マルチメディアデータの受渡しをスムーズに。容量に悩まされていたFTPサーバの改善を図る
「ザ・キング・オブ・ファイターズ」「メタルスラッグ」「餓狼伝説」といったさまざまな人気ゲームを送り出しているSNK。2019年6月にはおよそ11年ぶりとなる「サムライスピリッツ」シリーズ最新作「SAMURAI SPIRITS」をリリースし、対戦型格闘ゲームに新たな風を送り込んでいます。
音声ファイルだけでなく、近年は3Dデータ、アニメーションなど多彩なメディア要素がふんだんに使用されるゲーム制作会社は、開発の協力をしてくれる取引先企業との連携が重要です。同社でもバージョン管理システムを活用しつつ、大きなファイルサイズのデータは専用の受渡し用サーバを活用して企業間のやりとりをしていました。
あるときからそのサーバストレージ容量が枯渇しはじめ、その都度不要ファイルの削除調整で工数がかかるようになってしまいました。
クラウドを活用し臨時で容量を引き上げることはできるものの、一時的にアップロードできなくなる状況を改善するために、同社の管理本部 情報システム部 課長の松田さんはAWSへの移行を決意します。
システム移行で実現した改善点・メリットとクラスメソッドのサポートにはどのようなものがあったでしょうか。
6年利用したFTPサーバの空き容量が枯渇状態に。セキュリティ上の不安も
取引先企業と様々なマルチメディアデータをやりとりするために構築していたのがFTPサーバでした。AWSではないクラウドサービスを使用し、数テラバイトの容量を使い、同容量のバックアップ領域も一つの契約内で納まっているというものです。
取引先企業から納品物などをサーバにアップロードしていただくことが主たる運用目的ですが、導入から6年経ち、利用企業も延べ100を超えてきたこともあり、ストレージの容量が限界に近くなっていきました。「開発部門と取引先が使いやすいようにと考えていました」と語る松田さん。松田さんの入社前から利用されていたサーバーだったため、使い方はある程度固まっていたようです。
FTPに利用していたサーバがバックアップの領域もセットになっているということが、容量の枯渇では問題になりました。アップロードしたいデータがPUTできないという連絡をもらって不要ファイルを削除しても、バックアップ領域への反映が終わるまではうまく活用できないのです。
「一時的に契約容量を増やしてファイルを置いてもらい、落ち着いたところで容量を戻す運用をしていました」
と松田さんは当時を振り返ります。現場を支える情報システム部門ならではの苦労です。
同時に、外部と連携するFTPサーバだからこそ、悪意ある第三者からのアクセスには気を使います。
なんとかFTPサーバ周りの改善をしたいと考えていた松田さんですが、現場の課題はほかにもいろいろあります。少数で管理している情報システム部門ではなかなか着手できずにいました。
Developers.IOを見てマネージドSFTPサービス「AWS Transfer for SFTP」を知る
ほかの案件ですでにクラスメソッドとの取引があった同社。AWSを活用する松田さんも「毎日、始業前に欠かさずチェックしていますよ」とおっしゃるほど、クラスメソッドの技術ブログ「Developers.IO」を愛読してくださっていました。
あるときそこで見かけたのが、Amazon S3と連携したマネージドSFTPサービス「AWS Transfer for SFTP」でした。
「これならすぐ移行できるし費用削減にもなるに違いない」と直感した松田さんは見積もりを取り、上司に説明します。使用している容量分しか費用がかからないAWSを活用し、更にクラスメソッドのリセールによるコストメリットが見込めるAWS支援サービス「クラスメソッドメンバーズ」によるコストダウンで、概算で7割ほど運用費を節約でき作業負担も小さいという状況から、即、Goサインが出ました。取引実績のあるクラスメソッドへご依頼を頂けました。
「サービスやシステムの構築を依頼する企業にとって初めての技術の場合、検証環境の構築やテストについて費用の請求があるケースがあります。でも、クラスメソッドではそういった請求がありませんでした」
料金体系のわかりやすさも松田さんの信頼を勝ち取る理由になったようです。
あっという間の構築、テストフェーズに入る
あわせて、クラスメソッドは新規ユーザ登録操作を簡単に行うためのバッチファイルのサンプルと、その実行環境となるEC2もお納めし、作業環境の作成を支援しました。
2019年の発注から1ヶ月ほどで、スムーズに構築は終了しました。すぐにテストフェーズへ移行し、先行する数社に試験的に利用していただきました。
「クラスメソッドの担当者とはSkypeで1、2回ほど会議をして詳細仕様を詰め、あとはプロジェクト管理ツールのBacklogをつかって進捗確認などのやりとりをしながら進めていました」
シンプルなシステム構成でしたので、大きなトラブルもなく無事納品。リプレースにあわせてID&パスワードだけの管理から証明書ベースのアクセスへとセキュリティを強化したため、約40社の利用者のために検証や資料作りなどの各種準備を行いました。
新システムの本格稼働を前に、松田さんは
「容量が一杯になる、という事に気を遣わなくなることは情報システム部門の工数が減るのと同時に、突然ファイルがアップロードできなくなり、対応に待たされるという取引先企業のストレス軽減に役立つのがうれしいです」
と将来を予測しています。
「ゲーム会社は現場が第一です。制作に関わるひとたちができるだけ快適に、ストレスなく取り組めるように環境を整えたいと考えています」
と情シスとしての心構えを話す松田さん。縁の下の力持ちとしての役割を果たすためにご協力できたことは、クラスメソッドとしても、とてもうれしいことです。
クラスメソッドでは大阪にも事業所を構えています。効率重視の印象から打ち合わせはオンラインで行っているイメージも強いかもしれませんが、契約に際しご不安があるようでしたら、担当者がすぐに赴き直接ご説明いたします。漠然とした要求でもご相談がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。