ラストワンマイル関連事業の企画・開発、オープンイノベーション、システム開発・運用、シェアードサービスを通じ、グループとして大切にしている「すべての人に笑顔と幸せを届ける 物流を超えて、心をつなぐ」を創造してきたセイノーラストワンマイル株式会社。買い物弱者対策、過疎地域対策、再配達削減対策、宅配クライシス・人手不足といった社会課題に対し、同社はビジネスの手法を使って解決していく「社会課題解決型ラストワンマイル」を標榜し、ラストワンマイル領域でのチャレンジを続けています。今回、同社がクラスメソッドのハッカソンイベント、Classmethod Craft Labに参加した経緯や効果などについてお話を伺いました。
ラストワンマイルの狭域配送に特化した配送管理システムDSSを開発・提供
Classmethod Craft Labをご利用いただいたSaaS事業部は、配送管理システムのDelivery Solution SaaS(以下、DSS)などを開発・提供しながら、物流における課題を解決する取り組みを推進している部門です。
「特定の地域を軽自動車が行き来する狭域配送に特化したDSSの開発理由は、業務の効率化です。軽自動車による狭域配送は、たくさんの荷物を積み込んで効率よく配送する必要があるため、『配送情報が複数のシステムに分散している』『紙の伝票を利用する』ような状況は、配送業務の効率低下を招きかねません。そこで、配送情報をDSSに一元化。さらに、最適な配送ルートと配達時間を計算する機能を利用することで、ドライバーは効率的な配送が可能となります。また、DSSにはペーパーレス化による個人情報の漏えい防止という効果もあります。
DSSのエンドユーザーは現場の管理者とドライバーです。管理者は配送状況をGPSなどで確認し、さらに分析機能も利用が可能。これにより、現場は管理者とドライバーが一体となって狭域配送の効率化に取り組むことができます」と井崎さんは語ります。
エンジニアへの負担が大きいDSSの問い合わせ対応業務
10年以上にわたってDSSの開発・提供をし続けてきた同社は近年、問い合わせ対応に課題を感じるようになっていました。「DSSは10年以上、開発・提供し続けてきたこともあって、マニュアルや資料は1カ所ではなく、複数の環境に点在している状況になっていました。このため、現場の管理者から問い合わせがあった際、その場で素早く回答できないことが多々ありました」(井崎さん)続けて井崎さんは「管理者交代時に行う説明の頻度という問題もありました。物流の考え方や用語に不慣れな方が担当された場合は、説明にかなりの時間を要します。問題はある程度覚えた方が交代となったときです。その業務に長く留まるケースが少ないため、交代の度に同じ説明をゼロから行う必要があります。リソースに限界がある当社には、これが大きな負担となっていました」と語りました。
ほか、問い合わせ対応はナレッジとして蓄積する仕組みがなかったため、担当したエンジニアだけしか答えられない属人化の問題、回答の準備や回答の最中はエンジニアの開発業務が止まってしまう問題もありました。
チャットボットに注目し、Knowledge Basesの技術を得るため、Classmethod Craft Labに参加
同社は問い合わせ対応の諸問題を解決するため、FAQサイトの構築に取り組んだこともありました。しかし、日々の忙しい業務のなか、意識的にナレッジを蓄積しなければならない手間などを考えると、実務のなかでFAQサイトを運用していくのは難しい状況でした。そこで、新たな解決策として注目したのが生成AIです。「もともと当社は、開発環境にさまざまな生成AIを導入。開発以外においても、例えば、会議の議事録作成などで生成AIを積極的に活用していました。以前から生成AIを業務に組み込むことは意識をしていましたので、DSSの問い合わせ対応は、生成AIのチャットボットで解決できるのではないかと考えるようになりました」と高鍋さんは語ります。
そうした最中、AWSに精通しているSaaS事業部内のエンジニアがクラスメソッドと会話している際に、高鍋さんの耳にClassmethod Craft Labのことが聞こえてきました。「DSSはAWS上で稼働していることもあって、Amazon BedrockのKnowledge Basesの活用を考えていましたが、残念ながら私自身、AWSに関しての知識は十分ではありませんでした。ですので、『生成AIを活用して開発を高速化させるためのセッション&ハンズオン』という内容のClassmethod Craft Labには、とても興味が湧きました。また、生産性向上につながるAmazon BedrockおよびKnowledge Basesの技術を学習できるのではないかとという期待感もありました」(高鍋さん)
クラスメソッドのエンジニアの支援が得られるハッカソン
Classmethod Craft Labは、クラスメソッドのエンジニアのアドバイスをもとに、業務に活用できる機能をスピーディーに要件定義していくDay1と、Day1で学んだ知識とクラスメソッドエンジニアの支援を得ながら、参加者自身で開発を進めていく2週間の開発期間、開発した機能をDay1時のメンバーの前で発表するDay2で構成しているハッカソンです。
同社は2025年11月4日に開催されたDay1に参加。「ハッカソンに興味はあったものの、今回が初めての参加でした。AWSの知識不足からの不安がありましたが、とても有意義な時間を過ごすことができました。とくに要件定義におけるクラスメソッドの支援は心強く、我々が課題として考えていた『AWS上にナレッジを蓄積する方法とその引き出し方』に対し、さまざまなサンプルと具体的なサービスを挙げながら、解決策をご教示していただきました。半日という限られた時間ではありましたが、必要な知識と実践的なスキルを身につけることができたと思っています」(高鍋さん)
Day1後、クラスメソッドのエンジニアの支援をリアルタイムに得られるチャット環境を置きながら、同社は問い合わせ対応のチャットボット開発に挑みました。「常にエンジニアの方と会話できる環境があるのは安心感がありました。初歩的な操作方法から参考サイトやサンプルなどによる開発のヒント、さらに組み込む際の技術的な解説は、とても参考になりました。また、文章で説明しにくいところは、適宜オンラインのミーティングを実施。サンプルやスクリーンショットなどを画面共有してもらいながら、分かりやすく解説していただきました」と高鍋さんは語りました。
Day1と開発期間を経て、目標としていたテスト環境への実装を完了することができた同社は、Day2の発表会に参加しました。「Day2はアットホームな雰囲気のなか、我々が開発した問い合わせ対応のチャットボットについて、気持ちよく発表することができました。他社様からいくつかの質問をいただくことができましたので、理解や共感は得られたと感じています。もちろん、他社様が開発したシステムや、開発にあたってのアプローチの仕方などもとても参考になりました。引き出しを増やすという意味で、とても有意義な情報共有の場だったのは間違いありません。ちなみに、『最優秀賞』をいただくこともできました。ありがとうございました」(高鍋さん)「Craft Labの率直な感想としては、全体を通して非常に良い印象を持ちました。技術を身につけたうえで、開発・実装まで到達できたことは、クラスメソッドの支援が大きな後押しになっていたと思います。また、参加したいと思えるハッカソンでした」(井崎さん)
AWSの比重が高くなる今後は、クラスメソッドのさらなる支援に期待
Classmethod Craft Lab後、同社は本番環境への実装に向け、精度アップやテストなどに取り組んでいます。「問い合わせ対応のチャットボットの開発は、当社エンジニアの負担軽減に加え、現場の管理者やドライバーの業務効率化もあります。チャットボットに問い合わせて的確な回答が得られれば、当社に問い合わせる手間も時間も必要がなくなるわけですから、業務効率は大きく向上するはずです。ただし、そのためには回答精度が重要になります」(井崎さん)
「ツールの仕組みはほぼ完成している状況ですが、本番環境で利用するにはさらなる回答精度の向上が必要です。現在はその精査を行っている段階で、2026年夏頃には正式にリリースしたいと考えています」(高鍋さん)
同社では現在もさまざまなプロジェクトが進行しており、今後はAWSの環境を利用する場面が多くなると井崎さんは語ります。「AWSの利用範囲を広げていくうえで、知識や技術に関してはさらなる向上が必要だと考えています。まずはチーム内で必要な知識や技術を議論し、その次のフェーズでAWSの経験・知見が豊富なクラスメソッドの支援や情報共有を求めることになるかと思います。今後も手厚い支援を期待しています。引き続きよろしくお願いいたします」(井崎さん)
クラスメソッドは、今後もClassmethod Craft Labを通じて、エンジニアのスキルアップを引き続き支援して参ります。


