3万人のアプリユーザー離脱を防ぐために
青山商事が短期間で実現した臨時コールセンターの舞台裏

青山商事株式会社

IT・システム部 インフラマネジメントグループ マネジャー 箱田昌之様
青山商事株式会社
公開日:2025年10月20日
BEFORE
  • アプリリニューアル後の再ログインによるユーザー離脱を懸念
  • 臨時コールセンター開設にあたり最善策を模索
AFTER
  • Amazon Connectを活用してコンタクトセンターを構築
  • クラスメソッドの導入パッケージで迅速かつ柔軟なサポート体制を整備
  • 設定・分析の利便性から利用拡大も視野に
青山商事株式会社 「洋服の青山」や「SUIT SQUARE」などのアパレル事業で広く知られる青山商事。同社は「洋服の青山」における会員証やEC機能を統合した「洋服の青山アプリ」を提供していましたが、2024年に大規模なリニューアルを実施しました。その際、アプリのユーザーが混乱なく操作できるように、一定期間Amazon Connectを利用して専用コールセンターを設置しました。同社のITシステム部の箱田さんに、臨時コールセンター設置の背景から導入効果まで詳しくお話を伺いました。

アプリのリニューアルで発生した“ログアウト問題”

青山商事は、同社の主力事業である「洋服の青山」の顧客向けに「洋服の青山アプリ」を提供しています。実店舗での会員証機能、取り扱う商品の検索、オンラインストアとの連携など、顧客の購買体験を支える重要なツールです。同社はこのアプリを「業界でもトップクラスの会員数を誇る」ものとして重要視しており、実店舗とECの垣根を越えた、シームレスな顧客体験を提供するために活用しています。

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しかし、2024年に今後の拡張性などのために、アプリのリニューアルを計画したところ、その開発の途中で、既存ユーザーが一度ログアウトされ、再ログインが必要になるという問題が判明しました。この影響範囲についてマーケティング部門が調査ところ、約3万人の既存会員が再ログインできずに、離脱してしまう恐れがあると判明したのです。

「このアプリによってお客様の購買意欲を刺激して、ECであったり実店舗であったり、そういったところの垣根を越えて、気軽に商品を購入するきっかけを提供している。なので、このアプリ会員を減らすということはなんとしても阻止しないといけない」(箱田さん)

同社のIT戦略の危機とも言える事態に対して、2つの対策が浮上しました。1つは店舗の接客端末に再ログイン支援機能を追加すること。もう1つが、電話での問い合わせにコールセンターで対応するというものでした。前者については概ね問題なく実現できたものの、後者については実現にあたりいくつかの課題が浮上しました。

従来手法では臨時コールセンター開設が間に合わない

アプリのログアウト問題に対処するコールセンター設置に際して、箱田さんはいくつかの選択肢を検討しました。最初に検討したのは、「電話線を引き、録音装置や電話機を準備する」という、従来からあるコールセンターの構築手法です。しかし、複数の業者に相談したところ、準備期間も運用期間も短いことから、高コストかつ無駄も多いということが判明しました。

その次に検討したのは、既存のお客様相談窓口として設置していたコールセンターを拡張するという案でしたが、通常業務の品質低下が懸念されるために断念しました。また、コールセンターそのものをアウトソースするという方法については、高額なコストと教育時間の問題で、これもフィットしないという結論になりました。

そして最終的に臨時コールセンターの開設という方向性に落ち着いたのです。

Amazon Connect選択の決め手は信頼性とスピード感

臨時コールセンターの構築にあたり、青山商事では3つのサービスを比較検討しました。既存ネットショップで使用していたクラウド電話サービス、IP電話サービスとチャットツールの連携、そしてクラスメソッドが提案したAmazon Connectです。

このなかから箱田さんが最終的に選んだのはAmazon Connectでした。その理由について、「Amazonのサービスだということの安心感」を箱田さんは第一に挙げます。そして、「発注から1カ月程で運用を開始できるスピード感」も大きな決め手になったと言います。その他にも、0120のフリーコール、東京の市外局番である03など、電話番号の選択肢が豊富なことも評価のポイントになりました。

クラスメソッドは、このプロジェクトでAmazon Connectの導入支援から運用開始までをトータルでサポートしました。導入にあたっては、Amazon Connectの環境一式を構築し提供する「スタートパッケージ for Amazon Connect」を採用いただいたことによって、短期間での導入実現と運用に必要な機能の迅速な立ち上げが可能となりました。

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クラウドサービスだから実現した迅速さと柔軟さ

コールセンターの構築にあたって、Amazon Connectによって従来では考えられないほどの迅速さと柔軟さを実現することができました。

特に箱田さんが感動したのが「コンタクトフロー」機能です。コンタクトフローとは、コールセンターにおける電話の発着信から、どのオペレーターが対応するか、保留中の着信をどういった手順で処理していくかなど、コールセンターにおけるオペレーションをGUIベースのツールを用いて定義するツールです。

箱田さんは、クラスメソッドによる操作レクチャーを受講してから、電話の振り分けルートを自ら設定しました。この振り分けルートには当初、誤りがあったものの自ら修正し、それを即時反映することができました。着信に対する音声ガイダンスの内容も、「文章を自分で考えて、それを入力すれば、すぐに合成音声による音声ガイダンスに反映される」という手軽さを実現しています。

「当初、こちらで設定を誤ったことで一部オペレーターに着信しない状態になっていました。しかしそれに気がついてコンタクトフローを修正したら、即座に反映されました。コンタクトセンターの設置のみならず、ちょっとした変更にも時間が掛かるものですが、Amazon Connectなら自分でPCから設定するだけで即座に反映される。これにはすごく感動しました」(箱田さん)

そのほかにも、ヘッドセットでのPC通話、リアルタイム文字起こし、感情分析機能など、先進的な機能も「リアルタイムでコールセンターの稼動状況を見ることができる。お客様が怒っているのか、少しご機嫌斜めなのかみたいなこともわかる」と、箱田さんを驚かせました。現時点ではこれらの機能を運用やマーケティング等には活用していませんが、将来への展望に期待を寄せています。

クラスメソッドのプロフェッショナリズムを評価

青山商事によるAmazon Connectの選定において、クラスメソッドの営業担当者の専門性も重要な要素でした。箱田さんは、自分達が手がける小売業での経験を踏まえ、「商品知識がしっかりしていて、自信を持って案内してくれる方から、買いたくなる」と、売る側のスタンスの重要性を強調。

そして、クラスメソッドによる開発支援を実際に受けてみた感想として、「皆さんすごく知識が豊富で、AWSのサービスに精通していると思いました。こちらの質問に対しても、的確な回答がすぐ返ってくる」と、支援を担当したエンジニアのプロフェッショナリズムを賞賛いただきました。

「必要なことはきちんとやるけど、不要なことには手を出さない。支援にあたっても、一定の距離を保った上で、必要なことには素早く、丁寧に対応いただいた。スコープ内、スコープ外を明確に線引きするビジネススタンスは、私自身も見習いたいと感じました」(箱田さん)

こうしたクラスメソッドの支援のあり方について、箱田さんは「自分たち(クラスメソッド)のような業者がなくなるようなことが最終目標だ、と言った主旨の発言を聞いて素晴らしいと思いました」と高く評価しています。

今回の臨時コールセンターは当初の予定通り閉局しましたが、プロジェクトの成果は社内の他部門にも影響を与えています。Amazon Connectでの実績が参考となって、既存のお客様相談室とECカスタマーサポートを統合し、システムも従来のコールセンターのものからの更新を検討していると言います。また、青山商事では内製化についても積極的に推進しており、そこでのクラスメソッドによる新たな支援についても期待を寄せていただいています。

クラスメソッドは青山商事のデジタル活用とビジネスの発展を今後もご支援していくと同時に、Amazon Connectによるコンタクトセンターの様々な形での導入と活用をさまざまな業種や企業に対してもご支援・ご提案を進めて参ります。

クラウドコンタクトセンター導入をご検討のお客様へ

クラスメソッドではAWSのAIサービスAmazon Connectを活用したクラウドコンタクトセンターの環境構築・サービス設計をご支援します。導入や運用のコストを抑えて音声テキスト変換、チャットボット活用などを駆使するコンタクトセンター構築をご検討の際にはご相談ください。

Amazon Connect導入支援
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