株式会社日建設計は建築・都市デザイン・環境に関する課題解決をミッションに、国内外で多くのプロジェクトを手がけ、環境保護、地域貢献活動といった社会貢献にも取り組む建築設計事務所です。
これまで同社は建物へのエネルギー管理システムの導入、省エネルギー設備の設置、再生可能エネルギーの利用促進など様々なCO2排出量の削減施策を行ってきました。そして、検証を重ねるなかで建物・設備ではなくオフィスワーカーにもエネルギー効率の高いワークスタイルを取り入れることの重要性にも気づきました。
エネルギー効率の高い建物とワークスタイルの変革に向けて
オフィスビルは仕事の場としてオフィスワーカーが日常的に利用する場所であり、多くのエネルギーが消費されます。脱炭素社会を実現するためには、人々がよりエネルギー効率の高い建物を利用していく必要があります。
オフィスワーカーは日々の仕事を進める中でCO2排出量を意識することはありません。そこでまずはCO2排出量の見える化を行い、排出量に対する意識を高め排出量削減を促進する取り組みを始めることにしました。
同時に建物内での排出量だけではなく、自宅から建物、建物から建物への移動などに使うCO2排出量を計算し、スマートフォンのアプリを用いて、グラフや数字などの形で表示し、どのような場面でどれだけのエネルギーを使っているのかをわかりやすく伝えることや、オフィスビル内で在席人数の少ないフロアから在席人数の多いフロアへの移動を促す通知をすることで、さらなるCO2の削減が可能になるのではという仮説と検証を行い、システムとして開発を進めることになりました。
エネルギー効率に優れたアーキテクチャの選定
日建設計は2021年10月から本格的に実現可能性の検討を始めました。まずはすでに社内に導入済みであったオフィスワーカーの位置情報システムとの連携、移動経路や出社時のCO2排出量の類推、 建物内でエネルギー効率の高いフロアへの移動を促すスマートフォンへの通知システムについて実証実験を開始しました。
サーバーレスではアプリケーションの実行時に、必要な分だけのリソースが利用されるため、無駄なエネルギーの消費が少なくなります。また、需要がない場合にはリソースを消費しないことから、クラウド側のエネルギー消費を最小限に抑えることができます。
開発効率を意識したプログラミング言語の選定
システム構成と並行し、同社は開発効率に優れたプログラミング言語としてクラウド側をTypeScript、モバイルアプリケーションはFlutterを採用しました。
システム開発では、モバイルアプリケーション、クラウドアプリケーション、Webアプリケーションで、それぞれ開発する言語を分けるのが一般的とされていますが、本プロジェクトではいずれもJavaScriptをベースとした言語を利用することで、一貫性のある開発、学習コストの低減、コードの再利用性の向上、デバッグの容易化を可能にしました。
ユーザーフィードバックを受けながらスピード感のある開発へ
今回のアプリケーションの名前は、Asappと命名されました。この名称には、「As app says」と、待ったなしの気候変動に対して自分たちができることからすぐに取り組んでいこうという意「ASAP(As soon as possible)」が反映されています。
こうした開発の進め方を考慮し、今回はアジャイル開発を採用することとしました。アプリケーションの品質を維持しつつ、実際にアプリケーションを利用するオフィスワーカーから寄せられたデザインや体験、機能の要望をアップデートさせながら、素早いリリースを繰り返しながら開発を進めています。
脱炭素に向けた取り組みの未来
これからもクラスメソッドはお客様とともに新しい価値の創造を目指していきます。