テレワーク環境を緊急構築。
WorkSpacesによる仮想デスクトップ環境

株式会社NTTドコモ

情報システム部IT最適化推進担当
中村真一郎 様
株式会社NTTドコモ
公開日:2020年7月06日
BEFORE
  • 緊急事態宣言により急きょ出社制限。早急なテレワーク環境の整備が必要に
  • 先行き不透明な状況につき大人数&柔軟なスケジュールの利用を想定
  • VPN活用は繋ぎこみや追加検証がネックになり困難
AFTER
  • 正式発注から10日で大規模テレワーク環境を構築
  • Amazon WorkSpacesでMicrosoft Officeをはじめ快適な動作を実現
  • 内製でのアカウント登録&VDI作成が可能な環境を提供

携帯電話サービスをはじめとするモバイル通信事業や、コンテンツ配信・決済サービスを提供するスマートライフ事業を柱に、日本の情報通信を支えるNTTドコモ。2020年3月には第5世代移動通信システムである5Gサービスも開始し、日常生活においてもエンターテインメントや自動運転への応用など未来が見えてきつつあります。

ところが、東京オリンピックを控えて5Gによるスポーツ観戦など新技術の本格的なビジネス活用が期待された矢先に、全世界を新型コロナウイルス感染症が襲いました。
2019年末に中国で初の症例が見つかった感染症は瞬く間に蔓延し、日本でも2020年4月7日に7都府県で緊急事態宣言が発令されたのを皮切りに、全国で緊急事態宣言と外出自粛が要請されることとなりました。これを受けて多くの企業でも出社を制限し、テレワークが必要となりました。

NTTドコモもその例に漏れませんでした。緊急事態宣言が発令された当初に設定された期限は5月6日まで。4月下旬の時点では日々新たな感染者が報告されており、予定通りの解除の見通しは立たない状態でした。

いつまで続くか分からない出社制限の中、大人数のテレワークを支えられる仮想デスクトップ環境を早急に整えなければならなくなった同社情報システム部は、その環境構築をスケーラビリティに富むAmazon WorkSpacesで行うことにしました。
この緊急対応的に必要となった仮想デスクトップ環境構築について、クラスメソッドが支援させていただきました。

ご担当された株式会社 NTTドコモ 情報システム部 IT最適化推進担当の中村真一郎様に当時の様子や意志決定、クラスメソッドとの取り組みをうかがいました。

臨時のテレワーク環境構築に即応提案

コロナ禍による出社制限・在宅勤務強化の状況においても、情報システム部員がテレワークで社内業務を行えるよう、VDI環境を新たに構築しなければならなくなりました。

感染拡大のピークが過ぎれば徐々に出社制限も解かれることが予想される状況では、短期間で構築できて利用期間に融通が利き、利用人数の増減に対応しやすい仕組みが必要でした。

東京都で外出自粛要請が出た3月下旬に、中村さんは近い将来のビジネススタイルが大きく変わることも予想して、それに適したシステムを探し始めていました。その際に取引先企業から紹介されたのが、AmazonのVDIサービス「Amazon WorkSpaces」と、クラスメソッドだったそうです。

他のベンダーやクラウドシステムも候補に挙がりましたが、

「クラスメソッドについてはAWSのプレミアコンサルティングパートナーであることや、技術ブログ「Developers.IO」による技術力の信頼がありました。加えて、当社のニーズを理解して的確かつ迅速に対応していただけることが選定の決め手となりました」(中村さん)とご選択いただきました。

同社では、VPNを活用して社内システムへ繋ぎ込む構成も検討しましたが、社内システム側の対応やインフラの検証も必要となるため、利用開始が遅れてしまうことが明らかでした。

中村さんは早期の利用開始を優先して、要求仕様に盛り込む機能は大胆に絞り込むことにしたそうです。その意図を汲み取り、必要最小限の機能を短納期で構築する提案をしたクラスメソッドが選ばれたのです。

株式会社NTTドコモ

短期間の構築を効率よく進めるノウハウ・技術力

依頼を受けてからわずか2週間、4月末の納期を目指してプロジェクトは進行しました。中村さんご自身も、クラスメソッドのエンジニアもテレワークが続く中で、オンラインミーティングとタスク管理ツール「Backlog」を活用したプロジェクト管理が行われたそうです。最初に意識あわせのミーティングと要件の確認をしたのちは、Backlogを活用したタスク管理、情報管理が行われました。

「プロジェクトの進行では誰がボールを持っているかわからないということがありがちですけれど、今回は誰がボールを持っているか明確でスピード感がありました。」(中村さん)

必要な要素を絞り込んだ結果、仮想デスクトップにセットアップしておくアプリケーションを限定し、仮想デスクトップを束ねるActiveDirectory(AD)の構築とドメインベースでWebアクセスを制御するためのCloudflare Gatewayの導入、およびそれらの設定に作業を限定しました。

また、ADへのアカウント登録やVDIの作成は、クラスメソッドから作業を引き継いだNTTドコモの情報システム担当者がコマンドラインベースで簡単に行えることを意識しました。本プロジェクトで最初に構築目標としたテレワーク環境は数十人規模でしたが、将来的に数千人までスケールする可能性も視野においていたためです。

短期間のプロジェクト成功には、仕様の明確化と、必要となる作業や情報の正確な見通し、関係者間での情報共有が必要です。
本案件では、中村さんにて構築を優先すべき機能がご依頼の段階で明確になっており、構築に入ってからの判断や情報共有も円滑に進みました。

クラスメソッドには、AWSクラウド技術はもちろん、Amazon WorkSpacesによるテレワーク環境の設計・構築実績があります。このノウハウを活かして、早々に想定作業を洗い出すことができました。技術的な知識・ノウハウは、高度な設計や機能活用が必要となるシーンだけでなく、プロジェクトの効率良い遂行にも顕れます。
今回はプロジェクト開始直後に将来のタスクを一通り把握し、情報収集や他社への申請など時間がかかるタスクを早々に済ませることで、最短で構築に取り組める工夫をし、無駄のない作業実施が可能となりました。

また、技術がわかるメンバーが打ち合わせの場に同席することも重要な要素です。中村さんからは

「『持ち帰って検討します』『次回のミーティングで回答します』という答えがなく、とてもスピーディーに進めてくれました。」

とお褒めのお言葉を頂いています。

最初に打診を頂いてから3週間ほど、正式発注をいただいてからは約10日という短い期間で、無事に納品することができました。

安定したパフォーマンスと運用のしやすさ

スケジュールを第一優先とした今回のプロジェクト。社内システムの繋ぎ込みを要件から外すなど機能をシンプルに絞り込み、構築も二者の協力でスムーズに行えたこともあり、VDIとCloudflare、ADは安定稼働しています。

初期導入以降のVDI環境については、クラスメソッドで作成したスクリプトをご活用いただき、必要に応じて増やしていただいています。
5月中旬時点では同時接続数を約300件まで増やしていますが、特に問題は起きていないと言います。

「環境の払い出しが早いのに驚きました。ADアカウント作成と仮想デスクトップ作成についてコマンドラインで操作できるよう準備いただいたことで、楽に運用できています。」(中村さん)

また、システムのパフォーマンスも問題ありませんでした。
業務に欠かせないMicrosoft Officeを快適に使うために、WorkSpacesのパフォーマンスプラスというバンドルを選択。

「既存のVDIと比べても動作速度に遜色ありません。VDIは逼迫してくると動作が重くなりましたが、WorkSpacesのこのバンドルを使うことで充分な快適さを得られました。」(中村さん)

Cloudflare Gatewayでは、クラウドメールサービスなどの業務上使用してはいけないWebサイトへのアクセスを制限しました。

実績あるシステムを使えることは利用者にも管理部門にも安心感を与えます。同社のセキュリティ部門の審査でも問題なく、バックヤード部門としての責任を果たせています。

先の見えない状況こそ柔軟性の高いクラウドが生きる

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言は2020年5月下旬に解除されましたが、特効薬やワクチンが実用化されるまでは「Withコロナ」として、日頃の生活に注意を払っていくことになるでしょう。根絶しない以上は上手に付き合っていくしかありません。

既存のVDI環境を重要視しているNTTドコモでも今回の取り組みを経験することで

「テレワークを大規模に実現させなければならないときに、どうすれば良いかが分かりました。既存のVDIを活用しなければいけませんが、それが逼迫した時の対応に目星がつきました。」

と、この取り組みが大きな経験値となっているようです。

今回WorkSpacesで構築した環境は一時対応のためのものと割り切り、外出制限が解かれた際には利用を終了することも考えているという中村さん。新型コロナウイルス感染症に関して、今後も第二波、第三波が来る可能性も念頭においていますが、今回の経験を経てAWSクラウドを利用することで、即時にテレワーク環境を構築・拡張できることを実感いただいたようです。

顧客のニーズ、優先事項に即した提案・構築

クラスメソッドではお客様が必要とされている条件、機能に対して柔軟に対応することが可能な技術力とノウハウを多数のAWS導入支援の実績を経て蓄積してきています。

企業にとって未曾有の危機となった新型コロナウイルス感染症。約2週間という稀にみる短納期での構築作業となりましたが、豊富な導入支援経験があるからこそ、機能面でも運用面でもご納得いただける支援ができました。
クラスメソッドはこれからも技術力の研鑽を続け、お客様にとって最適な提案とクラウド導入支援を行ってまいります。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

AWSコンサルティングパートナーアワード受賞のクラスメソッドは、お客様のAWS活用を様々な形でサポートします。AWS利用料を割引提供する請求代行から構築運用、クラウド移行などの技術支援までお客様のご要望に沿ったサービスをご提案します。

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