街を行き交う人のデータを横断的に活用
インフォマティカでデータ連携・分析基盤を整備

三菱地所株式会社

DX推進部 マネージャー 芦垣潤平 様
三菱地所株式会社
公開日:2024年3月26日
BEFORE
  • オンプレ環境のデータ連携でインフォマティカ製品を活用
  • オンプレ・クラウドを問わずデータ連携・分析基盤へのデータ統合が急務
AFTER
  • インフォマティカCDIへの移行完了
  • 業務データのシステム連携自動化で生産性向上

三菱地所は、「人を、想う力。街を、想う力。」をブランドスローガンに掲げ、街に住む人、働く人、訪れる人のための価値を追求しています。同社は約130年前に丸の内に事務所建築を竣工するなど大丸有(大手町、丸の内、有楽町)エリアを日本のビジネス街として発展させてきた歴史があります。今では全国の主要ビジネスエリアにおけるオフィス事業を主力として、住宅事業や商業施設など、街にかかわる事業を展開しています。

2021年6月には「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、人がオンライン・オフラインを自由に往来する新しいライフスタイルや街づくりの実現を目指しています。

デジタル技術を活用した利便性や安全性を形にするなかで、鍵となるのがデータです。クラスメソッドは三菱地所における、インフォマティカを活用したデータ連携・分析基盤の構築整備を担いました。クラスメソッドやインフォマティカを選定した狙いについて、同社 DX推進部 マネージャー 芦垣潤平さんにお伺いしました。

より多種多様なデータを連携できるようインフォマティカを採用

三菱地所は近年、データを活用する取り組みが進んでいます。例えば共通認証ID「Machi Pass」や顔認証サービス「Machi Pass FACE」では、シングルサインオンとして共通のIDを利用し、横断的にサービスを利用できます。あらゆるところで街と人に関わるデータを集め、ビジネスに活かしています。

「ビジネスのニーズを抽出し、そのための人員や体制を整えた時にすぐにデータ活用に取り組めるよう、データ連携・分析基盤を整えておく必要がありました」(芦垣さん)

データ連携・分析基盤は既存の情報システム群をはじめ、多種多様なデータソースからデータを収集できる必要があります。当時の三菱地所では、いくつかの情報システムがAWSにあり、データ連携・分析基盤におけるDWHをGoogle BigQueryで構築してありました。また、EAI/ETLはインフォマティカ社の次世代データマネジメント基盤IDMC(Intelligent Data Management Cloud)のCDI(Cloud Data Integration)の採用を決定していました。

CDIを選んだ理由は利便性や拡張性です。以下のような利点が挙げられます。

・SaaSやパブリッククラウドとの親和性が高いマルチクラウド型である
・ETL処理でコネクタが豊富で新規開発を抑えられる
・豊富な機能によりIDMCプラットフォームをハブとした疎結合なアーキテクチャの実現が可能である

もちろん、クラウドサービスなので常に最新機能が利用できます。

「もともとオンプレでインフォマティカのデータ統合ツール「PowerCenter」を利用していました。したがってインフォマティカ製品を採用すれば、オンプレのシステム群のクラウド移行も進めやすいという狙いがありました」(芦垣さん)

クラスメソッドに期待した例外的状況における実行力

クラスメソッドをパートナーに選んだ理由は思慮深いものでした。

「今回の要件では、インフォマティカが最初の選択肢になります。しかしそれ以外の選択肢、例えばAWSの利用等が合理的となるケースも起こりえます。クラスメソッドなら、そうした場合でも対応してもらえると考えました」(芦垣さん)

つまり、平時の効率性と例外時の対応能力を両立させるための選択でした。

通常のデータ連携のための運用や管理は、三菱地所内で実施します。コーディング力不要で、ローコードで容易にデータ連携ができるサービスとしてCDIを選択しました。

とはいえ、より複雑で難易度が高いデータ連携の要件が生じる可能性もあります。例えば処理能力や柔軟性を求めてAWSとの複雑な連携を必要とするようなケースです。CDIを駆使すれば可能だとしても、他に最適な手法があるかもしれません。

「クラスメソッドなら、プロジェクトがどう進んでも対応してくれる」と、芦垣さんはクラスメソッドのクラウド領域における幅広い知見と高い開発力を評価し、例外的状況においても最適な選択肢を提案できると期待しました。

データ連携業務の生産性が向上 データのハブとしてビジネス貢献

今回整備した環境では、既存システムがあるAmazon EC2インスタンスにインフォマティカと接続するSecure Agentをインストールし、データ連携の管理はインフォマティカのクラウド環境で行います。データカタログやDWHに必要なデータはAWSからGoogle Cloud(BigQueryなど)へと送られるようになっています。

「BigQueryは機能豊富です。個人情報の検知も優秀ですし、機械学習のためのMLOpsがしやすい点でも評価しています。ただ、個別のワークロードやニーズではAWS Redshiftを使うケースもあります」(芦垣さん)

なおデータ連携の規模は年々増えており、2023年初時点のジョブ件数は約200~300件、2024年末には500~600件まで増えると芦垣さんは見立てています。

インフォマティカのCDI(IDMC CDI)でデータ連携・収集基盤を整備した結果、「社内データ連携業務の生産性が向上しました」と芦垣さんは評価しています。一例として、データを基幹システムから吸い出した上で加工していた業務は、データ連携・分析基盤を通じてBIツールへ展開するなど自動化されています。社外においても冒頭に挙げたような居住者、就業者、来街者など様々なライフスタイルの方々のデータを横断的に活用することで、潜在的ニーズの発見と新たなサービス開発に結びつける体制を整えました。

データ連携・分析基盤を整えるのに加え、全社員がデータを使いこなすための取り組みも予定されています。同社では約1万人の全社員を対象に、2023年以降データ分析の教育プログラムを実施する計画です。データ分析手法を学ぶ講座を必修とし、優秀な人材にはマーケティングに活かせるデジタル技術など、さらに高度な講座も提供します。経験だけではなくデータを活用した提案を実現し、効率的な営業へと転換していく狙いです。

「今回整備したデータ連携・分析基盤はあらゆるデータのハブとして、新しい事業や既存ビジネスの収益向上に貢献してもらいたいですね。同時にこれまで時間がかかるなど業務が滞っていたところで、効率化によるコスト削減も実現したいです。収益アップとコストダウンの両面で事業に貢献できたらと考えています」(芦垣さん)

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