四季折々のフルーツを使ったタルト専門店「キルフェボン」を展開するキルフェボン株式会社。同社では、販売や店舗運営に関するデータを横断的に活用し、経営やマーケティングに生かすため、分析基盤の整備を進めました。そこでクラスメソッドの技術支援のもと、データウェアハウス(DWH)のAmazon Redshift Serverless(以下、Redshift)を導入し、データ分析基盤を構築しました。さらに、AIコーディングエージェントのClaude CodeやCodexなどでBIアプリを内製し、経営層から店舗担当者まで、用途に応じたデータを可視化するダッシュボードを作成しました。プロジェクトについて、広報/マーケティング部の土井さんと、経営企画部のリャンさんにお話をうかがいました。
顧客理解を深め、店舗運営に生かすデータ分析基盤を構築
1991年に静岡でケーキショップとしてスタートした「キルフェボン」。現在は銀座・青山・横浜・大阪・福岡など、全国12店舗でフルーツタルト専門店を展開しています(2026年7月時点)。「キルフェボン」とはフランス語で「なんていい陽気なんだろう!」という意味があり、「店内に入った瞬間からワクワクしてほしい」「タルトで幸せな気持ちになってほしい」という思いが込められています。同社は2024年9月に公式アプリを導入し、顧客との接点を広げてきました。こうした取り組みを経営やマーケティングに生かすため、販売や店舗運営に関するデータを横断的に活用できる分析基盤の構築を決定しました。
「今回は、今後のデータ活用の広がりを見据え、さまざまなBIツールと連携し、多角的な分析に活用できるDWHを導入することにしました」(土井さん)
AWS環境構築の技術力を評価しクラスメソッドへ支援を依頼
OSデータと会員データの格納先として複数のDWH製品を比較検討した結果、同社が採用したのはRedshiftでした。選定の決め手となったのは、土井さんが以前の職場でRedshiftを活用したダッシュボードを利用した経験があり、実績のあるサービスとして認識していたことです。
「汎用性の高いDWHであれば製品は問わないというのが基本方針でしたが、AWSのサービスであれば信頼性も高いと考えました」(土井さん)
Redshiftの導入にあたり、AWSに関する専門的な知見を活用するため、クラスメソッドに技術支援を依頼しました。
「クラスメソッドには以前にも支援を受けたことがあり、AWSに関する高い専門性と技術力を評価していたことから今回も声をかけました。今後のデータ活用を進めるうえでも、豊富な実績を持つクラスメソッドは信頼できるパートナーでした」(土井さん)
Claude CodeやCodexなどを活用してBIツールを内製化
DWHに蓄積したデータを業務ニーズに応じて柔軟に分析するため、同社はClaude CodeやCodexなどを活用してBIアプリを内製することを決定しました。日常業務でもAIを積極的に活用しているリャンさんが、自らダッシュボードの開発に取り組みました。
「利用者がそれぞれ見たい指標で分析できるように、Claude CodeやCodexなどを活用し、業務ニーズに合ったダッシュボードを開発しました。必要な指標や使い勝手を自ら反映できる点にメリットを感じています。Redshiftの導入に合わせ、BIアプリのホスティング基盤の設計・構築もクラスメソッドに依頼しました」(リャンさん)
Amazon RedshiftによるセキュアなDWH環境
プロジェクトは2026年5月から6月末までの2カ月間で実施しました。RedshiftによるDWH環境は、業務利用に必要なアクセス管理を考慮して設計・構築しました。
「業務データを扱うため、クラスメソッドの担当者にはセキュリティやガバナンスへの十分な配慮をお願いしました。あわせて、さまざまなBIツールを活用できる使いやすさも重視し、その希望にも応えていただきました」(土井さん)
DWH環境の構築では、クラスメソッドとデータ連携を担うベンダーが連携し、クラスメソッドが中心となって要件を整理しました。ベンダー間の意思疎通を図りながら設計方針の取りまとめも担い、本稼働を実現しました。
「プロフェッショナルの力をお借りできたことが何よりも心強かったです。クラスメソッドの担当者は、私たちの理解度に合わせながら、進め方についても『この方法でいかがでしょうか』と提案しながら対応してくださったので、迷うことなく判断ができました」(土井さん)
Claude CodeやCodexなどを活用したBIアプリの開発では、リャンさんがダッシュボードの作成と並行して、クラスメソッドの担当者とホスティング環境の整備に取り組みました。こちらでもDWHと同様にセキュリティやガバナンスに配慮し、アクセス管理など、業務利用に必要な対策を講じました。
「業務で扱う情報を適切に管理するため、クラスメソッドの担当者からアドバイスをいただき、アクセス管理などの対策を講じました。担当者の対応は迅速で、安心して進めることができました」(リャンさん)
業務データを横断的に活用する分析基盤を整備、BIアプリの内製で開発を効率化
DWH環境の構築とClaude CodeやCodexなどを活用したダッシュボードの作成により、業務データを横断的に活用できる分析基盤が整いました。その結果、分析環境の拡張性が高まり、ダッシュボードの開発・改善や、経営判断に必要な情報の提供を効率的に進められるようになりました。「業務データを横断的に活用できる基盤が整ったことが最大の成果です。将来的なデータ活用の拡大を見据えた環境を構築できました。また、処理性能の調整によって、分析やダッシュボードの表示もスムーズになりました」(土井さん)
特に大きな成果として挙げられるのが、ダッシュボード開発の効率化です。データ基盤が整備されたことで、分析業務やダッシュボードの改善に集中できるようになりました。
「日々のアップデート作業の効率が大きく向上しました。ダッシュボードは業務ニーズに合わせて継続的に改善しており、マーケティングや商品企画、店舗運営など、部門ごとに異なる分析ニーズにも柔軟に対応できるようになっています」(リャンさん)
経営面でも効果は表れています。社長や役員がデータを重視した意思決定を行っている同社では、ダッシュボードによって必要な情報を迅速に共有できるようになり、会議や意思決定のスピードが向上しました。
「私自身も経営企画部として、会社の意思決定に深く関わっています。これまではExcelなどを使ってデータを集計・加工していましたが、ダッシュボードとAIを活用することで短時間にデータ収集と分析ができるようになり、業務効率化にもつながっています」(リャンさん)
データ活用の範囲は経営層だけにとどまりません。現在は店舗向けの展開も進めており、ダッシュボードを通じて店舗運営に役立つ情報を共有しています。今後は必要な情報をさらに可視化し、現場でのデータ活用を一層拡大していく予定です。また、既存のBIツールも分析の目的に応じて使い分けています。
変化に対応できる分析基盤へ継続的に進化
「経営環境や顧客ニーズは常に変化しています。そのため、分析基盤もそれに合わせて柔軟に改善し続けることが必要です。そのため、部門ごとに求められる分析軸や指標を迅速に追加できる体制を整え、変化に対応できるデータ基盤へと発展させていきます」(リャンさん)
データ活用では、顧客への理解を深め、サービスの向上につながる分析の高度化を進めます。また、会員向けサービスの運営についても、業務の効率化を図っていく予定です。
AI活用についても、全社的な取り組みをさらに加速させる方針です。社員一人ひとりがAIを日常業務で活用できる環境づくりを進めるとともに、AIの導入・活用を推進する専門人材の育成・強化も検討しています。
「社内の業務課題をAIで解決するための体制を整え、データとAIを組み合わせた業務改革を推進していきます」(リャンさん)
今後同社がクラスメソッドに期待しているのは、データ基盤のさらなる高度化に向けた支援です。社内に蓄積された情報の整理と活用を進め、業務の効率化や新たな価値の創出につなげていく考えです。
「その実現には、既存データの棚卸しや整理が欠かせません。今後は、自社で対応すべき領域とクラスメソッドに支援を求める領域を切り分けながら、次のステップを検討していきます。クラスメソッドには引き続き、AWSの知見を生かしたデータ基盤の整備からAI活用まで、一貫した伴走支援を期待しています」(土井さん)
厳選された旬のフルーツと多彩なタルト生地で、多くの人に幸せを届けるキルフェボン。クラスメソッドは、その取り組みをこれからも技術で支えてまいります。


