、菅井さんがインフラの設計・構築・運用を担当。アプリケーション部分は制作ベンダーと協業して実装を進め、無事5月にサービスリリースとなりました。AFLSリリースから約2ヶ月経ち、利用したアーティストからは「音が良かった」という声もあり、リピート利用もされているとのことです。

「リリース直前まで、AWS周りで出てくる技術的に難しい課題については、クラスメソッドさんを頼りにさせていただきました。もともと技術力が確かな会社であることは存じ上げていましたが、切羽詰まった状況の中でも非常にスムーズにコミュニケーションできたのはありがたかったです。このスムーズさが、検証や実装のスピード感にも繋がったと思います」(菅井さん)

「ご提供いただいている割引プランは、今後プラットフォームの利用者が増えれば増えるほどストレートに原価率に関わってくるところです。ここに対する懸念を払拭してから開発に着手できたのは大変ありがたかったですし、今も助かっていると感じています。また、サービスリリース後もクラスメソッドさんとはサポート契約を継続させていただいており、いつでもご相談できるという安心感があります」(板垣さん)

今後もITコンサル、経営コンサルを主にしながら、お客様の要望に合わせたシステム開発も提案していくというI-Style社。お客様が心の底から求めていることをAWS上で実現できるよう、クラスメソッドはこれからも技術力によってI-Style社の事業をサポートしていきます。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

AWSコンサルティングパートナーアワード受賞のクラスメソッドは、お客様のAWS活用を様々な形でサポートします。AWS利用料を割引提供する請求代行から構築運用、クラウド移行などの技術支援までお客様のご要望に沿ったサービスをご提案します。

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