「一番搾り」「本麒麟」「午後の紅茶」「iMUSE」など数々のヒット商品で酒・飲料業界をリードするキリングループ。その持株会社であるキリンホールディングス株式会社では各事業会社の様々なサポートを行っています。
各事業会社のマーケティングリサーチやIT投資のサポートを行うことも同社の役割になることがあります。そして、ビッグデータを取り扱い分析する業務も行われています。
ブランド戦略部 マーケットインサイト室 データサイエンスチームの高橋哲也さんは様々なツールを駆使して顧客の行動データや購買データを分析していました。
2019年に主要ツールをAlteryxに切り替え、分析のパフォーマンス向上や分析業務への集中など、効果を実感しているそうです。
どのような効果を感じられているのか、ビジネスへの影響、これから導入を検討している方へのお話をうかがってきました。
データ取込みの柔軟性を高めたい
高橋さんが在籍する部門ではビッグデータを扱っています。
「私はもともとは営業畑で、現在の部署もマーケティングリサーチから派生したグループです。アンケートを取ったりインタビューしたりして得たデータを分析していました。部門内でのデータ分析は独自でシステムを導入することもありますが、会社のシステム利用ルールの範囲内で選定などをしなければなりません。自部門で導入するにあたり、限られたコンピューティングリソース、ネットワーク環境の中でよい動きをしてくれるデータマイニングツールは重要でした」(高橋さん)
以前は他社のシステムを活用していましたが、パフォーマンス面や取り込むデータの柔軟性をより良くしたいことから分析ツールのリプレースを検討するようになりました。
「もともとAWSに興味がありましたし、技術ブログ『Developers.IO』も良く読んでいました。クラスメソッドの営業の方とも話していたのですが、あるときオフライン環境下で使える分析ツールに困っているということを口にした際に教えてもらったのがAlteryxでした。手持ちのコンピューティング環境の中で満足のいくパフォーマンスが得られそうなこと、データの取り込みやすさに優れていることが導入の決め手でした」(高橋さん)
2018年にご紹介したAlteryxを同年末に導入、2019年から本格的に利用を開始しました。
データ読み込みの安心感が高い
前のシステムとUIが似ていたというAlteryx。導入時のトラブルはほとんど無かったそうです。
他社のマイニングツールを使っていたときと同じワークフローを作っての比較こそしていませんが、高橋さんはAlteryxによる手応えを感じています。
「入力データに難があるときに柔軟に読み込んでくれる力は、Alteryxは強いですね。ファイルの読み込みに対する安心感が高いのです。他のツールと比べ、意図した通りにカラム名を読んでくれる。元データのクレンジングに不安がある場合でも、Alteryxはその認識と修正の精度が高いと思います。」(高橋さん)
CSVでデータを取り込む際には、一気に数千万レコードを読み込まなければならないこともあるそうですが、Alteryxの柔軟な読み込みのおかげで作業の効率は高まっているようです。
また、過去に実行したAlteryxワークフローのSQLの参照でも利便性を感じていただいています。
「しばらく間が空いてから過去に行った分析を再びやることになる場合もあり、可読性の高い履歴が残るのは良いです。Ateryxの既存のワークフローを元に、必要なところを直すだけで済むのは助かります。」(高橋さん)
データの取り扱いのしやすさとパフォーマンスの高さに関して、Alteryxは満足いくものだったようです。
データの民主化をもたらす質の高いアウトプット
ビッグデータの活用が進化するにつれて、企業が保持しているデータも、より多くの人が、より自分の望む形で活用できるようになってきました。こうした動きを「データの民主化」という言葉で表すことがあります。
データ分析の専門家によるレポートを頼りにしていた時代から、所有しているデータに、それぞれの部門の専門家が独自の付加価値を付けることで、より柔軟に、より価値のある情報を生み出せるようになるメリットが「データの民主化」にはあります。
高橋さんはデータの民主化にもAlteryxが役立っていると話しました。
「アウトプットでもAlteryxは良いと思いますよ。Excelにイメージした通りの形で出力でき、TableauのHyper(大量で複雑なデータを処理できる分析技術)に向けたデータも直接アウトプットできます。社内でTableauを使うケースが増えていますが、エンジニア以外のスタッフが使用することも多く、使いやすい形式でデータを渡してあげられるのは業務全体の視点で見ても良いことです」
「データの民主化をしたいと考えたときに、そのハードルが低くなります。製品で出来る機能だけでなく、システム要件、サポート、制限、周囲のデータの活用力、そうした幅の広いところを受け入れられる懐の深さがAlteryxには感じられます。何かが欠けるとうまくいかないデータの民主化にも、まんべんなく対応できていますね」(高橋さん)
Alteryxの使いやすさとクラスメソッドのサポート
海外製品の利用には、日本語による情報が不足しがちという懸念がありました。Alteryxについては、使いやすさとクラスメソッドのサポートで、そのファーストステップを克服できたといいます。
「クラスメソッドの対応は親切で早く、難しい言葉が出てきません。私たちの仕事はデータを分析して意味付けをし、実業の方々へお戻しすることであり、環境整備やシステム構築そのものではありません。ビジネスサイドの分析者がシステム部門の人間のサポートを受けないで進めようとすると、つまづくことも多いのですが、ビジネスサイドの分析者が理解できる対応をしていただけたのはありがたかったです」
Alteryxにはサンプルのワークフローがあり、チュートリアルもワークフローに連携しています。
「これは結構新しいし、便利だなと思いました。以前のシステムではPDFを印刷したチュートリアルが100枚近くあり、それに蛍光ペンでマークしたり、にらめっこしたりということをしていましたから」
ライトユーザーが大規模データを使うために
同社では導入当初の2019年は最小ライセンス数での契約でしたが、Alteryxにご満足いただいた2020年のライセンス更新の際にはアカウント数を増やして契約いただきました。
「データ分析の専門家ではない、ビジネスサイドに近い人々が導入できるのが良いです。
あらかじめデータ分析について多少の知識がある部門、例えば統計解析がバックグラウンドにある部門には導入しやすいでしょう。ライトユーザーが大規模データを扱わなければならないときにも、Alteryxが活躍するかもしれません」(高橋さん)
ビッグデータの流行後、データサイエンティストのニーズが高まったり分析ビジネスの気運が高まったりしています。しかし、そうした中でも、データ分析の専門家でないビジネス寄りのスタッフが自ら分析し、分析したデータに独自の意味付けをすることで情報の価値は飛躍的に高まります。
データサイエンティストだけでなく業務部門の方でも幅広く、深い分析ができるAlteryxは、データを民主化し、企業の持つ情報の価値を高めることに貢献します。