株式会社商船三井(以下「商船三井」)は、世界有数の規模を持つ船隊と、徹底した安全運航で、多彩な輸送ニーズに応える総合輸送グループです。世界経済のさらなる発展に貢献するために世界の海運をリードしています。
商船三井が手掛けるサービスは、LNG・石炭・石油などのエネルギー資源、自動車などの工業製品、鉄鉱石や穀物、など、あらゆる貨物の輸送を対象としています。近年は船を輸送のためではなく特定の場所に浮かべてインフラとして活用する海洋事業にも力を入れており、数多くのプロジェクトが日々動いています。
その予実算管理業務では、以前からExcelが用いられてきました。手作業でデータ入力・転記を行なっているため、時間がかかる上に入力ミスが起こることもあります。年々プロジェクト数が増えるにしたがい、作業時間は増加し、目視でのミスの防止にも限界がきていました。
プロジェクト増にともないExcelによる予実算管理業務が限界に
海運業では、主に貨物の輸送や所有する船舶を貸し出すことによって収益が得られます。船舶1隻単位、またはプロジェクト案件単位で、予算と実績を管理してきました。常に100を超えるプロジェクトが動いている現在、プロジェクトごとに作成される予実算管理ワークシートもプロジェクトと同数の100シート以上となりました。それぞれに入力・転記・集計などの作業を行うため、作業の手間はもちろん、ミスの発生も課題となっていました。清家さんのチームだけではなくデータを入力する営業部でも予実算管理業務は限界に近づき、何か手を打たなければいけないところまできていました。
「昔はExcelで十分こなせる規模の業務だったものが、徐々にプロジェクトの数が増えた結果、気づけば担当者の努力と根性でカバーしているという、まさにゆでガエル状態でした。付加価値の低い手作業を自動化し生産性の向上が図れないかと考えていました」と、清家さんは話します。
複数ファイルのデータ統合を行うAlteryxワークフローを開発
予実算管理業務の改善を考えていた清家さんは、Alteryxの利用を考えます。
清家さんはAlteryxを以前にいた部署で使用した経験がありました。日本の海運会社3社のコンテナ船事業統合に携わった際、大量のデータを前処理・集計する必要があり、Alteryxを使用したのだそうです。
「クラスメソッドの技術ブログ『DevelopersIO』でTableau関連の記事をよく見ていました。その中でAlteryxが紹介されており、気になっていました。大量のデータ処理という課題に直面した際にAlteryxを試してみたところうまく役立ちました。大量のデータではあったものの、複雑な処理ではなかったので『DevelopersIO』を見ながら独学でデータを処理することができました」と清家さんは言います。
このAlteryx利用経験から複数エクセルファイルを合算・加工するという機能が応用できると考えた清家さんは、予実算管理のデータ処理作業へのAlteryx導入を進めます。予実算管理では複数の営業部が関わり、処理の内容も複雑であったので、自力での開発は困難と考えました。そこで、クラスメソッドが導入のサポートやワークフローの開発、トレーニングのパートナーとして選ばれます。
ワークフローによる業務プロセス簡略化で数十時間の残業を削減
予実算管理のデータ処理では、社内ルールに従った計算のロジックを反映する必要があります。また、定量的な損益の数字変化だけでなく、その変化の要因分析といった定性的なデータも同時にAlteryxで処理をしたいと考えていました。そして最終的にはTableauでそれらを可視化できるような形にデータを整形したいという要望もありました。
本格的な運用開始までにはトライアル期間を設けて、クラスメソッドのサポートによりワークフローのサンプルを作り、ワークシートを確実に読み込めて分析まで行える形になっているか検証を重ねていきました。Alteryx導入により業務プロセスが変わる部分もありますが、なるべく営業担当者に負担がかからないように入力フォーマットの変更は最小限にし、事前説明も十分に行えるよう支援しました。
「データの前処理が一番大きな課題ではありましたが、最終的にはTableauのダッシュボードを作るところまで目指していたので、AlteryxだけでなくTableauの相談もできるということが、導入支援をお願いする決め手となりました。データの扱い方についても具体的に相談できて、データの入力フォームからTableau作成まで一気通貫で提案してもらえたのは非常に助かりました」と清家さんは導入を振り返ります。
Alteryxを学んでデータ活用の基礎力アップ
Alteryxの導入前には、同社のメンバーに対してクラスメソッドのエンジニアからAlteryxの基礎知識を学ぶ初心者向けのトレーニングを提供しました。「今回は、メンバーが自らAlteryxの複雑なワークフローを構築できるレベルは目指していませんでしたが、Alteryxで何ができるかを理解することで、業務改善の技の引き出しを増やし、他の分野の業務の生産性を上げるきっかけになればと考えています。チームメンバーにはAlteryxの基礎知識は持っていて欲しかったので、開発だけではなく、ツールのトレーニングがあったのは非常によかったです」と清家さんは語ります。
クラスメソッドでは、Alteryx導入支援やワークフロー開発だけでなく、トレーニングや導入後のサポートまで広く対応しています。情報発信も積極的におこない、ITに対して知識や経験の少ないお客様でも、Alteryxを活用して業務改善が行えるように、十分なサポートとサービスを提供していきます。