AWSのマネージドサービスで実現。脱炭素社会に向けたオフィスビルと働き手の協調

株式会社日建設計

公開日:2023年9月13日
BEFORE
  • 既存建物を脱炭素に最適化するための改修には多くのコストと時間が必要
  • オフィスワーカーの行動変容で省エネルギー化を促進する仕組みを作りたい
AFTER
  • 社員の業務用スマートフォンを活用して低コストでの脱炭素への課題解決
  • オフィス在席状況を可視化して人数の多いフロアへの移動を通知、社員一人ひとりの行動変容 を促すことに成功

株式会社日建設計は建築・都市デザイン・環境に関する課題解決をミッションに、国内外で多くのプロジェクトを手がけ、環境保護、地域貢献活動といった社会貢献にも取り組む建築設計事務所です。

これまで同社は建物へのエネルギー管理システムの導入、省エネルギー設備の設置、再生可能エネルギーの利用促進など様々なCO2排出量の削減施策を行ってきました。そして、検証を重ねるなかで建物・設備ではなくオフィスワーカーにもエネルギー効率の高いワークスタイルを取り入れることの重要性にも気づきました。

エネルギー効率の高い建物とワークスタイルの変革に向けて

オフィスビルは仕事の場としてオフィスワーカーが日常的に利用する場所であり、多くのエネルギーが消費されます。脱炭素社会を実現するためには、人々がよりエネルギー効率の高い建物を利用していく必要があります。

オフィスワーカーは日々の仕事を進める中でCO2排出量を意識することはありません。そこでまずはCO2排出量の見える化を行い、排出量に対する意識を高め排出量削減を促進する取り組みを始めることにしました。

同時に建物内での排出量だけではなく、自宅から建物、建物から建物への移動などに使うCO2排出量を計算し、スマートフォンのアプリを用いて、グラフや数字などの形で表示し、どのような場面でどれだけのエネルギーを使っているのかをわかりやすく伝えることや、オフィスビル内で在席人数の少ないフロアから在席人数の多いフロアへの移動を促す通知をすることで、さらなるCO2の削減が可能になるのではという仮説と検証を行い、システムとして開発を進めることになりました。

株式会社日建設計
本プロジェクトにあたっては、日建設計の企画に基づいてスマートフォンアプリの開発、導入済みのシステムとの連携、そしてクラウドシステムの開発をクラスメソッドが担当しています。

エネルギー効率に優れたアーキテクチャの選定

日建設計は2021年10月から本格的に実現可能性の検討を始めました。まずはすでに社内に導入済みであったオフィスワーカーの位置情報システムとの連携、移動経路や出社時のCO2排出量の類推、 建物内でエネルギー効率の高いフロアへの移動を促すスマートフォンへの通知システムについて実証実験を開始しました。

開発を進める上で、CO2削減を促進するシステムが多くのエネルギーを浪費してしまわないよう、エネルギー効率に優れたシステム構成を検討。その結果、システム利用者がいない間の電力消費のない、サーバーレスを中心に構成しました。

サーバーレスではアプリケーションの実行時に、必要な分だけのリソースが利用されるため、無駄なエネルギーの消費が少なくなります。また、需要がない場合にはリソースを消費しないことから、クラウド側のエネルギー消費を最小限に抑えることができます。

開発効率を意識したプログラミング言語の選定

システム構成と並行し、同社は開発効率に優れたプログラミング言語としてクラウド側をTypeScript、モバイルアプリケーションはFlutterを採用しました。

システム開発では、モバイルアプリケーション、クラウドアプリケーション、Webアプリケーションで、それぞれ開発する言語を分けるのが一般的とされていますが、本プロジェクトではいずれもJavaScriptをベースとした言語を利用することで、一貫性のある開発、学習コストの低減、コードの再利用性の向上、デバッグの容易化を可能にしました。

ユーザーフィードバックを受けながらスピード感のある開発へ

今回のアプリケーションの名前は、Asappと命名されました。この名称には、「As app says」と、待ったなしの気候変動に対して自分たちができることからすぐに取り組んでいこうという意「ASAP(As soon as possible)」が反映されています。

株式会社日建設計
「できることからすぐに取り組んでいこうという意思」は開発スタイルにも取り入れられています。 プロジェクトメンバーだけではなく、アプリケーションを利用するオフィスワーカーの意見やフィードバックを受けながら開発を進めています。デザイン、機能、体験など様々な観点でフィードバックは寄せられます。これらのフィードバックに対して、開発優先順位付けを行い、アプリケーションに反映するため、短いイテレーションを繰り返し、要望に対しスピード感をもって対応する必要があります。

こうした開発の進め方を考慮し、今回はアジャイル開発を採用することとしました。アプリケーションの品質を維持しつつ、実際にアプリケーションを利用するオフィスワーカーから寄せられたデザインや体験、機能の要望をアップデートさせながら、素早いリリースを繰り返しながら開発を進めています。

脱炭素に向けた取り組みの未来

株式会社日建設計
現状ではモバイルアプリケーションを中心とした取り組みとなっていますが、オフィスワーカーが削減したCO2排出量に応じてポイントを付与し、オフィス内のカフェでコーヒーなどと交換できる仕組みを導入したり、社内に設置されたデジタルサイネージにCO2排出量のリアルタイム表示をしたり、オフィスワーカーへの通知や誘導する機能も開発中です。こうした取り組みを通じて環境意識が高まっていくことを期待しています。

これからもクラスメソッドはお客様とともに新しい価値の創造を目指していきます。

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