変革し続ける自動車業界において、SUBARUグループは「笑顔をつくる会社」を掲げ、「モノづくり革新」と「価値づくり」に力を入れています。その実現に向け、データ活用はSUBARUブランドとお客様との結びつきを強化するのに欠かせません。
同社では、データ活用によって解決したい課題として、主に品質を向上させる取り組みや法規への対応、顧客接点の理解を挙げています。しかし、これまではシステム・データがサイロ化して分断するなど、全社横断的なデータ活用には課題がありました。その課題解決に向けたデータ分析業務に従事するなかで、データ統括活用推進部 主査 市川健太郎さんはデータの整備状態に課題を感じ、データ活用にはVIN(Vehicle Identification Number:車両識別番号)、品番、顧客IDを骨格として統合的にデータ同士を紐付けたデータ統合基盤が必要だと考えました。
データ統合基盤を全社横断的なプロセス改革の基盤に
「データは正しくコントロールしないと正しい扱い方や結果が出ませんので、データ標準やデータ品質、セキュリティの信頼性管理がとても重要です。SUBARUではデータマネジメント知識体系 DMBOK IIをベースに、基本方針や下位規定を整備・ルール化を進めました」(市川さん)
ETLとカタログの連携を重視してインフォマティカを選定
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「AWS活用を視野に入れていたので、AWSの技術力や知見、ノウハウではトップランナーであるクラスメソッドは外せないと考えました」(市川さん)
データ管理ツールの選定基準として、データ統合基盤が価値あるものとなって全社的に使われるようにするために、データ加工(ETL)とデータカタログがシームレスに繋がる点を重視しました。2019年当時は、ETLとデータカタログが連携できる製品として、インフォマティカが最も有力な選択肢でした。
ただし、当時のクラスメソッドではインフォマティカの実績がありませんでした。議論を重ねた結果、AWSでインフォマティカによるデータ統合基盤の構築を決断しました。市川さんは当時を振り返り、こう語ります。
「最終的にクラスメソッドに『インフォマティカで一緒にやりましょう!』と力強く言ってもらえた時はとてもうれしかったです」(市川さん)
データ統合基盤プロジェクトを開始したのは2020年6月。両社で緊密に連絡をとりながら準備を進め、2020年10月に先行運用開始に至りました。データ統合基盤のアーキテクチャは、三層構造になっています。
・第一階層:データストア 生データをそのまま蓄積・保持
・第二階層:データウェアハウス データの正規化やデータクレンジングしてデータを整理
・第三階層:データマート 利用目的別に加工や集計
これら三階層のデータベースとBIの間でインフォマティカのETLツール「Intelligent Data Management Cloud(IDMC)」、データを探索・理解するためにインフォマティカのデータカタログ「EDC(Enterprise Data Catalog)」を利用しています。
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「私たち事業会社は、最新技術動向を追うのに専念するのは難しいです。クラスメソッドから情報やサポートを得ることで適切な技術選択や実践が可能になり、業務課題解決や方向性の検討に注力できる体制が実現できています」
経営環境の変化を受けてさらなるデータ集約へ
2024年11月時点では、データ統合基盤Amazon Redshiftで使用するテーブル数が550以上と、そのデータ規模はどんどん拡大しています。また、課題の一つとして掲げていた品質向上の取り組みについても、データ統合基盤の効果が出てきていると言います。
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同社は次のフェーズとして、柔軟性と拡張性を持った世界最先端のモノづくりや、Software Defined Vehicleをはじめとする新たな価値づくりなど、データ統合基盤を軸に新たな価値創造を見すえています。
クラスメソッドは、今後もSUBARUのデータ基盤活用を支援してまいります。