イベント受付システムをオンプレミスからAWSに移行。「セキュアアカウント発行サービス」でセキュリティを強化

株式会社プロアクティブ

MICEソリューション事業部 SE課 森麻衣子 様、安藤康徳 様、屋宜誠 様
株式会社プロアクティブ
公開日:2023年6月15日
BEFORE
  • オンプレミス環境のシステムはたびたびトラブルが発生
  • 自社にAWSのノウハウがなく、環境構築や運用を外部ベンダーに依存
  • 顧客情報を扱うシステムのため、セキュリティ強化が必須
AFTER
  • クライアント向けシステムの運用トラブルの低減、運用負荷の軽減
  • AWSのサービスや、移行に関するノウハウの獲得
  • 「セキュアアカウント発行サービス」によるセキュリティレベルの向上

セミナーや学会など各種イベントの開催時に必要となる来場者管理などのシステム開発から、イベントや事務局の運営代行まで幅広い支援を行う株式会社プロアクティブ。取引先は自治体から社団法人、各種学会、大手企業まで多岐にわたります。同社はこれまでクライアント企業に対して、イベント受付システムをプライベートクラウドサービス上で提供していました。しかし同クラウドサービスの停止にともない、サーバー環境の移行とシステムのリプレースを迫られました。

新たなITインフラとしてAWSを採用した同社は、移行の支援パートナーにクラスメソッドを採用。クラスメソッドの「AWS総合支援サービス(クラスメソッドメンバーズ)」を活用し、クライアント企業が求める複雑なネットワーク・セキュリティ要件に対応しながら、プライベートクラウドサービスの停止期限までに移行を終えました。同時にクラスメソッドのセキュリティガイドラインに沿った「セキュアアカウント発行サービス」を導入し、セキュリティの強化を図っています。

プロジェクトについて、同社MICEソリューション事業部SE課の森さん、安藤さん、屋宜さんにお話を伺いました。

特殊なネットワーク要件への対応が求められるプロジェクト

プロアクティブは、2001年設立のMICE(マイス)事業者です。MICEとはMeeting(会議など)・Incentive(報奨旅行)・Convention(学会など)・Event/Exhibition(展示会)の4つの頭文字を合わせた造語で、経済効果への波及やイノベーションの観点から高い注目を集めているビジネス分野です。同社は「人が集う」あらゆるシーンにおいてコンサルティング&ソリューションを提供し、MICEに携わるすべての人々とMICE業界全体に価値を提供しています。

「近年、多くのMICE事業者が登場しています。そうした中で当社は、MICEシステムの受託開発からソフトの開発、企画運営、事務局代行など幅広くサポートしています」

今回のAWS移行プロジェクトは、宿泊・交通手配用の受付システムが稼働しているプライベートクラウドの一部サービス廃止に起因します。それと同時にサーバーOSやデータベースのサポート期限が迫っており、最新版へのアップデートも必要でした。

そこで同社はクラウドサービスであるAWSへの移行を決断しました。とはいえ同社では、AWSを採用している実績が一部あるものの、基本的にAWSについては外部ベンダーへ委託していました。さらに今回はクライアントの要望により、すでに稼働しているWAF(Web Application Firewall)を経由して配信することや、バッチ処理用にクライアント環境とVPNで接続するという要件もありました。

これらの要件実現に向けて、既存パートナーを含めて複数のベンダーに提案を依頼した中、最終的にクラスメソッドを採用しました。クラスメソッドを選定した理由について、安藤さんは次のように語ります。

株式会社プロアクティブ

「今回はじめての取引ですが、クライアント企業から技術力が高いと聞いていました。実際にプリセールスは最初の打ち合わせから具体的なアーキテクチャ構成を交えて、詳細な説明をしてくれました。AWSに関して深い知識がない私たちの質問に対しても、丁寧かつ平易な言葉で回答してくれて、高いスキルを持っていることがわかりました」

サービス廃止期限が迫る中、短納期でAWSへ移行

プロジェクトは2022年6月にスタートし、同年9月までにAWS環境構築に目処がたちました。その後クライアント企業との最終調整を経てプライベートクラウドからAWSへの移行と本番切り替えを開始しています。約3カ月間で要件にあった環境を構築し、2023年1月に移行が完了しました。

「苦労したのはプライベートクラウド環境のサーバー廃止と、OSとデータベースのバージョンアップでした。また、既存のWAF環境を利用するという要件への対応も大変でした。既存のWAF環境はクライアント企業の担当領域でしたが、クラスメソッドと先方のIT担当者とで直接連絡を取ってもらい、スムーズに進めることができました」

システムのアーキテクチャとしては、専用線接続サービスのAWS Direct Connectによる構成を採用。Amazon VPCから仮想プライベートゲートウェイ(VGW)を介して、既存のWAF環境とAWS Direct Connectで接続し、クライアントのバッチ処理環境とはVPNで接続しています。

さらに今回、新規で発行したAWSアカウントに対して、セキュリティ対策としてクラスメソッドが2022年より提供を開始した「セキュアアカウント発行サービス」を採用。同サービスを活用してセキュリティ向けの各種設定値の最適化や、Amazon GuardDuty、AWS Security Hubなどのセキュリティ機能の有効化・最適化などを実施しました。

プロジェクトを振り返って安藤さんは、クラスメソッドの技術力と説明力の高さを改めて評価しています。

「クラスメソッドのベストプラクティスを活用する形で、プロジェクトを進めていきました。当社側で行ったアプリケーションの修正についても一部をクラスメソッドに相談したのですが、対象外にも関わらずさまざまな提案をもらえました。その結果として、大きな変更を加えることなく対応できました」

システムの安定運用が実現し、管理者の運用負荷や運用コストを低減

ITインフラのAWS移行により、クライアントのイベント受付サービスを安定して運用できるようになりました。サーバーのスペックアップや最適化により、システム全体のパフォーマンスも向上しています。

「従来のプライベートクラウド環境ではネットワークの問題などでトラブルが多く、毎日のようにアラートがあがっていました。移行後はそれらがなくなり、私たちの運用負荷を大幅に低減できています」

セキュリティ面においてもクライアントによるプラットフォーム診断に初回で合格し、クライアントが定めるセキュリティ基準を満たしていることが確認できました。コスト面でも若干の削減効果がみられています。

さらにプロジェクトを通して部署内でAWSのノウハウが蓄積され、技術の底上げが実現しています。

「今後、別案件でもクライアントとの接続で既存のWAFを活用するケースが発生するはずです。その際には、今回の経験やノウハウを活かして取り組んでいきます」

継続的にノウハウを蓄積しながら、AWSの活用を拡大

現在同社が運用するシステムはクライアント向けに限らず、多くがオンプレミス環境で稼働しています。今後はハードウェアやOSなどの更新を機に、クラウドサービスへの移行が増えていくと予測されます。そのためにも継続的にノウハウを蓄積しながら、AWSの活用を拡大していく方針です。同社がSaaSとして提供しているクラウド型パッケージシステムについても、運用基盤のクラウド移行を検討しています。それによって、より可用性が高くスケールしやすいサービスを提供できると考えています。

「クラウド移行を加速するためには、内製開発の人材育成が不可欠です。クラスメソッドには人材の育成支援も含めて、さらなる提案を期待しています」

クラスメソッドはクラウド活用に本格的に舵を切るプロアクティブに対し、今後もノウハウ提供を通じて貢献していきます。

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