AWSの設計レビューから内製化まで
クラウド開発の知見を社内に残す伴走支援

JR西日本ITソリューションズ

ITビジネスソリューション部 マネージャー 関藤正宏 様(右から4番目)
ITビジネスソリューション部 インフラ基盤スペシャリスト 長谷川陽之 様(右から3番目)
ITビジネスソリューション部 ミドルインフラエンジニア 草富遼 様(左から3番目)
ITビジネスソリューション部 インフラエンジニア飯村ひかり 様(右端)
ITビジネスソリューション部 インフラエンジニア米田陽南大 様(右から2番目)
JR西日本ITソリューションズ
公開日:2026年9月16日
BEFORE
  • 部署として初のAWS本格活用に挑むも、設計の判断基準が内部にない状況
  • クラウド開発の適切な設計の勘所を判断するだけの知見を社内に持ちたかった
  • IaCやCI/CDは未経験だったためレビューに対して実感がわきにくい状態
AFTER
  • ベストプラクティスに則ったレビューのもと、裏付けのある設計で本番リリースを実現
  • CI/CDやIaCのハンズオン研修により、クラウドインフラの知見を得て運用スキルも向上
  • 教材と演習環境が社内に残り、研修に参加していない後任も後から習得可能に

株式会社JR西日本ITソリューションズ(以下、J-WITSと表記)は、鉄道関連システムやサービスの企画・計画、開発、保守・運用からコンサルティングまでを行なっているJR西日本グループの一員です。

同社において、特に鉄道の利用者向けサービスの開発・運用を担っているITビジネスソリューション部では、あるシステムをオンプレミスからAWSへ移行するプロジェクトに取り組むことになりました。

同部にとって初の本格的なAWS活用となるため、設計の妥当性を確かめるためにクラスメソッドの支援を求めました。そこから始まったJ-WITSとクラスメソッドの関わりは、設計レビューからクラウド開発のトレーニングへと広がっていきました。

J-WITSがクラスメソッドになぜ伴走を依頼し、それによって何が残ったのか。ITビジネスソリューション部の関藤さん、長谷川さん、草富さん、飯村さん、米田さんにお話をうかがいました。

クラウドの知見なく「これで本当に良いのか」と拭えぬ疑問

始まりは、鉄道関連の情報を利用者に届けるシステムにおいて、基盤を担う機器が更新時期を迎えたことでした。

長らく稼働してきたこのオンプレミスの基盤を、更新にあたってどう作り替えるか--社内で検討が進む中、JR西日本グループが掲げるシステムのモダナイゼーションの方針と重なり、パブリッククラウド、AWSへの移行が定まります。

ただし、ITビジネスソリューション部にとって、AWSでの本格的なインフラ構築は、これが初めてでした。構築そのものは、複数のベンダーとともに進めます。

JR西日本ITソリューションズ

初挑戦ゆえの難しさは、設計工程から直面しました。

ベンダーから上がってきたインフラの設計書に目を通した関藤さんたちは、判断に迷いました。この設計で本当に問題ないのか--それを見極めるには、AWSに対する知見が足りません。何をもって「正しい」とするのか、その基準を自分たちだけで持つことができませんでした。

「気になる箇所があるのは、私たちにもわかります。では、どう直すのが適切なのか。その判断までは、これまで培ってきたオンプレの知識だけでは踏み込めませんでした」(関藤さん)

第三者の目によって設計の正否を裏付ける

自分たちの判断を裏付けるものを、社外に求める。その一歩を踏み出すことに、関藤さんは最初ためらいがありました。

「本来、開発を委託しているベンダーに要望を伝えれば済む話です。そこへ別途、外部の専門家を立てて設計を確認してもらうべきか。判断に迷う部分はありました」(関藤さん)

それでも、初めてのAWSでの開発に確信を持てない以上、専門家の視点を取り入れる意味は大きい。熟慮の末、関藤さんは外部に相談する方針を固めます。

JR西日本ITソリューションズ 次の問題は、どこに頼むかです。設計をレビューできる会社は、いくつもあります。ただし、普段からシステム開発を任せている会社では、今回の構築を担うベンダーと直接競合するため、あまり好ましくありません。

普段の取引関係にはないこと、既存のベンダーと競合しないこと、そのうえでAWSを深く知っていること、といった条件を並べていくと、候補は自然と絞られていきました。関藤さんが知るなかで、すべてを満たしたのはクラスメソッドでした。

AWSの活用が決まった当初、情報収集のために参加した「AWS Summit Japan」にて、クラスメソッドのブースを訪問しており、そこで設計レビューを依頼できることを確認していました。

クラスメソッドへ打診を行い、2024年8月に提案書が届きます。

「これであれば問題ないと思える内容でした」(関藤さん)

こうして、クラスメソッドによる設計レビューの支援が動き出しました。

素早いだけでなく、根拠に基づき腑に落ちる回答

長谷川さんがまず評価したのは、返答の速さでした。

「質問を投げると、数日で返ってくる。しかも、丁寧なドキュメントで回答が届くんです。気になったことをすぐ聞いて、すぐ返ってくる。その積み重ねが、とても心強く感じました」(長谷川さん)

その速さと共に印象的だったのが、回答の中身です。クラスメソッドは、単に設計の良し悪しだけではなく、なぜそうすべきなのかという背景情報まで添えて回答していました。当時、AWSの知識に不安のあった草富さんにとって、この説明は理解の助けになったといいます。

JR西日本ITソリューションズ 「AWSの知識が十分でなかった私にも、背景から説明していただけました。原因も、影響も、なぜその選択になるのかも、すべて腑に落ちたのです」(草富さん)

こうした回答は、明確な基準のもとでなされたものでした。クラスメソッドでは、AWSが公開する設計のベストプラクティス「AWS Well-Architected Framework」に照らして、設計レビューを行っています。AWS Well-Architected Frameworkは、運用上の優秀性やセキュリティ、信頼性など6つの柱を定め、それらの観点から優れた設計のあり方を示す指針です。

クラスメソッドによるレビューの指摘は、AWS Well-Architected Frameworkのどの観点に該当するのか、公式に示された根拠とともに伝えられました。指摘の量が多くても、観点が整理されていれば、受け取る側は優先順位を付けて対処できます。

こうした指摘に基づいて、J-WITSでは何を採り入れ、どう設計へ反映するか、最終的な判断を下していきました。

開催して終わりではなく、社内に成果が残り続ける研修

設計レビューが一段落する頃、新たなテーマが持ち上がりました。CI/CDとIaCです。

CI/CDは、アプリケーションの開発から運用へのリリースを迅速かつ高品質に行う取り組みで、その一要素として改修を自動でテストし反映する仕組みがあります。そしてこれらの取り組みを支える基盤となるのが、インフラ構成をコードとして管理するIaC(Infrastructure as Code)です。開発や運用の環境を自動的に再現でき、クラウド開発には欠かせない技術です。

JR西日本ITソリューションズ 今回のプロジェクトにおいてもCI/CDとIaCは必須ですが、いずれも扱った経験がないものでした。初めて触れる概念のため、クラスメソッドからのレビューを受けても、実感がわきにくい。

「CI/CDとIaCを実際に体験する機会がほしい。そう考えて、クラスメソッドにハンズオン形式のトレーニングをお願いしました」(長谷川さん)

内容は、Terraform、GitHub Actions、CloudFormationという、CI/CDやIaCに関わる3つの技術です。クラスメソッドがJ-WITSに合わせて、カリキュラムを一から設計し、計9回にわたって実施しました。

手を動かして学んだ実感は、参加した一人ひとりに残りました。

「ちょうどCI/CDのレビューを進めていた時期でした。ハンズオンを通じてコードの具体的な書き方が理解でき、実際のレビューにも生かすことができました」(長谷川さん)

「自分で手を動かす形式だったので、理解が進むのも早かったように思います」(草富さん)

「クラウドに触れるのがほぼ初めての私でも、手順に沿って進められました。何が起きているのかを追いながら学べた点は、印象に残っています」(飯村さん)

JR西日本ITソリューションズ このトレーニングで使われた教材と演習環境は、その後もJ-WITS社内で活用されました。後から一人で読み返しても学べるほど、丁寧に作り込まれていたため、トレーニングに未参加の社員も後から学ぶことができたのです。

研修の後に配属された米田さんも、その恩恵を受けています。

「私自身は研修に参加していません。ただ、資料と環境が残っていたため、先輩に教わりながら後から習得できました」(米田さん)

一度のトレーニングが教材として社内に残ることで、継続的な学びを支えている。関藤さんは、予想外の成果だったと振り返ります。

「教育をお願いして、その成果が社内に残る。そこまでは想定していませんでした。いまも活用できる形で残していただけたのは、非常にありがたいですね。チームの成長を実感しています」(関藤さん)

学びは、着実に実を結んでいます。現在、CloudFormationの一部は、自分たちの手で記述し、運用できるようになりました。

ひとつの支援で終わらず、次の展開へとつながっていく

クラスメソッドによる支援から始まった関わりは、生成AIという新たなテーマへとつながりました。

ITビジネスソリューション部では、全社的なAI活用を推進するために、有識者を招いた勉強会を重ねていました。その企画と運営の一部を担っていたのが、米田さんです。

「様々なベンダーの方にご登壇いただくなかで、クラスメソッドにもお願いしました。私たちは日々AWSを扱っているからこそ、AIの概要紹介だけではなく、 AWSにおける実際の活用に踏み込んだ話を聞ける場にしたいと考えたのです」(米田さん)

JR西日本ITソリューションズ その求めに応え、クラスメソッドでは、AWS上で実際に手を動かして試せる機能を具体的に紹介する、実践的な内容としました。

飯村さんは、その具体性が印象に残ったと話します。

「具体的な事例まで踏み込んだ内容でしたので、自分たちの業務で何ができるのかを、思い描きながら聞くことができました」(飯村さん)

長谷川さんは、紹介された機能の1つを翌日に試したときの手応えを語ります。

「コードを書かずにAIエージェントを作成できる『Amazon Bedrock AgentCore Managed Harness』を、実際に自分でも試してみました。これほど手軽に扱えるものかと、驚かされました」(長谷川さん)

設計と教育から始まったクラスメソッドとの関わりは、1つのプロジェクトにとどまらず、生成AIへとテーマを変えながら続いていきました。

困った時に、まず相談できる

一連の支援を通じて、JR西日本ITソリューションズのなかには、AWSに対する知見と蓄積が着実に積み重なってきました。それは、支援を受けるだけでは終わらせず、メンバー一人ひとりが自分ごととして吸収し、実務に生かそうとしてきた結果でもあります。とはいえ、道のりはまだ続きます。

AWSへ移すべきオンプレミスのシステムはまだ残っています。さらに同部が扱う技術はAWSにとどまりません。今後はセキュリティなど、担当する領域そのものが広がっていきます。求められる知識は、増える一方です。

「移行はベンダーに頼むとしても、自分たちに知識がなければ、でき上がったものを見極められません。できる範囲を増やしていきたいのですが、単独では限界もある。その部分を、引き続き支えていただきたいですね」(関藤さん)

クラスメソッドはこれからも、JR西日本ITソリューションズのAWS活用と内製化への挑戦を支援してまいります。

この事例はAWSコンサルティングをご利用いただいています

クラスメソッドのAWSコンサルティングは、公式資格を持つエンジニアがお客様の要件にマッチしたAWSのクラウドインフラ設計、サービス選定をご提案。AWSの広い知見を活かし、コスト削減からハイパフォーマンスな構成までじっくりとアドバイスします。

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