ゲーム開発環境をクラウド化。ビルド時間を1/7に短縮し、開発効率が飛躍的に向上

株式会社タムソフト

開発部 企画課 リーダー兼ゲームネットワーク室 室長 湯口静夫 様
株式会社タムソフト
公開日:2023年9月19日
BEFORE
  • ゲーム開発時のビルド時間を短縮したかった
  • オンプレミス環境下でのサーバーの障害対応、設置スペースなどに課題
  • コロナ禍を契機にリモートワークに移行を検討
AFTER
  • IncrediBuild Cloudの活用でビルド時間を1/7に短縮
  • 開発環境のAWS移行を機に、全社のSVNサーバーを移行決定
  • 開発環境のクラウド化の目処が立ったことで、今後5割のリモートワークを目指す

コンピュータゲームソフトの受託開発を手がける株式会社タムソフト。ゲームソフトの開発を、サーバールームに設置したハイスペックサーバー上で行ってきました。そうした中、コロナ禍を契機にリモートワークへの移行を検討し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の採用を決めました。さらにAWS上でのビルド時間短縮に向けてビルド高速化サービス「Incredibuild(インクレディビルド)」を利用した開発環境を、クラスメソッドの技術支援を受けて構築しました。AWS上での環境構築とビルドの高速化について、開発部 企画課 リーダーの湯口さんにお話をうかがいました。

リモートワークに向けて、ほぼ100%オンプレミスのゲーム開発環境をクラウドへ

1992年設立のタムソフトは、国内外のゲームメーカーの委託を受けてさまざまなプラットフォームに対応するゲームソフトの開発を手がけています。ジャンルは多岐にわたり、株式会社マーベラスエンターテイメントの「閃乱カグラ」シリーズ、株式会社バンダイナムコエンターテインメントの「キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS」や「銀魂乱舞」など人気のゲームタイトルを数多く開発してきました。

これらのゲームソフトは、ほぼ100%オンプレミス環境で開発してきました。しかし、コロナ禍を契機としてリモートワークへの移行を考えることになり、開発環境のクラウド化を検討しはじめました。

株式会社タムソフト 「これまでは全社員がオフィスに出社していましたので、働き方改革の意味も含めて5割程度のリモートワークを目指すことにしました。最近は外部の協力会社様がリモートワークにシフトしており、その影響も大きくなっています。バージョン管理システム(SVN)を自社内で運用していると、協力会社様からのオンラインアクセスでネットワークが重くなり、集中するとパンクする恐れもあります。ネットワークを外部にオフロードする意味でも、クラウド化は理にかなっていました」(湯口さん)

サーバー機器の運用や障害対応の面でも、クラウド化は待ったなしの状況でした。同社におけるゲーム開発用サーバーの調達や設定は、プログラム課の人員が兼務で対応しているため、担当者には負荷がかかっていました。物理サーバーは障害や故障のリスクもあり、不安があったといいます。

「バックアップをとっているとはいえ、サーバーが壊れると復旧までに時間がかかります。クラウド化することで安心感を得られると考えていました」(湯口さん)

クラウド版「Incredibuild」でビルド時間短縮を目指す

2022年4月頃から開発環境のクラウド活用を検討した同社は、多くのゲームソフト会社で実績のあるAWSの採用を決定。AWSジャパンから紹介を受けたクラスメソッドとコンタクトを取り、パートナーに採用しました。

「クラスメソッドから話を聞いてみると、AWSに関する知識量が豊富で技術レベルも高いと感じました。そのため、他社と比べることなくクラスメソッド一択で決めました」(湯口さん)

開発環境の構築プロジェクトは、2022年12月からスタート。同社が最重要とした掲げた要件は、ゲーム開発中に何度も実行するビルド時間の短縮です。これに対して、クラスメソッドはビルド高速化サービス「Incredibuild」のクラウド版(IncrediBuild Cloud)を提案しました。

IncrediBuild Cloudはビルド処理をハイパフォーマンスインスタンスを使って分散させ、高速化を実現するサービスです。AWSスポットインスタンスを利用することで、より安価に使用できます。

「IncrediBuildは知っていましたが、オンプレミス環境でしか利用できないと思っていていました。クラスメソッドからクラウド版のIncrediBuild Cloudなら、AWS経由で安価に分散ビルドができることを教えてもらい、これならいけると判断しました」(湯口さん)

開発環境のサーバーに関しては、最新のGPUに対応したAmazon EC2 G4インスタンスを採用しています。

「開発途中で販売元のパブリッシャーにレビューしてもらう機会があります。その際、パブリッシャー側はノートPCなど低いスペックな場合もあります。そうした際でもゲーム動作が確認できるように、クラウド側はハイスペックなG4インスタンスを採用しました」(湯口さん)

クラスメソッドと二人三脚で開発環境を構築

開発スタート後、リモート環境下でのIncrediBuild Cloudによるビルドの高速化や、G4インスタンスでのゲーム運用などレスポンスを確認するPoCを実施。PoCの結果を受けて2023年2月より試験運用、同年4月より正式運用を開始しました。

「IncrediBuild Cloudに関しては、Agent管理機能のパラメーターの設定などで性能が変わるのがわかり、クラスメソッドと一緒にトライ&エラーで適正値を探っていきました」(湯口さん)

プロジェクトはゲームタイトルのプログラムリーダーと湯口さんの2人で担当し、クラスメソッドのSEとタッグを組んで進めました。クラスメソッドの支援に対しては、改めて技術力の高さを評価しています。

「弊社側はAWSに関する知識が深くないため、わからないことも多くありました。疑問に思ったことを聞いた際は丁寧な回答をもらい、理解が深まりました」(湯口さん)

2023年4月からの正式運用開始後も、クラスメソッドからはIncrediBuild Cloudの新機能を利用するための技術検証や、AWS上にSVNサーバーの環境を増設する際のレクチャーといった支援を受けながら、現在もゲームタイトルの開発は続いています。

オンプレミスで9時間かかっていたビルド時間を1時間半に短縮

IncrediBuild Cloudの導入により、当初から狙っていたビルドの高速化が実現しました。そのインパクトは大きく、従来のオンプレミス環境と比べて約7分の1の時間短縮につながっています。

「オンプレミス環境では、複数のコンピュータ間でビルドを分散するツールを利用しています。今回のゲームタイトルで実施してみると約9時間かかっていたものが、IncrediBuild Cloudの場合は約1時間半で終わりました。ゲーム開発の終盤ではさらにビルド時間が長くなることも多いため、時間短縮は大きなメリットです。さらに、IncrediBuildの新機能であるキャッシュ技術(Build Cache)を検証しており、さらにビルドが25分まで短縮できることを確認しています」(湯口さん)

ゲーム開発において、ビルド中はプログラムに触ることもできず、終了をひたすら待つことになります。そのため、これまではビルドを夜間に1回実行することが一般的でした。1時間半や25分で終わるIncrediBuild Cloudなら、時間帯を問わず1日に複数回実行できるようになり、ゲーム開発の生産性は飛躍的に向上します。

一方、プロジェクトのもう1つの目標としていたリモートワークの実現に関しては、今回のゲームタイトルで求められているスペックでは対応が難しいことがわかり、現在はオフィス内での開発を続けています。

「今回の開発案件では対応できませんでしたが、別のゲームタイトルの開発でトライしながら、リモートワークの比率を高めていきたいと思います」(湯口さん)

バージョン管理用SVNサーバーをAWS上に移行へ

今回のプロジェクトで実施したAWS上での開発環境の構築は、社内で高い評価を受けています。その結果として、開発の一部および将来的には全社開発プロジェクトのバージョン管理用SVNサーバーをAWS上に移行することを検討しています。IncrediBuild Cloudに関しても、他のプロジェクトでも使ってみたいという声が高まり、別タイトルでの活用を検討中です。

「クラスメソッドには現在進行中の開発案件に関する技術提供と並行して、SVNサーバーのAWS移行やIncrediBuild Cloudの横展開に関しても引き続きの支援を期待しています」(湯口さん)

オンプレミスが主流の開発環境から、クラウドの活用に向けた第一歩を踏み出したタムソフト。クラスメソッドは、今後もタムソフトのゲーム開発現場の効率化に貢献してまいります。

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