「白い恋人」の製造販売をIT内製化で安定的に
BCP対策としてクラウド利用を決断

石屋製菓株式会社

経営管理部 部長 柳澤和宏 様
経営管理部 情報システム室 主任 平野光一郎 様
石屋製菓株式会社
公開日:2021年5月11日
BEFORE
  • 事業継続性(BCP)のため、クラウドへ移行したい
  • 既存システムのソフトウェアはオンプレミス用のため、クラウド向けの開発が必要
AFTER
  • AWS上でソフトウェアが動作するか、事前検証を提案・実施
  • ソフトウェア動作要件を満たす環境をAWS上に構築
  • 本格的な運用に向けて最適な環境となるよう調整

北海道銘菓「白い恋人」で知られる石屋製菓株式会社は、1947年の創業以来、北海道の製菓会社として多くの人々に愛される商品展開を行ってきました。

コロナ禍により、観光における「お土産」需要が激減してしまった2020年、石屋製菓はオンラインでの特別販売にいち早く取り組み、賞味期限が近くなった商品を詰め合わせて期間限定商品「白い恋人で北海道にエール!BOX」として5月に発売。サーバーダウンするほどの好評を博し、わずか1日で完売しました。その後もユーザーの要望に応えられるシステムを再構築し、引き続き食品ロス削減に積極的に取り組む姿勢が話題になっています。

石屋製菓では、2018年から基幹システムのインフラについて、オンプレミスからクラウドへの移行する取り組みを続けています。その移行協力パートナーとして、クラスメソッドがプロジェクトに参画。以来、石屋製菓のシステムを、約2年という長い期間にわたり技術支援しています。同社の生産管理も担う計画管理部部長である柳澤様と、システム全般を担当されている平野様に、石屋製菓が感じていた当時の課題から今後の展望まで、詳しくお話をうかがいました。

石屋製菓株式会社

クラウド移行の決め手は「調達の容易さ」と「北海道胆振東部地震」

2018年、石屋製菓では基幹システムのインフラについて、オンプレミスにするかクラウドサーバにするかの検討が始まりました。折しも2018年は、政府機関の情報システム構築において、クラウドサービスの利用を優先する方針が示された時期です。クラウドを選ぶことが「普通」になりつつある世情と、変化に応じた調達のしやすさを考慮して、AWSを選ぶ方向で検討は進められたと言います。そこで、決定打となる事件が9月に起きました。

「実はちょうどこのシステム基盤を検討している時期、9月6日に『北海道胆振東部地震』が起こったんです。地震対策そのものはしていましたから、通常営業の範囲では問題が出ませんでした。ただ、一部の施設では電源が止まったり、基幹システムにも多少の影響がありました。『今回の地震よりも大規模な事態になった時に、オンプレミスで大丈夫なのか』と考えた時、事業継続性(BCP)の観点からクラウドに移行した方がいいだろうと当時のシステム部門が判断し、AWSで進めることに決まりました」(平野さん)

石屋製菓株式会社
BCP対策としてのAWSクラウド利用の決定は揺るぎないものでした。
しかし、基幹システムに使用しているパッケージソフトはオンプレミス用のもの。ソフトウェアベンダーにはクラウドでの構築を断られながらも、AWSへの移行の可能性を感じた同社では、実現できるベンダーを自分たちで探すことになりました。

「私は元々フロントエンドエンジニアで、特にパッケージソフトの開発・保守・運用に携わってきました。AWSはこのプロジェクトに参画してから触り始めたので、当時は全くゼロからのスタートでした。もちろん、弊社としてもクラウドサービスの導入は初めて。さらにアプリベンダーもAWSの経験がないという状態で、支援していただけるベンダーさんの存在は不可欠でした」(平野さん)

幅広いバックエンドの知見と、内製化・自走に向けたアドバイス

「AWSの構築支援ができるベンダーを探す中で、クラスメソッドの技術ブログ『DevelopersIO』の内容を見て、ご連絡させていただきました。移行プロジェクトが本格的に開始する前からクラスメソッドさんにはアプリベンダーとの間に入っていただき、AWS上でアプリが本当に動くかどうかの検証提案をもらうなど、大変ご尽力いただきました。これらの検証を経て、2019年の7月頃、ようやく正式にAWSを基盤として採用すると決まりました」(平野さん)

クラスメソッドは本プロジェクトにおいて、サーバー構築、ネットワーク基盤の構築を担当しました。
本プロジェクトの要件は、パッケージソフトのインフラをオンプレミスからクラウドにリフトすることであり、その点ではとても明確です。しかし、アプリのシステム要件を満たしながら、運用にも優れた環境を作るには、AWSをはじめとするバックエンドの幅広い知見と、詳細な確認・調整が必要でした。
例えば、バックアップファイルサーバについて、構築前の想定よりも、実際には利用頻度が低いと判明したことがあったそうです。実際の運用状況を観察し、さらにどのように運用していきたいのかといった希望を一つ一つ確認しながら、ベストな運用になるよう提案を行いました。
ただ要求された仕様をインフラ環境に実現するだけでなく、アプリベンダーと石屋製菓の間に立ち、システムをストレスなく構築できるように、また運用できるように調整を重ねました。

「クラスメソッドさんとの2年にわたるお付き合いの中で、最も時間をかけていただいているのは『自走支援』かもしれません。例えば今回、マイグレーションするベンダーさんから弊社AWSに、開発環境用のVPN接続をする必要がありました。そこで私がSoftEther VPNを立ててみたものの、うまく繋がらず…。クラスメソッドさんに相談したところ、オンラインミーティングで話しながら問題の切り分けを手伝っていただき、無事解決することができました。ここはもう、AWSは全く関係なかったと思うんですが、とてもありがたかったです」(平野さん)

平野さんは本プロジェクトをきっかけにAWSの勉強をスタート。AWSの認定資格も取得されました。
当初、クラスメソッドに構築を依頼する予定だった仮想デスクトップ(VDI)「Amazon WorkSpaces」は、技術ブログ『DevelopersIO』にあった構築方法を紹介する記事をご紹介したところ、あっという間にご自身で実現されてしまい、クラスメソッド担当者が驚いたこともありました。ユーザー企業が自らITスキルを蓄積・強化していく「内製化」の支援に力を入れているクラスメソッドにとって、大変嬉しいご連絡となりました。

デジタル化・仕組み化で、安定した質の製造と運営を

石屋製菓では、社内情報システムでのデジタル化・仕組み化への取り組みはもちろん、製造業として、生産工程についてもデジタルの仕組みを積極的に導入することで、社員の負担を無くし、質を一定に保つ努力を続けています。

「今年に入り、各工程で毎分行われている検査で逸脱した結果が出た場合には、課長にメールがプッシュ送信されるという仕組みが導入されました。“報告”というのは抜け漏れが発生しやすい部分ですが、システムで自動的することにより、社員が気を使わなければならないことも減ります。

今回導入する基幹システムでは、生産計画を自動で組むシステムを作り込む予定です。条件さえインプットしてやれば、変に頭を使わなくても、誰でも同じアウトプットが出てくるような作りになっています。このようなツールの導入をしていくことで、安定的な製造業を目指していきたいですね」(柳澤さん)

石屋製菓株式会社
まだマイグレーションのプロジェクトは終わっていないものの、インフラ部分は去年のうちに完了しており、現在はアプリケーション部分の開発が着々と進んでいます。また、コーポレートWebサイトをAWS環境に移行するプロジェクトが同時に進められており、クラスメソッドは継続して現場支援を行っています。

「クラスメソッドさんには、企業としてクラウドサービスを扱う“お作法”についてアドバイスいただくことができ、大変安心してプロジェクトを進めることができています。
AWSに限らないフラットな提案をもらえることも、すごくありがたいです。ある機能についてAWSへの移行を相談したところ、オンプレミスのままの方が適切だとアドバイスをもらったことがあります。今のシステム構成や運用を理解いただいているからこその、最適な提案でした。AWS以外の知見も含めて、クラスメソッドさんから幅広いサポートをいただけると期待していますので、またご相談したいと思っています」(平野さん)

コロナ禍が続き、観光産業に大きな打撃が出ている2021年春の状況をふまえ、石屋製菓社内からは「オンライン販売やモバイルオーダーなど、ITを活用した販売の強化をしたい」という声があがっているそうです。同社のデジタル化、オンライン化への取り組みは熱を増しています。
AWSを利用したEC運営やモバイルオーダー構築はもちろんのこと、石屋製菓のIT部門の内製化に向けた“自走”によりそい、クラスメソッドはこれからも技術力で貢献してまいります。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

AWSコンサルティングパートナーアワード受賞のクラスメソッドは、お客様のAWS活用を様々な形でサポートします。AWS利用料を割引提供する請求代行から構築運用、クラウド移行などの技術支援までお客様のご要望に沿ったサービスをご提案します。

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