プラス株式会社における流通系カンパニーである、プラス株式会社ジョインテックスカンパニー。文具・事務用品をはじめ、生活用品、防災用品、オフィス家具など幅広い商品を取り扱うオフィス用品の通販事業を展開しています。企業・官公庁・学校・保育施設・介護施設など、業界ごとに特化したサービスを展開している点が特徴です。
同社は登録ユーザーや、パートナーである販売店からの問い合わせを受け付けるコールセンターにAmazonConnectを採用しており、クラスメソッドの技術支援のもと、通話内容の自動文字起こしと要約の自動生成を実現しました。
機能実装に至る経緯や、今後のAI活用の展望などについて、CRM部 部長 杉山さん、課長 浅井さん、ITアクセラレーター部 副部長 宮武さんにお話をうかがいました。
コールセンター業務の属人化が課題
プラス株式会社ジョインテックスカンパニーのコールセンターには、企業の購買担当者や販売店などから日々多くの問合せが寄せられます。その内容は商品仕様や納期、配送時間の問合せや、Webフォームの操作内容などさまざまです。CRM部に所属する約20名のオペレーターが1日600本強の問合せに対応し、受発注処理や見積作成などを担当する約20名のバックエンド側のスタッフと連携しながら業務を進めています。
通話終了後、オペレーターは問合せの内容を記録します。その際、オペレーターによる情報量のバラつきが課題となっていました。「問合せ内容の記録は自由記入になっているため、必要な項目をどの程度詳細に書くかはオペレーターの技量に任せていました。
その結果、記録に時間がかかる人がいたり、情報量が人によって異なるためバックエンド側のスタッフに対応を引き継いだ際に情報不足が生じたり、といった課題がありました。」(浅井さん)
同社のコールセンターは2019年6月にAmazon Connectを採用しました。導入の際、ベンダーからは「Amazon Connect Contact Lensで通話の文字起こしが可能」という説明を受けたといいます。
「文字起こしには興味がありましたので、実際にいくつかの回線でテストをしてみたのですが、当時は精度に満足できませんでした。その後、別のコールセンター向けパッケージ製品を導入しての文字起こしも検討しましたが、要望に対してオーバースペックでコストもかさむものが多く、導入は現実的ではありませんでした」(杉山さん)
クラスメソッドとの会話で漠然とした要望が形に
同社ではインフラ基盤にAWSを採用しており、ITアクセラレーター部の宮武さんは以前よりクラスメソッドと情報交換を行っていました。
「数か月に1回のペースで定例会議を重ねるなかで、あるときクラスメソッドの営業担当からAmazon Connectの話題が出たんです。『うちでも使ってますよ』という入口から、最近の新機能や導入事例などに話が発展し、改めてCRM部を含めたヒアリングを行うことにしました」(宮武さん)2025年春、CRM部ではクラスメソッドからAmazon Connectに関するヒアリングを複数回実施しました。ヒアリングの場では、Amazon Connectでどんなことができるのか、ざっくばらんに聞くことができたといいます。
「私たちはAIについては素人なこともあり、当初は『〇〇をやりたい』といった明確な要望があったわけではありませんでした。営業担当の方に疑問に答えてもらったり、機能を紹介してもらったりするなかで、徐々にやりたいことが形になってきた感覚がありましたね。話しているうちにどんどんアイデアがわいてくるようなヒアリングでした。」(宮武さん)
「クラスメソッド側と直接会話したことで、既に導入済みであるAmazon Connectの延長線上で文字起こしと要約が実現可能であると知りました。新たにパッケージなどを導入することなく、低コストでAI活用を試せることが決め手となり、クラスメソッドに実装をお願いすることにしました」(杉山さん)
要約機能を1か月で実装、現場でのブラッシュアップ
こうして2025年10月より、通話内容の文字起こしと要約の実装が行われました。クラスメソッドが方式検討や設定方法のレクチャーなどを担当し、宮武さんが実際に同社のAWS環境に実装する形でプロジェクトは進められました。Amazon Connectには要約機能が存在しないため、AWS内の他のサービス(Amazon Bedrock)と組み合わせることで要約を実現しました。
「最初に実装した方法では、文字起こしをして要約が完了するまで15分もかかっていましたが、クラスメソッドに文字起こしの精度やAIのモデルを調整してもらうことで、通話終了後にリアルタイムで要約を出力が可能になりました。また、AWSの混雑により文字起こしがタイムアウトする問題が発生したときも、Amazon Bedrockへのリクエスト先を日本国内リージョン限定からグローバルに変更することを提案してもらい、無事解決することができました」(宮武さん)
実装は1か月ほどで完了し、その後は通話内容を記録するためのプロンプトの調整が続きました。
寄せられる問合せの内容は多岐に渡るため、オペレーターが手動で選択するコールリーズンは大分類だけで約20種類ありました。当初はひとつのプロンプトですべての分類に対応させていましたが、望んでいる要約にならない問い合せもあり、試行錯誤の結果、プロンプトの種類を増やして運用することにしたといいます。
「要約には通話内容を300字から400字にまとめたうえで、商品コードなどの定型項目も別途記録が必要です。ベースとなるプロンプトはクラスメソッド側に作ってもらい、それを元にこちらの環境で実際に試しながら、ブラッシュアップしていきました。細かい部分ですと、商品コード6桁に不要な空白やハイフンが入らないような調整をしていますね。お客様は長い桁の数字を区切って発音するので、自動文字起こしの際に空白などが入ることがあるんです。このように、実際にやってみないとわからないことが想像以上に多くありましたが、クラスメソッドのサポートで一つ一つ解決することができました。」(宮武さん)
文字起こしと要約でコールセンター業務の平準化を実現
プロンプトの調整後、2025年12月には実際にコールセンターで自動文字起こしと要約機能の運用が始まりました。当初はAIが通話内容を要約することに抵抗感を示していたオペレーターたちも、運用開始後は「びっくりするほど喜んでいる」「大いに活用している」と浅井さんは話します。
「要約機能が入ったことで、オペレーターがお客様との会話に集中できるようになりました。通話終了後の処理時間も短くなり、全員の稼働時間のうち毎日6時間ほど短縮された計算になります。今ではもう、なくてはならない機能ですね」(浅井さん)
「オペレーターから業務を引き継ぐバックエンド側も、情報量が平準化されたことで、その後の対応が楽になったと聞いています。たとえば急ぎの問合せの場合、オペレーターによっては『〇日まで希望』とだけしか記載されておらず、温度感が分からないことがあったのです。自動要約で『どういう理由で急いでいるか』等の背景情報まで含まれるようになったことで、各方面との調整がスムーズに進むようになりました」(杉山さん)また、社員から「社内の電話回線も文字起こしと要約の対象にしてほしい」という要望を受け、適用範囲を拡大したといいます。
「CRM部には、全国の支社からも問合せの電話がかかってきます。外部からの問い合わせ以上に複雑な内容が多く、通話時間も長くなりがちなんですね。文字起こしと要約ができたことで、通話内容の振り返りがしやすくなったと喜ばれています」(杉山さん)
クラスメソッドの技術支援で広がるAI活用の可能性
一連のクラスメソッドの技術支援について、同社はレスポンスの速さや技術力の高さ、伴走支援による体制を評価しています。
「クラスメソッドとは定例会議の場を2週間に1回設けたほか、技術的な問合せにも個別に対応してもらいました。担当者のレスポンスが速く、レクチャーもWeb会議を通じてリアルタイムにしていただけので、大変助かりましたね」(宮武さん)
「請負契約等で完全に実装を任せるのではなく、技術支援という形で、都度コミュニケーションを図りながら実装できたのもよかったですね。『もう少しこうしたい』という細かな要望にスピーディーに対応していただけましたし、実装後のトラブルにも適宜対処していただきました。Amazon Connectについての理解も深まり、当社にとって最適な支援体制だったと思います」(杉山さん)
今後は、引き続き自動要約の機能をブラッシュアップしつつ、さらなるAI活用を進めたいとCRM部のお二人は話します。
「CRM部では『お客様の声を聴く会』を毎月開催しています。経営層から部門担当者までが集まり、実際に録音されたお客様の声に耳を傾けるのです。こうしたお客様の声を重視する文化が根付いているからこそ、今回得られた文字起こしや要約も今後はただ蓄積するだけでなく、何らかのデータとして分析できないかと考えています」(杉山さん)
「複数の担当者が個別に問い合わせを受けているため、『今日は商品Aの不具合が増えている』といった全体のリアルタイムの動向は意外に把握しにくいものです。今後はそういった直近の変化を教えてくれるようなAIができたらありがたいですね」(浅井さん)
CRM部ではAI活用の推進に向けて段階的なロードマップを作成しており、通話内容の文字起こしや要約は、その第一段階として位置づけられています。
「今回、文字起こしと要約が実現できたことで、AI活用の可能性が広がった印象があります。今後はチャット問い合わせにも要約機能を盛り込むなど、既に導入した機能を活用する形で、AI活用を点ではなく線で考えていければと思います。その際は、ぜひご支援いただければと思います」(杉山さん)
新たな可能性を見据え、常に前へ進み続けるプラス株式会社ジョインテックスカンパニー。クラスメソッドは、引き続き同社のAI活用に伴走してまいります。


