「教育で『春』を届ける。」をブランドストーリーに掲げ、一人ひとりのニーズに応える付加価値の高い教育サービスを提供している総合教育カンパニーの株式会社スプリックス。IT人材を育成するための開発拠点運営を行うなどエンジニア育成にも力を入れる同社では、在籍エンジニアのスキルアップのため、2024年6月よりAWSの自主学習のためのオンラインサービス「AWS Skill Builder」を導入。また2024年9月には課題解決型ハンズオン「AWS Jam」を初めて開催し、今後も継続的に実施していく予定です。
第1回となる同社でのAWS Jamの現場の様子をお伝えするとともに、これらのサービスの採用理由や活用について、IT戦略部の三木さん、山本さんにうかがいました。
AWSを自主学習できるAWS Skill Builderで資格取得
「森塾」「そら塾」「自立学習塾RED」といった学習塾の運営だけでなく、業界トップシェアの個別指導塾専用テキスト「フォレスタ」、プログラミングの力を育む教材サービス「QUREO」、AI技術を搭載したタブレット型教材「DOJO」、また検定事業である「TOFAS」「プロ検」などの開発・提供も行うスプリックス。同社では、学習塾運営と教育コンテンツ制作で培ったデータを基にした調査・研究や、IT人材を育成するための開発拠点運営にも力を入れています。
中でも新潟県・長岡にある「SPRIX Engineering Lab」(以下、長岡ラボ)は、教育をITで支える開発拠点であり、長岡技術科学大学や長岡工業高等専門学校の卒業生などが若手エンジニアとして20名在籍。主にAWSを使用しクラウド環境向けプロダクトを構築・運用しています。
IT戦略部では2024年6月より、さらなるエンジニアのスキルアップのためにAWSの学習サービスAWS Skill Builderを導入しました。社内で希望者を募ったところ、本社のエンジニアにくわえ長岡ラボのメンバー達からも多くの立候補がありました。導入の経緯を山本さんは振り返ります。
「それまではAWS経験が少ないメンバーも多く、知見の不足により社内の案件でAWSを使いたくても採用までたどり着けないという課題がありました。また、IT戦略部では以前から他社のオンライン学習サービスを利用してAWSを学んでいましたが、独学の勉強では技術の習得が大変だと感じます。そこでクラスメソッドからご提案いただき、AWS Skill Builderを活用することにしました」(山本さん)
AWS Skill Builderには、さまざまなオンライン学習コースが用意されており勉強が効率的に行える感じた山本さん。
「カテゴリごとに分かれた座学とハンズオンが用意されていて、体系的に知識をつけることができます。ハンズオンでは実際にコンソールを触りながら学習できるため、各サービスの基本操作が自然に習得できる点も良かったです。また、AWSの資格取得向けに最適化されたプログラムを持っており、効率的に学習することができました」(山本さん)
2024年6月中旬から2カ月ほどAWS Skill BuilderでAWSの学習を進めた山本さんは、AWS認定資格であるAWS Certified Cloud Practitioner(CLF)を取得できました。
モチベーションアップのため課題解決型ハンズオンAWS Jamを開催
次いで実施したのが、AWS Skill Builderチームサブスクリプションで利用できるAWS Jamでした。AWS Jamは、参加者がチームに分かれてAWSのユースケースに沿って用意されたさまざまなテーマの課題を解決し、AWSを楽しく学んでいくイベント形式の学習体験です。
「学習をがんばっているメンバーが学習成果を実感できる場を設けたいと考えました。またイベントを開催することで、部署内のキーマンに対しても学習の成果をアピールしたいという狙いもありました」(山本さん)
AWS Jamでスキルアップとコミュニケーション促進を両立
長岡ラボのメンバーと本社に在籍する山本さんあわせて7名が集まり、2024年9月に開催されたAWS Jam。クラスメソッドの進行のもと、3つのチームに分かれてチャレンジが行われました。
当日利用したチャレンジの一例
・AWSで構成されたシステムの可用性を高めるように設定を追加・変更する
・誤って公開されてしまった特定のWebページにアクセスさせないようにAWSの特定のサービスを設定する
・侵害されてしまったAWSアカウントを調査し、影響範囲を特定し是正を行う
・AWS上のログを分析し、攻撃者の情報を特定する
また課題のクリア時には全員で拍手が起こるなど、メンバー同士、参加者同士讃え合いながらイベントは進んでいきます。
同じ事業部ながら普段の業務では接点がないメンバー同士でチームを組んだことも功を奏し、スムーズにコミュニケーションが取れる関係性を築くことができました。
いっぽうでチーム対抗イベントとしての盛り上がりも大きく、モニタに表示される他のチームの進捗に対抗心を燃やしたり、終盤にタイムアップが迫る中クエリ実行速度が長くかかって焦ったりと、競争イベントであることが参加者の真剣な取り組みを促進していました。終了後も参加者間ではAWSの話題で会話が弾むなど、とにかく熱量の高いイベントとなりました。
体験を終えたメンバーからは以下のような声が挙がりました。
「まだ知らなかったサービスに触れるいい機会になりました。既知のサービスも、まだ知らなかった使い方を理解できたのは良かったです」
「業務で触ったことがあるサービスが課題解決の手掛かりとなり、自分の成長を感じられました」
継続的にAWS Jamを自社開催するためのノウハウを獲得
初めてのAWS Jamを終え、お二人はこう語ります。
「身に着けたスキルにスコアがついて評価されることは、受講者たちのモチベーションアップにつながったと思います。出題される課題も実際的かつ基本を押さえたもので、マネージャーの立場から体験しておいてほしかったインシデント対応もメンバーに体験してもらうことができました」(三木さん)
「実務での障害の対応となると、メンタルを削られながら対応する必要があります。精神的な負荷を感じることなく、本当に業務に現れそうなインシデント対応の経験値を積めるのがAWS Jamの強みだと思っています。また、参加者の活発な交流を目にして、今後の業務でも会話が増え、新しいイノベーションがあるのではと感じました」(山本さん)
今後は月に1回のペースでAWS Jamを開催していきたいと語る山本さん。定期的に開催するにあたり、今回のイベントはクラスメソッドが準備・進行を行いましたが、以降は同社が独力で継続していく予定です。今回のAWS Jamの開催は、そのためのノウハウを得る目的もありました。
「イベントの準備段階でクラスメソッドから出題のノウハウを教わりました。単にバランスよく選ぶだけでなく、簡単な設問を数問含め達成感を出すところ、逆に絶対解けないような難度の高い設問を入れてやりがいを出すなど、出題戦略を知ることができました」(山本さん)
出題の方法のみならず進行の安定感や臨機応変な対応など、多くのノウハウを得たという山本さん。今後は本社のベテランエンジニアと長岡ラボの若手エンジニアを交えたチャレンジや、実務に即しメンバーの一部がリモート参加するシチュエーション、より開発寄りの課題を選んだ出題など、様々なバリエーション展開を構想し、今後のエンジニアのスキルアップに役立てていくといいます。
近年、オンプレミスで構築していたサーバーをAWSに移行するプロダクトが増えているスプリックス。クラスメソッドでは運用中のプロダクトに関する技術支援だけでなく、業務に参画するメンバーのスキル育成を通して支援を続けてまいります。