1934年に「山野美容講習所」を開設し、日本における本格的な美容教育をスタートさせた学校法人山野学苑。髪・顔・装い・精神美・健康美の五大原則を「美道」として追求し、これまで約21万人の美容師を輩出してきました。
山野学苑では、山野美容専門学校をはじめ、山野美容芸術短期大学、山野日本語学校を運営しています。このたび、各学校の教職員が使用するファイルサーバにて空きディスク容量がひっ迫したことを受けて、クラスメソッドがAWS環境の構築とサーバ移行を支援しました。この取り組みについて、同校システムマネジメント課の高山さんにお話を伺いました。
“ひとり情シス”として学内のインフラを支える
高山さんはいわゆる“ひとり情シス”として、学内のネットワーク管理やシステム運用などの業務を担当しています。サーバ群は約15年前にオンプレミス(データセンター)で構築されており、ファイルサーバは高山さんが入社した2021年の時点で、既に容量がひっ迫していました。トータルで約300人の教職員がファイルサーバを使用しており、美容業界という特性から、画像や動画データの保存も多かったといいます。

また、既存サーバはベンダーとの間に保守契約が締結されており、ファイルの復元といった簡単な作業でも、保守サービスのチケットを消費して、ベンダーに作業依頼をせねばなりませんでした。「依頼から完了まで数日かかることもあり、もどかしい思いをしていました」と高山さんは話します。
そうしたなか、サーバOSのサポート終了が迫ってきたことから、高山さんはクラウド環境への移行を検討しました。
「調べるなかでAWSに興味が湧き、AWSに問い合わせ、何社か企業を紹介してもらいました。そのひとつがクラスメソッドです。ファイルサーバに加え、学務システム『CampusPlan』の移行にも実績があること、Webサイトに大手企業の事例が多数掲載されていること、そして営業の方の物腰が柔らかいことも決め手になりました。今後長い付き合いになる可能性もあるので、相談のしやすさも重視したのです」
ファイルサーバとディレクトリサービスをAWSへ移行
オンプレミス(データセンター)環境では、Active DirectoryとファイルサーバがWindows環境で構築されていました。クラスメソッドでは、AWSにおいてもWindows環境を踏襲し、AWS Managed Microsoft AD とAmazon FSx for Windows File Serverによる構成を提案しました。
当初は、既存のドメインやディレクトリ構成をそのままAWS環境に移す形で、移行方式を検討していました。しかし長期にわたり運用された既存サーバは、担当者の引き継ぎが不十分なことからブラックボックス化しており、現状把握は困難と見込まれました。そこで、既存の構成をそのまま移行するのではなく、Active Directoryドメインを新規構築することにし、別途データ移行を図る形でプロジェクトは進められました。
「クラスメソッドとは週1回の定例会議を設け、進捗状況を共有していました。しかしプロジェクト途中に、諸般の事情でオンプレ側のネットワークを担当するベンダーが交代することになったのです。その間も、クラスメソッドには作業を進めてもらい、新たなネットワークベンダーと技術的な会話をしてもらえて大変助かりました」
そしてサーバ内のデータ移行に関しても臨機応変に対応。当初AWS・オンプレミス環境間をVPN接続してデータセンターとは直接データをやり取りする予定でしたが、VPN接続後に回線速度の課題が生じたため新たな回線の手配とVPNの再構築を行いました。各環境のデータのやり取りについても中継方法を工夫するなど、制約や実用面などを考慮しながら最適な方法を選択しています。

AWS環境への移行により作業効率化と保守費削減に貢献
こうして、2025年1月からはAWS環境でファイルサーバが稼働。クラスメソッドではAWS環境でのサーバ操作について、高山さんへのレクチャーも行いました。「新たに共有フォルダを作る」「バックアップからファイルをリストアする」など、直近で想定される操作について画面を共有しながらレクチャーし、簡易マニュアルの提供も行いました。
本プロジェクトは2025年3月に終了。4月の新学期以降も安定して稼働を続けています。ファイルサーバーに関する問い合わせが減った以外、「特に学内からの反応はない」と高山さんは話します。
「インフラに関して『反応がない』ということは、特に問題なく使われているということです。なにより、私が一番楽になりました。自分でサーバの運用ができるようになったので、作業効率が大幅に改善しましたし、保守費用の削減にもつながりました」
クラスメソッドの対応について、高山さんは「対応の早さ」を評価しています。
「定例会議以外ではBacklogでコミュニケーションを取っていましたが、質問に対して迅速にレスポンスをいただけるので驚きました。おかげで移行作業にも安心して臨めましたね。作業自体は大変でしたが、『何かあったら助けてもらえる』と思えると、心が少し軽くなりました」
AWS環境を新たな可能性を生み出すベースに
ファイルサーバとあわせ、クラスメソッドではWebサイトやCampusPlanなどについてもAWS環境への移行を支援しました。今回の移行をきっかけに、高山さんはクラスメソッド主催の「AWS 初級者向けハンズオンセミナー」に参加するなど、AWS関連の勉強に積極的に取り組んでいます。
「さらなるセキュリティ強化や、教職員間のコミュニケーションツール導入、FAQサイトの構築、授業内でのAI活用など、これから取り組みたいことがたくさんあります。AWSという基盤を作れたことで、安心して新しい一歩を踏み出せます」
サーバ移行により、さらなるデジタル化のスタート地点に立った山野学苑。クラスメソッドでは、豊富なAWS実績から最適な活用シーンを提案し、引き続き山野学苑の取り組みを支援してまいります。