SBギフト株式会社は、電子ギフトサービス「ポチッとギフト」を展開しています。これは、ギフトを贈りたい人が、メールでギフト情報を送信し、ギフトを受け取った人が、そのメールを全国の有名店舗で見せるだけで実物を受け取れるというものです。
このサービスの利用によって、個人から個人へコンビニや有名飲食チェーン商品のプレゼントや、企業が個人へ販促プレゼントキャンペーン展開するといったアクションが可能です。また、それに類する配送型の電子ギフトや商品を自由に選択できる電子ギフト、モバイルクーポンシステムまで展開しています。
そんな「ポチッとギフト」のバックエンドには、AWSのサーバーレスアーキテクチャが活躍しています。クラスメソッドがSBギフト株式会社とどのように連携し、どういった貢献をしているのかをご紹介します。
スマートでなかった顧客管理業務を改善
SBギフトでは、ギフトの提供企業のことを「サプライヤー」といいます。サプライヤー自身が電子ギフトの集計や明細データを参照したり簡単な編集をしたりする機能がサービスの導入当初にはありませんでした。
利用者の情報の請求、データの不整合が起きた際の削除処理などはサプライヤーからメールで依頼を受け取り、同社のエンジニアが行っていたのです。
SBギフト システム部 次長の鈴木 麻陸さんは次のように語っています。
「例えば、電子ギフトを店舗で利用しようとしたのにシステム上の何らかの理由で使えなかった際、当該のデータをサプライヤー側では消し込むことができませんでした。サプライヤーの店舗の担当者から本部スタッフへ要請が行き、本部スタッフから私どもへメールが来てから削除する、という運用だったのです」
サプライヤーから「なぜ情報が見られないの?」と聞かれるのですが、それは機能がないからです。データとしては揃っていたものの、サプライヤーの担当者が直感的に操作できるインターフェースや、ほかのサプライヤーの情報を適切に隠す絞り込みの機能がありませんでした。
すでに稼働している領域もAWSを活用しており、システム部のスタッフも技術に慣れ親しんでいることから、サプライヤー向けの機能もAWSをベースにすることは決定、2018年3月にベンダー選定を始めることになりました。
サーバーレスアーキテクチャの情報量の多さに安心
見積もりでは、クラウド上にサーバーを置いて運用する通常のパターンと、クラスメソッドのサーバーレスアーキテクチャを活用したパターンを比較。
「日頃からAWSの技術情報をWebで検索しますけれど、その際に何かと技術情報のブログでお世話になっていたのがクラスメソッドのブログDevelopers.IOでした。見積もりを取る前にサーバーレスアーキテクチャ専門の部門が立ち上がったニュースも知っていましたし、技術情報をたくさん公開してくれていましたので、運用保守のコストが少なくなるサーバーレス構成で問題ないのではないかと思いました」
と語るのは同部の一宮翔太さん。
クラウドサービスとはいえ、サーバーを構築すると運用の工数はどうしても取られるものです。少ない人数でお客様向けのサービスを展開する際に、サーバーレスで済むのであればそのほうが作業工数を削減できます。
クラスメソッドとの打ち合わせについて鈴木さんは次のように語りました。
「ひとつひとつの技術は私たちもわかるのですけれど、それを一括で通して理解しているのがクラスメソッドです。AWSを利用したSPA(Single Page Application)をどう実装するかといった実績がなかったこともあり、そこでサポートしてもらえるのはとても助かりました」
サポート力に関してお尋ねすると
「技術ブログのおかげで、お会いする前からベンダー・担当者の実績が分かるので安心感がありますね。クラウドのサービス・技術をどれだけ知っていて現実的に利用できるスキルがあるのか、ということはベンダーにとってはとても大切なのではないかと思いました。ブログを書いてもらっていることで信頼していました」
と続けました。
懸念は払しょくされる
とはいえ、依頼する側もエンジニアだからこそ、エンジニアならではの懸念点も存在するものです。
技術がわかっているといっても、実環境の中でのイレギュラーケースがところどころに出てくるのではないか。いざ組み込んでみたら性能が出ないのではないか。そういった漠然とした心配はつきものです。
その懸念も、クラスメソッドとの打ち合わせの中でアッという間に払しょくされます。
「とにかくいろいろなことを普段から試しているなあという印象です。打ち合わせの場でどういったアーキテクチャーで組み立てればよいかという回答が出てきます。課題を持ち帰られると不安になりますが、先進技術についてもすぐ回答が得られる強さがありました」(鈴木さん)
「困ったことがあってもその場で教えてもらえることがほとんどでした」(一宮さん)
と技術力にはご満足いただけたようです。
機能のパフォーマンスについてはSBギフト側で対応。クラスメソッドにはAPIを提供し、SPAから適切に叩いてもらうという連携を取ります。
数千万レコードもあったサプライヤー向けの情報から、実際の管理に使う数百万レコードにデータを絞り込んで軽くし、パフォーマンスも十分なものに仕上がりました。
サプライヤーからは「いいじゃない」
2018年4月から開発の始まったサプライヤー向け情報管理機能は9月に完成。機能を体感したサプライヤーからも「サクサク動いてレスポンスよく、これがあれば十分です」と満足いただけました。
軽微な修正はあったものの、最初のヒアリング通りの機能を提供できている、とご満足いただき、
「サプライヤーにとって必要な機能は今後も考えています。サーバーレスの実装という、我々にとってもよい実例ができました。別の機能についてサーバーレスで行けるだろうという見込みが立つようになりました」
と今後のサービス展開についても鈴木さんは前向きに語ってくれました。
「クラウドネイティブでサービスを提供する中で大切なアーキテクチャーです」
と続け、これからの開発においてもサーバーレスの検討を優先順位の高いものとして扱っていく意向を示唆しました。
実践的な技術知識から安心を与える
課題に対するレスポンスの速さ、技術を机上のものとせず試し、それを発信する、というところから、クラスメソッドはクライアントからの信頼をいただいております。
経験のないアーキテクチャ・技術だけれども実践に投入しつつ覚えたい、というみなさまからのご依頼をお待ちしています。