人気サイト「デイリーポータルZ」のAWS移行支援で
インフラコスト削減を後押し

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

メディア事業部 デイリーポータルZ編集長 林雄司様
メディア事業部 デイリーポータルZ編集 / ヘボコン運営 石川大樹様
イッツ・コミュニケーションズ株式会社
公開日:2019年4月10日
BEFORE
  • 事業譲渡で「デイリーポータルZ」のバックエンド移転が決定
  • コストや安定性を重視してシステムの基盤にはAWSを選択
  • ライターが書いた原稿を編集部でCMSに入稿する手間があった
AFTER
  • AWSでインフラを構築し1万本以上の記事を移行
  • 安価で安定した高速配信とサーバ負荷の低減を実現
  • 直接ライターがCMSへ入稿可能で工程がシンプルに

2017年に運営会社がニフティからイッツ・コミュニケーションズ(以下イッツコム)に変わった大人気サイト「デイリーポータルZ(以下DPZ)」。運営会社が変わる過程でサービスを支えるバックエンドがAmazon Web Services(AWS)に変更となり、クラスメソッドはその構築とサポートを担当しました。

月間1,000万PVを誇る人気サイトのバックエンド移転にまつわるエピソード、そして意外な事実とは?移転サポートを通して知ったDPZの面白さの秘密と、クラスメソッドの業務実績をお伝えします。

急遽決定した人気サイトのバックエンド移転

2002年にスタートしたDPZほど長く続き、コンスタントに読み物を楽しめるWebサイトは国内で数えるほどしかありません。その人気サイトがバックエンド移転の必要性に迫られました。

「運営会社の事業譲渡があったのは2017年11月なのですが、僕らが聞いたのは1カ月前の10月だったんです。現実的に考えて1カ月の間にすべて移行するのは無理なので、前の事業会社のロゴが各ページに入っているのを削除するところから始め、2018年3月くらいに完了を目指す形で取り組み始めました。最終的に1年くらいかかってしまいましたが(笑)」

そう語るのは、DPZのインフラを管理するだけでなく記事も執筆しているメディア事業部の石川大樹さんです。

「2017年12月からサーバー関連の事業者に見積もりを取ってきた中、同じく事業譲渡でバックエンドを変えなければいけない別の事業があり、AWSの担当者と話をしていたんですね。それでウチもAWSを候補にいれ、AWSの方からクラスメソッドをご紹介いただきました。ほかの会社に決まりかけていた2018年2月頃のことでした」(石川さん)

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クラウドインフラのコスト削減に貢献

複数社と比較し検討した結果、クラスメソッドは超人気サイトの移行を手助けすることとなりました。選択のポイントはどこだったのでしょうか。

「もっとも大きかったのは価格面ですね。インフラのコストは大きく下がりました。5社ほど見積もりを取り、クラスメソッドと一番高いところではインフラとCMSを含めた総額で3倍くらいの価格差がありましたよ。CMSやWebサーバーなど、上に載せるソフトウェアなどを別の企業に依頼する形にして提案してくださったのも印象が良かったんです。私はもともとシステムエンジニアだったので、専門の技術を生かしてくれる提案のほうが良かったですから」(石川さん)

DPZの編集長・林雄司さんは重視した点としてコスト効率とシステムの安定性を挙げています。

「以前の環境では事業会社でクラウドサービスを運用していたので、システム周りでは選択肢がありませんでした。また、広告も貼らず企業のブランディングの一環としてサービス運営していたこともあり、コスト面も多く語られることはなかったんです。今回の移転からはコストや安定性などを基準としてシステムの基盤となるサービスを選択しました」

クラスメソッドはAWSでバックエンドを構築し、サイト自体を構成するCMSにはconcrete5を提案しました。この申し出がイッツコムのニーズに合い、パートナーとして弊社が選ばれる要因の一つとなりました。

「concrete5は大規模サイト向けのイメージがあって、安心感がありました。この提案をしてくれた営業の方にも良い印象を持ちましたね」(石川さん)

定期的なミーティングで不安を払拭

2018年3月に内定した移行先システムの構築は契約上の都合から5月に開始しました。クラスメソッドではオンライン / オフラインどちらでもスムーズに打ち合わせできます。

「構成としては突飛なところもなく、定番ともいえるものでした。構成案をご提出いただいた数カ月間は毎週のように定例ミーティングをしました。体調を崩した後に感染リスクがあった時だけはオンラインミーティングをしましたが、それ以外は実際にお会いして打ち合わせました」(石川さん)

ミーティング期間中の対応についてはご満足いただけていたのでしょうか。

「1つの質問に対して、複数の案とそれぞれのメリット・デメリットを出してくれます。私たちの意図を汲んでくれようとする姿勢がはっきり見え、それに応じたご提案をしてくれたのでとても安心感がありました。

CMSの移行についても、ほかの記事とフォーマットが異なっていてテンプレート処理化できないものが出てきても『静的ファイルで対応しよう』という案をいただいたり、最新の技術に通じていない私でも理解できる形でご提案いただけました」(石川さん)

2018年11月にはトラブルなく、無事にサービスの移行が終了しました。

「監視アラートが出ることはありましたがそれはすぐ対応できましたし、バックエンドは移行の中でそこまで意識しなくて済みました。意識しないで済んでいるということはとても良かったですね」(石川さん)

なお、今回のシステム構成はCMSを用いた一般的なもので、CloudFrontの活用により低コストで配信の安定化と高速化、サーバの負荷低減を実現したものです。また外部向けのいずれのリソースも、Multi-AZによる冗長化構成としました。CMSで管理する画像などのファイルに加え、CMS管理外のページや古い記事のデータはS3に格納されます。

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1万本以上の記事を移行

DPZの移転時にはおよそ14,000本の記事がありました。そして2002年から運営しているのであれば、動的コンテンツの表示でもさまざまな技術を活用していたはず。記事が表示されない、サイトが停止するなどの不安はなかったのでしょうか。

「移行当時は収益を考えているメディアではなかったんです。『絶対に落としてはいけない』という完璧さよりは、イレギュラーなことがあった時にはそれを楽しめるようにしたかったですね」

移行時にトラブルがあっても受け入れられるという発想は、情報システムを構築する側からすると驚かされます!

「毎月トラブルが起きるようでは困りますけどね。そして今は広告が入っているので、クライアントもいますし、サーバーが落ちると機会損失にもなります。これからの運用では安定性が重要になってくるかもしれません」(石川さん)

CMSによる記事編集の工程をシンプルに

今回の移転でDPZが行った改善施策には、ドメイン移行やSSL対応など、ほかにも多岐にわたりました。それらの要求に応えながら足回りを整え、CMSを編集部とライターの双方にとって使いやすいものにカスタマイズしていきました。

例えば移行前のシステムでは、ライターがWordやGoogleドキュメントで提出してきた原稿を編集部がCMSに入稿する流れでした。一方の新システムでは、ライターが直接CMSに入稿できるようになったのです。

「編集部的には楽になりました。また、人が関わる工程が増えるとどうしてもミスが発生するものです。ライターが正しく入稿したのに写真が抜けていたり、見出しのはずだった一文が本文として表示されていたりすると、ライターにも読者にも申し訳ないことになってしまいます。工程がシンプルになるということはライターにも、間接的には読者のみなさんにもメリットが大きいと思っています」(石川さん)

「面白い記事を読ませる」「人生を楽しくしたい」がモットーのDPZは、今回のサーバー移転について裏話を語るイベントを企画し、お祭りのように盛り上げる懐の深さを見せています。イベントでは、クラスメソッドの担当エンジニアも登壇しました。

■デイリーポータルZのトークイベント「Web担当者Forum安田編集統括が訊く デイリーポータルZのサイトリニューアル裏話ぜんぶ」で登壇してきました #dpz裏話
https://dev.classmethod.jp/cloud/aws/dpz-urabanashi/

今後もクラスメソッドはイッツコムの技術パートナーとして、読者を愉快な気分にするDPZのコンテンツを技術とコストの両面から支えてまいります。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

AWSコンサルティングパートナーアワード受賞のクラスメソッドは、お客様のAWS活用を様々な形でサポートします。AWS利用料を割引提供する請求代行から構築運用、クラウド移行などの技術支援までお客様のご要望に沿ったサービスをご提案します。

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