東北地方のDX人材育成にAWS技術支援を通じて貢献

国立大学法人東北大学

大学院情報科学研究科 小池敦 特任准教授
国立大学法人東北大学
公開日:2024年4月11日
BEFORE
  • DXインフルエンサ養成講座の開講にあたりAWSの設定等で不明点が多くあった
  • 講座期間中にベンダーに気軽に相談できる環境が欲しかった
AFTER
  • 講座を行う際に必要だったAWSの申請や設定など不備なく全て行えた
  • 定例会とタスク管理ツールを併用することで、都度発生するAWSの不明点を即座に相談できた

東北大学は、2023年11月から企業のデジタル化を加速する「DXインフルエンサ養成講座」を社会人向けに開講しています。本講座では、自らがインフルエンサーとなって企業DXを進められる人材の育成を目的としています。

クラウドに関する授業はすべてAWS環境で行われるということで、講座開講にあたりクラスメソッドに技術支援をご依頼いただきました。今回はDXインフルエンサの講座内容、支援を打診した理由とその成果、今後どのような人材を育成したいのかを東北大学の小池准教授に話を伺いました。

文科省事業に採択される「DXインフルエンサ養成講座」

東北大学では2023年11月から、社会人向けリカレント教育「DXインフルエンサ養成講座」を開講しています。講座内容はサイバーセキュリティ、クラウド、AIMDを3本柱として、e-ラーニングでDXの専門知識を学ぶ「Stage 1」、演習ベースで進める「Stage 2」、「Stage 3」と難易度別に3コースが用意されています。本講座はDXに関わる基礎知識の習得はもちろん、原理や流れをきちんと理解できる実践的な内容になっているのが特長です。受講生はIT関係だけでなく、教育関係者や観光業、製造業などさまざまな業種・業態から集まっているとのことです。

今回の講座を開講した背景について、小池先生は以下のように説明します。

国立大学法人東北大学 「東北地方は、中小企業を中心にDXがあまり進んでいないという現状がありました。その一方で、東北大学は地域と連携しながらアカデミックな活動を行うことを大事にしています。そこで地域におけるデジタル化の課題を解決できないか、と考え開講したのがDXインフルエンサ養成講座です。実践に近いカリキュラムを組んでおり、『競い合い、教え合い』がコンセプト。グループごとに課題をこなしていく中で、時には教え合い、時には競い合いながらスキルを学べるような環境を提供しています。最終的には、企業のDXを自らインフルエンサーとなって推し進めてくれる人材の育成を目指しています」

なお、東北大学の「DXインフルエンサ養成講座」は、文部科学省の「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」に採択されており、国からも期待されている事業となっています。

大人数でのAWS環境使用に対する不安を解消

東北大学ではすでにAWSのクラウド環境が活用されていました。そうした実績もあり、今回の講座についてもAWSで行うことになったのですが、「大人数での活用に不安があった」と小池先生は振り返ります。

「AWS環境は日常的に活用していましたが、あくまで個人としてです。今回はオンライン授業や対面で大人数の方が使用しますので、セキュリティの問題や設定などが円滑に講義を進行する上で不安でした。そこで、技術的なアドバイスをもらいながら進めたいと考え、ベンダーからAWSに関する技術支援を受けることにしました」

最終的にクラスメソッドと契約することになりましたが、クラスメソッドの印象について小池先生はDevelopersIOの存在を挙げてくれています。

「調べものなどでよくDevelopersIOの記事を参考にさせてもらっていました。そうした経験から、クラスメソッドの技術力が確かだということと、AWSに強みをもっていることを知っていたので、安心して依頼できると思いました」(小池先生)

定例会とタスク管理ツールの併用で、疑問点を即座に解消

今回の技術支援に関しては、週1回の定例会とタスク管理ツールを用いて行いました。基本的には、講義や実習素材の作成作業中に不明点があれば小池先生がタスクに内容を書き込み、それに対しクラスメソッドの技術支援メンバーが回答する形で進行しました。

「AWS Identity and Access Management(IAM)を受講生分作る必要があったのですが、自動で作成する手順が分かりませんでした。そうした疑問に対しても、最初から最後までの手順について画像を踏まえながら丁寧に説明してもらえ非常に助かりました」(小池先生)

また、AWSには機能ごとにサービスクォータという上限値をデフォルトで設けています。今回は多くの受講生が一度にサービスを活用するため、上限を引き上げる緩和申請を行う必要があります。

「クォータ引き上げを申請する必要があることは知らなかったので、指摘してもらって本当に良かったです。機械学習を行う際はAmazon SageMaker ノートブックを1人ずつ使う関係で、数個しか使えなかった上限を80まで引き上げました」(小池先生)

また、タスク管理ツールを活用することで、いつでも疑問点を当社メンバーと共有できます。このあたりも「安心感につながった」と小池先生は話します。

「エラーがあっても、タスク管理ツールにその内容を書き込めば、すぐに解決方法を返してくれるので、安心感を非常に感じました。また、定例会で毎週相談できる点も良かったです。日々の細々した疑問点についてはメッセージのやり取りで解決、定例会では今後やりたい授業内容を相談して必要な設定方法などを聞く、といった形で使い分けていました」(小池先生)

講座を進める中で、AWS環境を活用するメリットについて聞いたところ、小池先生は以下のようにコメントしてくれました。

「Amazon S3は、AI教育を行う上で非常に相性が良いと感じました。機械学習を行う際は、データの扱い方が重要です。そうしたデータ移動などをプログラムで簡単に書けますし、コマンドでも使えるので非常に使い勝手が良かったです」

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東北各地でDXを推進できる人材の育成を目指す

ここで授業内容について、一部ご紹介します。AI機械学習に関する授業では、きのこ・たけのこの模型を使って画像解析に関する演習を行ったといいます。その授業では、まずNVIDIA Jetsonとカメラを繋ぎ、2種類を撮影しました。その後、Amazon SageMakerノートブックで、その元画像から機械学習を行い、画像解析モデルを構築。最後は、作ったモデルを活用して、きのこ、たけのこのどちらかをリアルタイムで判別できるかチェックしました。

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「撮影、機械学習、実践を一貫して行うことで、AI開発の全体像・仕組みを理解してもらいたいという意図があります。そうすれば、卒業生が企業に戻り、AI画像分析による商品の不良判定などの取り組みへの応用が期待できます。また、仕組みが分かっているからこそ、問題が生じた時に対処できるでしょう」(小池先生)

この演習を受けた受講生の中には、すでに高校生向けに同じ授業を行った方もいます。このように、卒業生がDX推進に関する取り組みを「東北各地で行っていくことを願っている」と小池先生はいいます。

「AIを導入するにしても、仕組みを分かっている人材がいなければ上手く活用できず、業務効率化につなげることは難しいと思います。今回の講座で実践的なことを学び、“なんとなく”ではなく、“原理・仕組み”をしっかりと理解したDXインフルエンサ人材を育てたいと考えています」(小池先生)

東北大学は、3月5日にハイブリッド開催された「大学等を活用したリカレント教育EXPO 2024」に出展し、本講座の取り組みについて紹介しました。講座については次年度も続けていく考えで、さらに東北地方のDXを進めていきます。

最後に、小池先生はクラスメソッドの技術支援について、以下のように語ります。

「今回の技術支援を振り返ると、クラスメソッドの進め方はとてもやりやすいと感じました。私のように教育・研究現場でAWS活用に困っている方は大勢いると思うので、こうした支援が広まればいいなと素直に感じます。

また、料金面の自由度が高かったのも良かったです。プロジェクトを進めていく中で、新しくやりたいことや分からないことが出てくるので、そうした時に支援内容がきっちり固まっていると気軽に聞けません。そうした点でも、今回の支援内容は満足しています」

クラスメソッドはこれからも、東北大学のDX人材育成を支援していきます。

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