AlteryxとAmazon AthenaでHondaの“新しい柱”を構築

本田技研工業株式会社

ビジネス開発統括部 ビジネス開発戦略部 戦略課 主任 福森 穣様 / チーフ 杉本 佳昭様
本田技研工業株式会社
公開日:2018年5月21日
BEFORE
  • 蓄積したデータの分析方法が決まっていない
  • 処理やコストを抑えたい
  • 収集・加工・分析レポート出力の自動化が課題
AFTER
  • 日本上陸前の最新サービスを応用したシステム採用
  • Amazon Athena採用でコストは約10分の1へ
  • Alteryxによるデータ整形「楽しくてしかたがないですね」

膨大な走行情報を新たな情報サービスへと転換

本田宗一郎氏が1946年に起業した本田技研工業は、オートバイ、自動車、農業や公共事業などで用いる機器向けの汎用製品(パワープロダクツ)を製造・販売し、「Honda」の略称で知られる世界的なメーカーです。昨今では、航空機分野への進出にも積極的で、2015年に発売された「HondaJet」が話題になりました。

Hondaのメイン事業は「二輪車」「四輪車」およびその他の発動機を中心とした「パワープロダクツ」の3つ。しかし同社は、これらの既存事業の技術力・モノづくりの力・世界的な市場基盤といった強みを生かしつつ進化させ、「コトづくり」を含めたソリューション創出力という新たな強みを持ちたいと考えています。

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「4本目の“柱”を創ることを目指し、すでに社内ではAIやロボティクスのほか、燃料電池自動車をはじめとする電動車両やスマート水素ステーションのようなエネルギー分野での研究開発を積極展開中です。私が所属する部門では、当社が保有しているビッグデータを活用し、新しい情報ビジネスを創出しようと取り組んでいます」(ビジネス開発統括部 ビジネス開発戦略部 戦略課 主任 福森穣様)

Hondaでは、1998年からカーナビゲーションシステムとインターネットを連携させる「インターナビ」を提供しています。インターナビを搭載した車両の走行情報を収集し、それらから得られる知見を交通情報として配信するサービスを世界で初めて実用化しました。位置情報を中心としたデータが幾年にもわたって集められています。

ビジネス開発戦略部 戦略課 チーフの杉本佳昭様は、「現在は似たようなサービスが他社から提供されています。しかしHondaのインターナビは、軽乗用車やコンパクトカーからラグジュアリーカーまで、すべてのモデルに搭載でき、さらに「リンクアップフリー」という通信費無料のサービスを提供している点が異なります。個人を特定できないよう統計化した上で全国各地から幅広くデータを集めており、非常に有益な情報が蓄積されていると考えています」と説明します。

例えば2011年の東日本大震災のときには、通行実績のあった道路情報を翌日には公開しました。「道路通行実績情報」として知られるようになり、2016年の熊本地震のときにも活躍したのだそうです。位置情報などの遷移を分析することで、“自動車がよく急ブレーキをかける場所”を知ることも可能です。これらは、自治体や警察などが注意喚起や都市企画の検討に用いることのできる情報として期待を集めています。観光地などでは、観光客がどこからどのような道で来ているのか、どのような周遊経路をたどっているのかといった情報を得ることで、案内や施設を効率よく強化できると福森様は話していました。

 「従来のインターナビは、ドライバーから走行情報をいただいて、その結果をドライバーへお返しするというものでした。新しい事業では、それらのメリットを社会へ返すという役割を担うものです。トライ&エラーを繰り返しながら、よりよいコトづくりに邁進しています」(福森様)

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アナリティクスのシロウトでも直感的に扱えるAlteryx

Hondaでは、ビッグデータを活用した情報サービスを提供するにあたり、蓄積されたデータをいかに切り出し、分析するかという課題がありました。膨大なデータは、クラウドに蓄積されたデータレイクに格納されています。もともとAmazon Web Services(AWS)の活用範囲を拡張しつつあったこともあり、データ解析の基盤はAWSで構築しようと考えていました。

そこで同社は環境構築のパートナーとしてクラスメソッドを選びました。少数精鋭で企画検討に集中するため、実際の作業はしっかりと任せられる品質の高い事業者を選びたいという新規事業開発メンバーのニーズと合致したためです。決め手になったのは「当初、日本では提供されていなかった新しいサービスの活用を前提として、手法や構成を提案してくれたこと」だったと、福森様は振り返ります。

おおまかには、既存のデータレイクから分析基盤用のAmazon S3へデータをコピーし、Alteryxでデータを整形、BIツールで可視化するという仕組みです。最初のフェーズではS3上のデータ処理にAmazon EMRを採用しましたが、これをAmazon Athenaに置き換えるというのが新しい提案でした。

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この基盤で扱うデータは、位置情報がベースです。そのための機能を標準で備えたAlteryxは、杉本様らのニーズにフィットしました。

「もともと私はレーシングカーなどのハード設計が専門であり、アナリティクスやプログラミングはどちらかと言うと苦手でした。それでもAlteryxは、機能がアイコンで示されており直感的に扱えるため、分析フローのアイデアを実行するときに迷うことがありません。エラーメッセージも理解しやすく、対処しやすいのが特徴です。ああでもないこうでもないとトライしながら、Alteryxでデータを操作することが楽しくてしかたがないですね」(杉本様)

コストは10分の1へ 新規事業開発にも適したAthena

2017年6月にAWS Athenaが日本リージョンで利用できるようになると、すぐにHondaとクラスメソッドは基盤のアップデートに着手し、既存のEMRと入れ替えました。

「Athenaは非常に強力で、おおむね従来の半分以下の時間でデータを処理できるようになりました。最大のポイントは、常に稼働状態にあるEMRに対して、Athenaは必要なぶん・分析するぶんだけ利用できるという点にあります。コストは、9分の1〜10分の1へと大幅に削減され、利用料金を見てびっくりしたほどです」(福森様)

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福森様らは、事業の企画から取り組み、地方自治体にも自ら足を運び、新規サービスの紹介などを行っています。そのため、定常的に分析を実施する事業とは異なり、分析基盤を停止している期間も発生する。そうした新規事業開発という分野では、オンデマンドに利用できるAthenaのほうが最適でした。

日本に上陸する前のAthenaの紹介を受けられたのは「大きなメリットだった」と福森様は振り返ります。Hondaのビジネスの目的とAWSのサービスの特徴を理解し、最新情報を含めてしっかりと当てはめることができるクラスメソッドだからこそ、こうした提案が可能だったのです。

クルマが走れば走るほど人の幸せにつながる世界

「渋滞を回避したり、道路工事を計画したり、新しい観光イベントを企画したりと、私たちの情報はさまざまなことに役立つと考えています。Hondaの車が走れば走るほど、人々の役に立つ、人々の幸せにつながるような世界を創りたいですね」と、杉本様は話していました。

新しい情報サービスが軌道に乗れば、AWSの柔軟性を生かして大きなリソースを調達してスケールしたい。また、新しいサービスや機能・技術が登場すれば積極的に活用し、Hondaの情報サービスを進化させていきたいと話していました。

「クラスメソッドは、AthenaやAlteryxのような最先端の技術に精通し、どこよりも早く実装できる力を持ったベンダーだと感じています。新しいサービスが生まれたら、ぜひ積極的に提案してほしいですね」と福森様は述べ、大きな期待を寄せていることを示唆していました。Hondaの“コトづくり”、4本目となる柱の土台をクラスメソッドがしっかりと担ってまいります。

この事例はAWS総合支援サービスをご利用いただいています

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