世界TOP10パブリッシャー目指し躍進する舞台裏
大規模な開発環境拡大に、クラウド基盤で柔軟に対応

株式会社SNK

第一ソフトウェア開発事業部 スタジオ
マネージャー / プログラミング 栗野修至 様
エキスパート / プログラミング 渡辺斉 様
エキスパート / プログラミング 山田清範 様
株式会社SNK
公開日:2025年2月10日
BEFORE
  • クラウド上でのインフラ環境構築に知見のある人材が少ない
  • 事業拡大に伴い、ドメイン事業以外を担当できるエンジニアを潤沢に確保できない
  • スピード感をもった環境構築を行いたい
AFTER
  • 期待する役割分担とレスポンスの早さで、社外人材と感じさせないスピード感で支援
  • 日々変化するAWSのサービスや機能をキャッチアップした構成図を提案
  • 現在の事業フェーズ、スピード感を捉えた提案により、スムーズに環境移行

「ザ・キング・オブ・ファイターズ」「メタルスラッグ」「サムライスピリッツ」そして「餓狼伝説」──誰もが一度は聞いたことのあるタイトルを世に送り出してきた老舗ゲームパブリッシャー、SNK。2022年には「今後10年でグローバルトップ10のゲーム会社となる」を目標に掲げ、大規模な業務拡大、採用増員、そして体制改革を進めています。この業務拡大フェーズの環境構築に、クラスメソッドは技術支援として関わらせていただきました。取り組みの背景にあった課題、支援により得られた成果と今後の展望について、プロジェクトを担当された皆さまからお話を伺いました。

プロジェクト増に対応するため、開発環境の整備及びビルド環境をAWSで構築

株式会社SNK 「今SNKは『グローバルTOP10を取る』というミッションのもと、エンジニアも増え、開発プロジェクトも増え、規模拡大していくぞというタイミング。それに対応するため、プロジェクトを複数進行させるための開発環境の整備に加え、ビルド環境の再構築もしたほうがよいと思い、2024年から本格的に取り組みました」(栗野さん)

SNKのビルド環境は、長い間オンプレミスで構築していました。社内にビルド用PCを設置しており、また社内管理の都合上、ハードウェア購入の手続き等を、情報システム部を通して行うということになっていました。配置には物理的なスペースが必要であること、また機器の手配や決済等で、開発のスピード感が損なわれるという課題を抱えていました。

ゲームプログラマとして入社した山田さんは、前職でオンプレミスサーバ管理や、いくつかのクラウドを組み合わせてサービスをつくるという経験がありました。「オンプレでのビルド環境では、この先プロジェクトが増えたら大変なことになる」と数年前からアラートを上げていましたが、なかなかプロジェクトとして進まなかったそうです。

2023年10月にSNKへジョインした栗野さんは、ゲームの開発会社で20年以上勤めた経験があったため、すぐにこの課題を理解し解決に向けて取り組むことに。社内の手間を省くためにも、AWS上にビルド環境をつくるプロジェクトが2024年からスタートしました。

専門的な知見で希望を叶えてくれる技術パートナー

本プロジェクトを進めるにあたって実際に環境構築する社内エンジニアの方々は、AWS上での開発経験はあるものの、クラウド上でのインフラ構築について知見が足りていなかったと、栗野さんは振り返ります。作業の多くを担ったエンジニアの渡辺さんは、本業の担当範囲は「ゲーム制作に関わるサーバーサイドエンジニア」であり、今回手掛ける内容は専門外でした。そのような状況から、構築における技術支援は必須との認識で、パートナーを探し始めました。

株式会社SNK 「本プロジェクトを進めるためのパートナーを探すため複数社問い合わせをしたものの、希望する業務分担で合意できなかったり、また我々が思った早さでレスポンスが無かったりと、なかなか条件が噛み合いませんでした。最終的にクラスメソッドとのコミュニケーションが最もスムーズであったことが、ご依頼の決め手になったと認識しています」(渡辺さん)

クラスメソッドはSNK情報システム部門のサーバー移行支援をはじめ、アカウント管理の部門間移行等の支援も行ってきました。サーバ容量やデータベース権限の分離等、様々なハードルでご要望をすぐに実現出来ない場合は、準備段階の環境整理フェーズからご提案させていただき構築を前進させてきました。以来5年という長い期間にわたってAWS環境における様々な支援を、継続的にご依頼頂いております。

今回のビルド環境構築における要望は、AWS上に社内からのみアクセスできる空間を設け、そこで自動的にビルドできるような環境をつくりたいというものでした。クラスメソッドはこれまでの支援を通じて把握していた社内システム構成、アカウント管理状況などを踏まえ、今のSNKに最適な構成を提案し、実装フェーズでは技術者からの問い合わせも受け付ける等、包括的な技術支援をご提案しました。加えて、社外から接続できる空間も構築し、特定の外部からのみビルド環境にアクセスできるようにもしています。

相談しやすい環境と爆速レスポンスで、構築はスムーズに進行

オンプレミスからAWSへのビルド環境移行に際して、SNKとしては、全く新しいビルド環境をつくりあげるのではなく、これまで作り上げてきたビルド環境をAWS上でも同じように利用したい、という希望がありました。

株式会社SNK 「オンプレとクラウド、同じWindowsサーバーと言っても実際には挙動が異なりますので、本当にこれまでと同じことができるかと心配でした。実は、社内メンバーで一度トライアルとして手掛けたのですが、行き詰まってしまったんです。結果的には、開発環境構築に明るい栗野さんが入社してくださったこともあって、今回の構築は問題なく終わることができました」(山田さん)

クラスメソッドとのコミュニケーションについて、環境移行期には定期的なミーティング等を設けて認識共有をしつつ、運用フェーズに入ってからは随時のQA対応にて支援を行ってきました。「とにかく人手が足りなかった」と語る栗野さん。外部のプロフェッショナルの支援をどんどん頼んでいこう、というスタンスで問い合わせをしていたそうですが、「担当の方のレスポンスが、とにかく、すごく早かった」と、高くご評価頂きました。

「渡辺や山田から『ちょっとわからないところがある』と相談があったら、悩むよりすぐクラスメソッドにという感じでした。また、手順がある程度わかっていても人手が足りなくてできないときも相談に乗っていただくなど、社員と同じような感覚で気軽にコミュニケーションできたのも大変ありがたかったです」(栗野さん)

運用上の仕組みを工夫し、クラウドならではのメリットを最大化

AWS上でのビルド環境移行が完了した後は、非常にスムーズに運用できているとのこと。「AWSそのものを意識して使うのは、ここにいる我々だけ。実際にビルド作業をする社内メンバーは、オンプレミスと同じページ構成で定期的にジョブを実行したり、手動実行したりと今までと変わらない感覚でビルドを行えるため、移行に際して何の違和感もなかったと思います。社内で意識されることもなく移行できたので、逆に何もコメントがない程です」と、渡辺さんや山田さんからお話がありました。

一方、AWS環境での運用にあたって、栗野さんには「オンプレ環境に比べてコスト面が跳ね上がってしまうのではないか」という懸念がありました。そこでランニングコストを下げるため、ビルド時に電源をオンにしてからインスタンスを立ち上げ、できあがったパッケージはS3やローカルのNASに格納して電源を切る、という一連の流れを実装しました。この仕組みのため、オンプレ環境の時と大差ないコストのまま、クラウドならではのメリットを享受できているとのことです。

「僕が入社した2023年10月は社員が250人程度でしたが、たった1年半程度で200人近く増えています。また昔のSNKは、1チームで1つのラインが走っていて、1つ作ってから次を作るというサイクルでした。今は1つのチームで複数のプロジェクトが同時に走るようになっていますので、オンプレ環境のままだったら、全く間に合わない状況になっていたと思います」(栗野さん)

「今回の対応で『急にPCを増やしたい』というような要望には対応できるようになりましたので、実際にだいぶ人的コストは減ったのでは無いかと感じています。いつでも自由にPCを増やせる、というのはオンプレと比べて大きなメリットですね」(山田さん)

株式会社SNK
SNKは2024年末に、様々な部署にて利用していた膨大な数のアカウントをすべてクラスメソッドメンバーズに統合し、シングルサインオンなどの対応も進めるなど運用管理上の整理を行っています。AWS黎明期から積極的に様々な部署にてAWS導入をしてきた結果アカウント管理が非常に複雑になっていましたが、これらの対応によりAWSの利便性が一段と増したとのことです。

クラスメソッドは技術支援をはじめとした様々な開発環境サポートにより、SNKの躍進にこれからも貢献していきます。

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